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第一次世界大戦終結の日に始まり、 第二次世界大戦終結 (欧州戦線) の夜に終わる物語。
カルト的人気を誇る サミュエル ・ フラー 監督による異色戦争映画 『最前線物語』 (1980年度作品) 。 1918年11月11日。 最前線を偵察中の 米軍下士官 (リー ・ マービン) は、 両手を頭上にかざし、 降伏を叫びながら近付いて来る、 一人のドイツ兵に遭遇しますが、 躊躇いもなく刺殺してしまいます。 歴戦の古兵である彼は、 それが、 独軍が此方を油断させる為に用いる常套手段である事を知っていました。 この時も、 見え透いた芝居を打っているに違いないと判断したからです。 ・・・殺られる前に殺る。 一瞬の躊躇が死を招く戦場で、 自己の生存を全うする為の鉄則であり、 生き延びる事こそ、 彼にとって、 戦場での殺人行為を合理化し得る唯一の大義名分でした。 然し、 原隊へ戻った彼は、 既に 休戦協定が成立 していた事を知らされ、 愕然とします。 人間的感情を棄却し、 非情に徹する事によって、 戦場の苛酷さに耐えて来た彼が、 初めて殺人の意識に囚われたのです。 湧き上がる様な戦勝の歓喜は微塵もなく、 名状し難い、 暗澹たる気分の底に沈み込むしか有りませんでした。 それから二十年余の歳月が流れ、 新たな大戦の炎が世界を覆っていました。 米国参戦の翌年・・・1942年。 件の下士官の下に、 補充兵として、 グリフ二等兵 (マーク ・ ハミル) ら四人の若者が配属されます。 戦場を知らない四人に、 下士官が 戦訓 として叩き込んだのは、 生き残る事。 そして、 戦場で敵兵を殺す事に、 躊躇も、 一片の感傷も抱いてはならないという事でした。 抽象と戦うためには・・・抽象に似なければならない。 敵を非人間化する事は、 自身の存在をも非人間化する事でした。 四人の新兵は、 下士官と共に、 北アフリカからシチリア島、 ノルマンディー海岸、 ベルギー・・・と、 激戦地を転戦しながら、 戦訓 を忠実に実践し、 独軍将兵を殺戮していきます。 麻痺してしまった感情の回復。 失われた人間性を取り戻すのは、 戦争が終わってから取り組むべき問題として先送りした儘・・・。 そして、 他の班員達が相次いで斃れていく中で、 五人の曹 ・ 士は、 常に命を長らえるのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 15, 2011 12:05:10 AM
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