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土曜日の書斎 別室

土曜日の書斎 別室

最前線物語

【土曜日の書斎】  名作断章


 

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  第一次世界大戦終結の日に始まり、 第二次世界大戦終結の日に終わる物語。
  カルト的人気を誇る サミュエル ・ フラー 監督による異色戦争映画 『最前線物語』 (1980年度作品) 。

  苛烈な戦場で生き延びる為、 冷酷非情に徹していた主人公の米軍軍曹 (リー ・ マービン) が、 物語終盤に至って、 瀕死のユダヤ人少年と遭遇し、 その救命に駆られる。
  それまで自己の内に封じ込めていた人間的感情。
  抑制を解かれた感情が、 ぎごちなく表出されていく経過を、 何処までも淡々と捉えた演出が秀逸です。



最前線物語

(1945年5月7日)




1


 

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  前大戦の英雄である 軍曹 (リー ・ マービン) の下に配属された グリフ二等兵 (マーク ・ ハミル) ら四人の補充兵を待ち受ける数奇な運命。
  彼等四人は、 軍曹と共に、 北アフリカからシチリア島、 ノルマンディー海岸、 ベルギー・・・と、 激戦地ばかりを転戦させられる仕儀となる。
  四人は戸惑いながらも、 軍曹から叩き込まれた 戦訓 を忠実に実践し、 独軍兵士を殺戮していく。
  次第に、 戦場での殺人行為に、 躊躇も、 一片の感傷も抱かない様になっていく。
  名誉や栄光の為ではない。
  祖国や大義の為でもない。
  自己の生存を全うする為に戦い、 敵を殺し続ける。
  他の班員達が相次いで斃れていく中で、 五人の曹 ・ 士は、 常に命を長らえるのである。

  そして、 是の日・・・1945年5月7日。
  僅か数時間後に戦争が終わってしまう事も知らず、 彼等は、 独軍が立て籠もるユダヤ人絶滅収容所へ突入しようとしていた。









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