1769454 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

土曜日の書斎 別室

土曜日の書斎 別室

風と共に去りぬ

 
【土曜日の書斎】 ロマン断章


19640901.jpg


風と共に去りぬ


 
  ・・・ マーガレット ・ ミッチェル『風と共に去りぬ』
  この世紀の大ロマンについて、 今更めかしい解説は不要でしょう。 (^.^)
  聖書に次ぐとも云われる世界的ベストセラー小説。
  ハリウッド屈指の大物プロデューサーである D ・ O ・ セルズニック の肝煎で映像化されてから、 堂々七十年・・・。
  映画史上不滅の金字塔と謳われる其方の人気とも相俟って、 膨大な数の読者を魅了し続けて来ました。
  ・・・日本の場合、 宝塚歌劇 も大きく貢献していますネ。

19490816.jpg

  アトランタに生まれ育ったマーガレット ・ ミッチェル。
  少女期から、 南北戦争とそれに続く苦難の時代 の物語を、 古老の口を通し、 繰り返し耳にして来ました。
  『風と共に去りぬ』 は、 そうした女史にとって、 最も描きたかったモチーフを、 最も描きたい形式で著わした作品であったと云えるでしょう。

  周知の様に・・・。
  同作品は、 女史が、 その生涯に於いて発表した唯一の文学作品です。
  読者からの熱望 ・ 出版社の度重なる懇請にも関わらず、 女史は第二作目の筆を執ろうとはしませんでした。
  突然に 名声の頂点 に押し上げられてしまった女史。
  華やかな面は有っても、 私生活をも容赦なく押し潰して来る 名声の重圧 に耐え切れなくなったからとも云われています。

  恐らく、 同様の理由によるものでしょう。
 『風と共に去りぬ』 の続編が、 女史自身の筆によって書かれる事も遂に有りませんでした。

18610415.jpg
(ビクター ・ フレミング監督作品 『風と共に去りぬ』 )








4月14日

スカーレット ・ オハラ、 アシュレー婚約の報に接する。


 
  1861年4月14日。
  米国南部ジョージア州オハラ家大農園タラ・・・。

18610414.jpg
(MGM 『風と共に去りぬ』 )


  スカーレット ・ オハラ は美人というのではなかったが、 双子のタールトン兄弟がそうだったように、 ひとたび彼女の魅力にとらえられると、 そんなことを気にするものは、 ほとんどいなかった。 ・・・

  1861年4月の、 あるかがやかしい午後、 父の 大農園タラ のポーチの涼しい日かげに、 タールトン家の双子兄弟スチュアートとブレントとともに腰をおろしている彼女の姿は、 一幅の絵のように美しかった。


( 『風と共に去りぬ』 大久保康雄 ・ 竹内道之助訳)


  物語の栄えあるオープニングは是の日・・・ 1861年4月14日
  南部同盟軍が、 合衆国軍のサムター要塞を攻撃した二日後の事です。
  是を契機として、 米国は四年間に渡る内戦に突入していくのですが、 ヒロインのスカーレットにとっては、 戦争など如何でも良い話題でした。


  彼女は、 自分が中心になれない話題 には、 ながく辛抱することができなかった。


  ・・・からですネ。 (^.^;


  だが、 彼女は、 そんなことを言うときにも、 意識的にえくぼを深め、 黒いまつ毛を蝶の羽根のようにかろやかにまたたいてほほえんで見せるのを忘れなかった。
  だから青年たちは、 彼女が予期したとおりに魅惑され、 あわてて彼女を退屈させたことをあやまった。



  処が、 話題を転じたタールトン兄弟は、 実に由々しき情報をもたらします。
  スカーレットが一途な恋心を寄せているウィルクス家の継嗣 アシュレ が、 従妹 メラニー ・ ハミルトン と婚約した。
  翌日ウィルクス邸で催される園遊会で、 その発表が行われるというのです。
  是は、 彼女にとって聞捨てならない事でした。


  それが真実のはずはない!  ・・・

  アシュレがメラニーを愛するなんて、 そんなことはありえない。 ・・・   なぜなら、 彼が愛しているのは、 このあたしなのだから!



