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カテゴリ:セカンド冒険紀
【――諦めない勇気――】
『あらすじ』 謎の黒マントの男の挑戦を受け、ROADを含めた4人は闘技場と呼ばれる謎の地へ足を踏み入れた。そこで再び姿を現し、真の目的がギルド城であることを述べる。急いで帰還を試みるRAODらを妨げるかの様に、その漆黒の飛竜が姿を現した。それはあの双角竜・ディアブロスのリペイントであった。その強力な力の前に絶体絶命の状況に追い込まれていく4人。しかし諦めずに必死に抵抗を試みるが、その時巨大な黒い巨体がROADに向かって放たれた。しかしROADは。 《グオォオオオ》「おい!!何ぼけっとしてんだっ!!早く逃げろっ!!」ブレイブがそう叫ぶも虚しく、ROADの体は不安や恐怖によって硬直状態に陥っており、身動きが取れなくなっていた。「ダメだ・・食らうっ」黒鬼がとっさにROADの元へ走るが、その巨大な黒い双角はすでにROADの真横に迫っていた。「ROADっ!!」《パシュッ》その瞬間苦しむ様なうなり声が響き渡る。《グオォオオ》後一歩と言う所で黒いディアブロスの身動きが止まった。「フゥ・・奇跡ってやつかな・・」それは紛れもなくリゾットのメイルシュトローム改の銃口から放たれた麻痺弾の効果であった。「ようやくだ・・間に合って良かったぜ・・」先ほどから何度も命中していた麻痺弾がようやく効力を発揮したようだ。もしも麻痺に効果が見えなければ、今頃ROADはあの巨大な双角の餌食だっただろう。「てめぇ!目覚ましやがれっ!!」するとブレイブの拳が唸りを上げてROADの顔をぶん殴った。「なっ・・」ようやく体が言うことを聞いたか、ROADはこの状況に戸惑っている。「何ボケっとしてんだ?あの飛竜を前に腰でも抜けたのか?ふざけんなっ!!俺達の背には大勢のやつらの思いが乗ってやがんだっ。こんな所で負けるわけにはいかない。ROADっ、お前がそう言ったんだろっ?!」ROADの首根を掴み上げ、ブレイブは怒りを露わにしながらも今のROADにその思いを訴えかけた。もちろんそれはROADの心の奥底まで響き渡り、今まで体を縛り付けていた鎖がすぅっと解けたかのように体が動いた。「ブレイブ・・俺・・ごめん・・」ROADの眼に序序に光が舞い戻る。薄い手の平がぎゅっと握りしめられ拳が強く握られた。「フッ・・冗談じゃねぇぜ。次もしこんな真似してみろ?あの飛竜より先に俺様がてめぇをぶっ倒してやるっ!!」そう言うとブレイブはROADの首根から手を払いのけ、そして再びその純白の槍・ホワイトディザスターを握りしめた。「有難う、ブレイブ。リゾット、黒鬼・・俺もう挫けないからっ、俺に力を貸してくれっ!!」ROADもペイルカイザーを強く握りしめた。もう迷いはない。ここにいる仲間と共に、必ず目の前の敵を倒してみせる。そう心に強く、今までとは比べものにならないほどに強く言い聞かせた。「ROADっ、お前は俺様が認めた男だっ!こんなとこで挫けるようじゃぁそこらの雑魚と同等の扱いに戻しちまうぜ?ガハハハハ」大きく口を開けてお得意の大笑いをかます黒鬼。巨大なハンマー・溶解鎚【煉獄】を軽く持ち上げ構えた。「ROADっ、お前は一人じゃない。俺達が、そして街のみんながそばにいるんだ。自分を、みんなを信じろっ。ROAD、今のお前にやつがそれほど恐ろしく見えるか?俺は今はっきりと確信したぜ?俺達が力を合わせれば、あんなやつ相手じゃない!」いつも以上に暑く、燃えたぎるその魂。リゾットの言葉の重さも今までとは比べものにならないものであった。メイルシュトローム改に麻痺弾が仕込まれその銃口が漆黒の双角竜を捕らえた。「みんな・・俺達は負けない・・。行くぞっ!!!」ROADの叫び声と同時に4人に力が宿った。《グオォオ》麻痺状態が解けるまでの時間はもうわずか。攻めは控え、4人は四方向に身を構えた。