やっぱり予想通り(予定通り?)、トゥグルグ安へ。
トゥグルグが再び急落しています。1ドル=2012トゥグルグ前後です。 モンゴルで選挙直前に「選挙が終われば、再びトゥグルグは下落する」と聞いた話は、その通りになりました。 その時の話では、選挙を前にして民主党が必死にトゥグルグ高を演出してきたが、そんなのは続くはずもない。選挙が終われば、2000トゥグルグから更に下落するだろうとのことでした。 モンゴル人であれば、できるだけ資産をドルに換えておくという防御策も考えられますが、日本人や日本企業にとっては為替先物予約もできないこの通貨では、座視するしかないでしょう。 モンゴルに進出している企業や現地でお仕事されている方は収入がトゥグルグ建ての方もおられるでしょうから、大変だろうと思います。 私も大学勤務時代、日に日にトゥグルグ建ての給料が目減りするのを感じたものです。今は、あの頃よりももっと下落ペースが速いです。 民主党の頑張りかどうかはわかりませんが、確かにトゥグルグは選挙直前には1ドル=1930トゥグルグ台と過去1年での最高値を示していました。 つまりここ1年間はずっと1900トゥグルグ以下(数字上では1930より大きかった)だったってことですから、いかにトゥグルグ安が長く続いているかわかります。 この影響もあるのでしょう。世界銀行が、今までモンゴルを「高中所得国(Upper Middle Income Country (UMIC) )」と定義していたのが「低中所得国(Lower Middle Income Country (LMIC) 」変更したとの発表がありました。 世界銀行は毎年7月1日に、国民ひとりあたりの所得をもとに、各国を4つのグループに分類したリストの公式発表を行っています。 高所得国、中所得国、低所得国が基本です。個人あたりの年収が1,045ドル以下の国は低所得国とされ、12,737ドル以上が高所得国とされます。(基準値は2015年) ですので、その間が中所得国となるのですが、これをまた2つに分けているというわけです。その境目が4,125ドルであり、それより低い国は低中所得国であり、それより高い国は高中所得国となるわけです。 この7月の発表で、モンゴルは計算上4,125ドルのラインを下回ったということなのでしょう。 今年に入ってからも何度もモンゴルに出張で行ってますが、街を歩いている限り私の眼には具体的な「貧困化」は見えません。 モンゴルで出会う人たちや街を行きかう人達のほとんどはスマホを片手に歩いており、私のような安物ガラケーはまず見ません。レストランも賑わっており、とても低所得化しているようには見えません。 ですが、こうしたデータはやはり原因があると考えるべきです。単なる出張者では見えない人たち、本当に貧困で困っている人たちについては、確かに目にする機会がほとんどないのも事実です。 住んでいたときは、いわゆるゲル地区にもよく行きましたが、出張時はそこへ行くことはありません。モンゴルの田舎からの人口流入はどんどん進み、今やウランバートルの人口の半分以上に達しています。 こうした人たちを加味すると、確かに平均所得が減少しているというのも事実なのでしょう。 企業サイドから見ても、2011年にかけては各企業の一般的な従業員もインフレもありトゥグルグ建ての名目賃金は上がっていました。その後、2012年、13年もその勢いで上がっていたところは多いようです。 が、2014年以降はさすがに売上減少とコスト増による企業収益の低下・悪化でとても維持はできなくなりました。 給与カット、ボーナスカットはもちろん、人員カットまでありましたから、それらも当然平均所得減少につながっているのでしょう。また、個人が借金を返済できない話や質屋が繁盛している話などは何度も耳にしました。 今のモンゴル経済は底といってもいいでしょう。もちろん、2000年代前半に比べれば、街の光景はずっと立派です。 ですが、一度バブルで高成長、好景気を経験した人・国にとっては、その後の低迷は辛いものがあるのだと思います。 今度の首相は前財務大臣とのことです。前政権は、基本的には民主党政権ですから、どこまで連立相手の大臣が力を発揮できたのかはわかりませんが、この底を脱するべくできるだけの手を打ってほしいと思います。当然、IMF管理国になることも視野に入っているでしょう。 トゥグルグ安、来年以降の借金返済問題、石炭価格低迷、中国にすり寄らざるを得ない政治家たち・・・これらは全部つながっています。本気の改革をする政府を望みます。