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今夜も空の下~世界放浪浪漫譚~

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えの1970

えの1970

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2007.10.05
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カテゴリ:中近東編
2000年2月18日続き~

ケニアを去った余韻もままならず、そして今朝の早起きの疲れもとれないままに、やげた飛行機はナイル川に沿って下降を開始しほどなく昼前のエジブトカイロ国際空港に着いた。

Tシャツでは少々肌寒い空気が全身を包む。
それはナイロビの高原のさわやかな空気とはまた違ったものであった。

カイロ国際空港ではVISA代に15米ドル支払い、ケニアからの入国者には検疫でマラリアの薬を飲むようにと毒々しいカプセルを渡された。どんな副作用があるのかしらんので飲まなかったけど。
さて、手続きが済めばバスにて町にでるだけ。町までのバスは400番だよと空港の係員がエジプシャンイングリッシュで教えてくれた。
でもその400とかかれたアラビア数字が読めないんだよ。
アラビア数字は例のアラビア文字のようにうねうねした象形文字のような文字で現代で使われているアラビア数字のおもかげがあるのは数字の9くらい。あとは全然わからない。わからないなりにその辺の人に聞いて何とかカイロの中心のタフリル広場にたどり着いた。
そしてそのバスの中で思ったのであるが、外国人がタクシーではなく、バスにて町に出られるということは大変に治安がよい国であるという証拠でもある。

帰国までの日程は、カイロをベースに中近東を旅するつもりでいた。
ただ中近東では酒と女はタブーだから、その中で僕がどれほど旅を続けられるかはしらないけど。

カイロはちょっとした大都会で、町の中心にはケンタッキーやマクドナルドもある。エジプトはイスラム教だけどな。
ろりいそぎ大きな荷物で町を歩いて、日本人旅行者にはなじみの「スルタンホテル」に宿泊した。料金はドミトリーで8エジプトポンド(240円)で自炊可であった。

それにしても寂しい部屋だ。
やけに天井が高く照明の薄い部屋にはベッドが5つぽつんと並んでいた。

この昼間の時間帯には誰もおらず、皆どこかに行っているのかな?
がらんとした部屋は多少かび臭く、旅のうらさびしさを感じるところだ。

がらんとした部屋のベッドにひとり横たわり、睡眠不足を補う午睡に沈む。
そしてああまたわからない土地に、だあれも知り合いのいない土地に来てしまったなあ。またひとりぼっちの始まりだなあと心の奥底で思ってみるのであった。

ふと僕はザックにつけられた猿のマスコットを見る。
彼女から手渡された思いはずいぶんと遠くに行ってしまったような気がするが、こうしてひとりぼっちを感じる時には確実にそばでその存在感を大きくしていることに気がつくのである。


夕方になって同じ宿に泊まっている日本人とコシャリを食べに行った。
コシャリとは赤飯の上に、マカロニ、スパゲッティ、小豆などをぐちゃぐちゃと混ぜトマトペーストをぶっかけて食らうエジプトの吉牛みたいな代表的なファーストフードである。
1口目は新鮮な味だが後は飽きてくる。しかしたった1杯で腹一杯になってお値段わずかに1ポンド(30円)。手持ち現金のだいぶ少なくなった僕にはこれから貴重なメニューになりそうだ。

夜になっても町の人通りは変わらずにぎやかで、治安の良さにほっとする。
宿に戻ってがらんとした部屋でわかしたコーヒーを飲む。
ドミトリーなのに同室者もなく、話す相手もおらず、酒を飲むこともできず、手紙でも書いて過ごすしかない。
そんな感じの素っ気ないエジプト第一歩の始まり始まりであった。







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Last updated  2007.10.06 00:06:03
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