2021/04/22(木)23:57
想い出の店が閉店する
その店は、高校を卒業したときに、友人たちと記念に行った店だった。
当時、ラッシャンティ―、と言っていたが、ようするにジャムをいれたロシア紅茶というものが
仲間内で流行っていた。
といっても、現物を飲むことよりも、そのようなものが世の中にはあって、
という情報から、それらしいものを作っては飲み、作っては飲み、
ああでもない、こうでもないとたわいのない会話をくりかえす、
飲んだことがないもんだから、いよいよ妄想が膨らむというような仲間内の盛り上がりである。
そのロシア紅茶が飲める、ということで選んだのが市内に唯一あるロシア料理店「ツンドラ」であった。
めいめい、ボルシチだの、ピロシキだの頼み、出てきた料理と料理名を見比べながら、
これがロシアの料理なのか~と楽しんだ後、お目当てのロシア紅茶をみんなで賞味する。
甘い。非常に甘い。
目が覚めるほど甘い紅茶だったのが記憶に残っている。
さて、そのツンドラが60年の営業に幕を下ろすことが新聞にでた。
閉店まであと3週間弱。
新聞に出たことで、行列ができていた。
それだけ沢山の人の思い出になっていたのだろう。
今回の閉店は店主が高齢なこと、後継ぎがいなくて事業譲渡も検討したが不調におわったこと、周囲の再開発で家賃が値上がりすることなどの懸念、などいろいろと理由は書いてあったが
やはり、コロナの影響も大きかったのだろうなと思う。
閉店するとなると、最後に今一度・・・となるのだけど、
やはり思い出の店がずっとそこにあって欲しいのであれば、
普段から定期的に利用するしかないのだとしみじみ思った。
こういうお店はずっとあるので、
ほったらかしていてもいつまでもそこにあるのだ、という幻想を持っていた。
コロナは私たちからいろいろなものを奪っていく。