いつも突然やってくる・・・のが、モンゴル(その3)
続けて、質問しました。「第二次世界大戦直後に、アメリカで調査がありました。有識者へのアンケートです。当時のアジアは貧乏ですが、将来、20-30年後にアジアで経済的に最も発展し、経済上のリーダーになっている国はどこでしょう?、という調査です。どの国が、一番期待されていたと思いますか?アジアですよ。経済で一番ですよ。」と聞きました。通訳を終えると、少しずつ発言します。当然ですが、彼らは若いです。3年生と聞いてますから、20-22歳くらいでしょうか。見えるのは「今」のアジアだけでしょう。まず、出てきたのが「日本!」でした。「そうですね、でもその頃の日本は貧乏で、アメリカ人は誰も期待してなかったのですよ。」というと「中国」という声が出てきました。「その頃は、中国も混乱して大変だったでしょうね。他には?」と聞くと「ロシア」という声も。ま、あれがアジアかどうかわわかりませんが、もちろん違います。「シンガポール!」という声も出ました。「なるほど、今では素晴らしい国ですね。でも、その頃はまだ独立国ではなく、マレーシアの一部だったんですよ。」と。「韓国」も出ました。でも、さすがに段々ネタ切れです。私が「答えは、フィリピンです。」と言うと、さすがに意外という表情が多かったです。段々、皆私の話に引き込まれているような感じを実感しました。今日の目的は「興味を持ってもらうこと」の1点です。私が、「なぜフィリピンなのでしょうか?」と聞くと、全くわからないという感じです。「これはアメリカでの調査です。つまりアメリカ人の考えです。当時のアメリカ人の考えでは、工業化に成功し、経済的に成功できるのはアメリカに似た要素がある国だけだと思っていたのです。アメリカに似た要素ってなんですか?」「それは英語とキリスト教的な文化の2つです。これだけで、アジアの中から選んだのです。アジアの独自の文化は、全く気にしてなかったのです。この2つで選ぶとなると、当時はフィリピンだったのです。日本?英語は全然だめで、今もだめです。キリスト教?基本的には日本はモンゴルと同じく、仏教をベースにしています。」と話すと、段々日本企業というよりは、日本という国に興味を持ってくれそうな感じでした。私は「経営は経営技術ばかりでない、それぞれの国とどうカルチャーで融合させるかが大切なのです。伝統的な文化と価値観、これと新しい経営技術をどう融合させるかを一緒に考えましょう。価値観?例えば、アジアは全体にそうですが、家族や親戚、地域社会、コミュニティーを大切にします。これは大切な価値観です。ここをどう守りながら、工業化に取り組むかは、とても大切なことです。」などと話しました。「この授業全体は、まず最初の4回で1950年代の日本や日本企業の経営スタイルの基礎を学び、次の5回で90年までの高度成長、そしてその後の停滞と経営改革を学び、最後の数回で個別事例や企業戦略の日米比較などをやります。」と今後の方針も話しました。こんな話を1時間ほどして、関心を持ってきたところで、資料を配りました。30部用意してきたのですが、当然足りません。(今日か明日にもっとコピーする予定でしたけど、急に言われたので・・・)シラバスやアサインメントも配りました。そして、5月までの授業プランや、何を事前にやってほしいかなども説明しました。途中、英語についても確認しながら進めました。私は、数分置きに「So far, OK?」(ここまで、いいですか?大丈夫ですか?)を聞きました。そして黒板にも書いて、通訳にきちんと説明してもらいました。私が「So far, OK?」と言ったら、わからないときはどんなことでも構わないから、質問するようにと。もちろん、モンゴル語で質問しても構いませんと。今日はかなりゆっくり話したし、内容もかなりシンプルだったので、概ね理解されたようです。でも、きっと本当にわからない人は、言いだせないんだろうなと思いました。通訳のSRさんも、今日は話がシンプルだったから、逐語通訳はしなかったけど、次回からはどうなるかな?と話してました。丁度90分たち、授業を終えました。生徒らの表情からは、かなり「なんか面白そう」という雰囲気が読み取れて、良かったです。私が出て行ったあとも、後からやってきて「今日のは素晴らしかったです。是非、次回以降もお願いします。楽しみにしています。」という学生まで現れました。こういうのは、素直に嬉しいですね。ま、今日はイントロだけなので、ちゃんとしたのは次回以降ですが、悩みは人数です。この他に更に15人?はいるということで、教室に入りきらないか、ぎゅうぎゅう詰めにするしかないそうです。また、この65人(?)を対象に、ゼミもやるのだそうです。他人事みたいですが、まだどうするか決めてません。人数が多すぎるので、3つのクラスに分けるのだそうです。つまり、講義を週に1回やって、ゼミナールを週に1回なのはいいけど、3クラス別々にやるのだそうです。週に1回のクラスのはずが、週に4回のクラス(私にとって)ということになります。なんか・・・変な気がするけど、まあ仕方ないです。とにかく、突然の初授業はなんとか終わりました。私と一緒に大学院の仕事をしたことある人(これを読んでいる方もいるでしょうけど)は「ああ、得意の『その場力』だな」と思われることでしょう。私の場合、ちゃんと準備して臨むより、急に「その場」でやらざるを得ない時の方が、なぜか上手く行くことが多いのです。