「やつに麻痺の効果が見えるまで随分かかる。それまでは守りを重視に、確実に攻めるんだっ」リゾットの言葉に皆が納得した。敵が動けない今、先制をとる時。《ブロォロオオ》黒鬼はバッグから取り出した鬼人笛を吹き鳴らした。「ようし、これで一撃が重くなる。やつにかましてやるぞっ」鬼人笛の効力で皆の力が不思議と上昇する。すると今度はブレイブがバッグを探り、使用できそうな物を手に握り込んだ。今回の敵に備え、それぞれがバッグ一杯のアイテムを持って来ていた。戦闘に主に活躍する落とし穴ももちろん持ってきているものの、大地に潜る能力を持つ角竜の前では使用は無意味。それと同等の活用を見せる音爆弾だが、今回は敵が解らなかったとあって4人とも所持して来ていない。「クク、ならばこいつをお見舞いしてやるかっ」ブレイブは何やら巨大なタルを出し始めた。「さてコイツの出番は次、やつが麻痺った時だっ」それが大タル爆弾であることはすぐに3人とも理解した。しかしその大きさからして“G”だろう。ROADはペイルカイザーの刃を丁寧に砥いだ。黒い甲殻を斬り裂くには斬れ味が多少落ちる事も許されない。「さぁ、ここからだっ」《グオォオオオ》漆黒の双角竜が身を動かす。轟くうなり声は怒りを露わにしていた。「来いっ、ディアブロスっ」再びROADに向けて黒い巨体が突進する。しかしROADは逃げることなく前進し、素早い身のこなしでさっとディアブロスの腹下をくぐり抜けた。「オリャァ」《ガキンッ》ペイルカイザーが黒い尾を捕らえるがそれはやはり弾かれた。しかし一撃で斬れないことなどROADは百も承知。「オラァ」体をくるっと反転させ、二撃目を決めた。《グオォオ》その痛みか、巨大な黒い尾を振り上げROADに向かって叩き下ろす。《ダンッ》しかしその攻撃はROADを掠めることすらなく、《ドガッ》そのスキをついて黒鬼の溶解鎚が双角竜の一角にヒットした。遠くから狙いを定め、リゾットは麻痺弾を放ち続ける。その数7,8発。なかなか麻痺の効果が見えぬ中、ついにその黒い巨体が動きを止めた。「よしっ、行けっ!」その声はブレイブに向けられた。この瞬間を待ちわびたかのようにブレイブがさっと敵の腹下に走り込み、そしてバッグから先ほどの大タル爆弾Gを二つセットした。「リゾットっ!」《パシュッ》その声と同時に放たれた弾が大タル爆弾に炸裂。《ドカーーーーン》激しい爆発音がその地を轟かせる。強烈な一撃が見事に敵に命中した。《グオォオオ》激しい衝撃にさすがの敵もよろけ、その体を地に転がした。「ナイスっブレイブ!」そのスキをついてROADが走り出す。《ザシュッ》ペイルカイザーが再び黒い尾に炸裂する。「あと一撃っ」しかしそれが決まる前に、黒い巨体がさっと立ち上がり再び大地に身を潜らせた。「くっ」ROADがとっさに剣を前にガードの体勢に入る。《ドガッ》もちろんその一撃はROADを襲った。「うわっ」ガードのおかげで多少の衝撃は防いだものの、やはりその威力は計り知れない。ROADは後退する。しかしすぐに体勢を戻し駆けだした。「食らえっ」ROADに牙をむけるディアブロスの頭部をリゾットの放った拡散弾が爆撃した。《グオォオ》怯みを見せる敵に、ブレイブのホワイトディザスターが、黒鬼の溶解鎚が炸裂する。そして「オリャァッ」ROADが舞う。強烈な一撃がついに黒い尾を捕らえた。美しい剣裁きが輝きを見せ、その刃によって巨大な尾先が切断され宙を舞った。《グオォオオ》戦場に希望が走る。【続く】 ◎ブレイブの言葉が、黒鬼の叫びが、リゾットの思いが、ROADを立ち上がらせる。そしてついに漆黒の双角竜への攻撃を開始。事態は一転し、形勢逆転の時。 次回【――唸れ!希望の力――】へ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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