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今夜も空の下~世界放浪浪漫譚~

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えの1970

えの1970

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2007.08.03
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カテゴリ:東アフリカ編
2000年1月31日続き

 無事に壁を下りきり危険な箇所を無事通過した安堵感にしばし浸っていたかったものの、まだここで終わりではない。
体はだいぶん疲れてはいたが精神的には高揚した気分のまま、僕は落石の多い崖推を慎重に下り氷河に降り立った。

 ここま下りればもう小屋は目の前である、
 後は今朝岩陰にデポした靴とアイゼンを見つければよいだけだ。
 しかし、今朝すぐに発見できるようにと蛍光色の目印を置いた場所が見あたらない。
見あたらないということはどういうことか?

 単に広くて見失っただけのことか、それともその辺を徘徊する誰かに盗まれたのか?
 登頂して気持ちよい気分にひたっていたところなので、ここは前者であることにして自分のミスを責める。
まあ、靴もアイゼンも高校時代から使い古した年代物だし、思い出の逸品をこの赤道直下に葬るのも悪くない。それに、ちょうどこれからの荷物が減ってちょうど良かったかもしれない。

 しかしそうはいってもアイゼンがないと氷河が渡れないと言う目の前の現実に対処しなければならない。
 さいわい氷河は短いので氷河に沿って右岸を下りターミナルモレーンを回り込んで対岸に上がることができるはずだ。
 渡れば10分の氷河に沿って、簡単な岩場を1時間下る。そこから氷河舌端の湖を周りこんでサイドモレーンの崖推を200mの登り。モレーンは大変崩れやすく死ぬような思いをしたが、まずは無事に登山道に合流して、今日1日暇をもてあましていたポーターのポールが鼻歌交じりに迎えに来てくれて、ザックを背負ってくれた。

 へろへろの体に道案内は大変ありがたくて、17:30に無事に小屋に戻ったのであった。
体が大変疲れ切っていて、もう何をする気も起きなかったが、ポールはいろいろ気が利いて小屋に着くなり暖かいお茶を出してくれたり、「腹へってんだろ」と野菜たっぷりのインスタントラーメンを作ってくれた。
 ここまでいろいろありながらもポールの心遣いが嬉しく、ああ僕がいつも一人で山に登るのは結局は人の暖かさを知るためなのかもしれないななんてきざなことを考える。
今 日は1日頑張って体がぼろぼろだが、今夜はぐっすりと眠れるに違いない。






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Last updated  2007.08.04 00:10:45
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