18610414.jpg
(MGM 『風と共に去りぬ』 )








4月15日

ウィルクス邸にて野外園遊会開催される。
スカーレット、 運命の男レット ・ バトラーと邂逅。


 

01.jpg
(MGM 『風と共に去りぬ』 )
 

  1861年4月15日。
  オハラ家と隣接する名家ウィルクス邸にて、 盛大な野外園遊会が催された日です。
  そして、 ウィルクス家の継嗣 アシュレ と従妹 メラニー の婚約が発表された日・・・。

  そして・・・又、 婚約発表に先んじて、 アシュレに自らの想いを打明け、 翻意させようとの、 悲壮にして、 身勝手極まりない決意を胸に秘め、 会場に乗込んだスカーレットが・・・。
  思いも寄らぬ経緯から、 運命の男 レット ・ バトラー と知遇を得た日でもあります。

photo020.jpg
(MGM 『風と共に去りぬ』 )


  アシュレに愛を告白したスカーレットですが、 物の見事に拒絶されてしまいます。

  目出度し、 目出度し・・・ですネ。 (^.^)

  突如もたらされた開戦の報に、 園遊会が騒然とする中・・・。
  プライドを傷付けられたスカーレットは、 アシュレへの面当て (!) として、 メラリーの兄 チャールズ からの求婚に応じてしまいます。

  勇躍戦地へ赴いたチャールズは、 麻疹に肺炎を併発して、 敢えなく病没。
  スカーレットは、 結婚一ヶ月余にして、 うら若き未亡人と相成るのです。
  自分はもう死んだも同然・・・と、 絶望の淵に沈むスカーレットですが、 彼女の波瀾の人生は、 序幕を終えた所でしかありませんでした。

  因みに・・・。
  スカーレットは チャールズの遺児を出産 するのですが、 映画化に際しては、 この一大事がソックリ割愛されてしまっています。
  それで正解であったとは思いますが・・・。

  その後、 無為の生活から逃れるかの様に、 スカーレットはアトランタへ赴きます。
  そして・・・或る夜、 バザー会場で、 運命の男レット ・ バトラーと再会する事になるのです。

18610414.jpg
(MGM 『風と共に去りぬ』 )








9月1日

スカーレットとメラニー母子、 陥落寸前のアトランタから脱出。


 
  1864年9月1日夜・・・。
  米国ジョージア州 ・ 合衆国軍攻囲下のアトランタ市。

  スカーレット ・ オハラ が、 敵軍の迫るアトランタから決死の脱出を試みたのが、 この夜の事です。
  弾薬庫炎上のシークェンスは、 物語前半の最大の見所として、 スリリングに、 スペクタキュラーに描かれています。

18640902.jpg
(MGM 『風と共に去りぬ』 )

  合衆国軍の猛攻の前に、 南軍アトランタ守備隊は、 遂に撤退を開始。
  群集の一部は暴徒化し、 略奪の嵐が市内に吹荒れます。

  メラニーの出産に立会い、 避退の機を逸したスカーレット・・・。
  彼女の前に救い主として立ち現われたのは、 レット ・ バトラー でした。
  レットは、 スカーレットとメラニー母子の為に、 一台の馬車を仕立てると、 自ら御者と成って鞭を振るう。
  馬車は、 狂瀾の街路をまっしぐらに駆抜け、 炎上する弾薬庫の真前を突破。
  間一髪・・・脱出に成功します。

  アトランタが陥落するのは、 この翌日の事です。

18640902.jpg
(MGM 『風と共に去りぬ』 )

  逃避行の途次・・・。
  南軍の惨状を見兼ねたレットは、 志願入隊の意を決し、 スカーレットに別れを告げます。
  残されたスカーレットは、 メラニー母子と共に、 一路・・・故郷のタラを目指すのです。







9月2日

スカーレット一行、 タラに帰着。


 
  1864年9月2日夜。

  苦難の逃避行の果て・・・タラにたどり着いたスカーレットを待ち受けていたのは、 想像を絶する、 過酷な現実でした。
  タラは敵軍に蹂躙され、 屋敷も農園も、 見る影もなく荒れ果てていました。
  その上、 母 ・ エレンは病に斃れ、 父 ・ ジェラルドも、 度重なる心労が基で、 精神に変調を来たしていたのです。

18640902.jpg
(MGM 『風と共に去りぬ』 )

  困苦と絶望に打ち拉がれるスカーレットでしたが・・・。
  やがて、 荒廃した大地の上に、 毅然として立ち上がります。
  その面には、 力強い、 生存への意志が漲っていました。

  「神様に誓います。 二度と飢えません!  この試練を、 私は生抜いて見せます。 その為なら、 人を騙し、 奪い、 殺すでしょう。 ・・・神様に誓います。 二度と飢えに泣きません!」











© Rakuten Group, Inc.