 | | | 監督 : クリント・イーストウッド | | 主演 : クリント・イーストウッド / ヒラリー・スワンク / | | / モーガン・フリーマン / | | US公式HP |
ミリオンダラーベイビー
最近の映画通は単なる絆の物語やサクセスストーリーじゃ感動できないと言うことなのでしょうか。それがこの映画を観て最も感じるわたしの感想です。好きか嫌いと聞かれると返事ができないジャンルですが。
この映画は、実の娘ほども違う年の差の師弟愛を超えた、全身全霊をかけた信頼という強い絆で結ばれた 「愛の物語」 であるかもしれません。
モーガン・フリーマンの人生観の厚みを感じさせる、低く暖かみのあるナレーションはとても心地よくストーリに引き込んで行ってくれます。
ヒラリー・スワンク演じるミズリー州の南西部に家族がありながら、13歳からウエイトレスをして生きて来た、ただでさえ幸せじゃない生い立ちの孤独な女性 31歳 マギー・フィッツジェラルド と、「ダーティ・ハリー」の元気印がみじんもみあたらない、しわがれ声で御歳75歳にしてクリント・イーストウッド演じる 初老の古びれたボクシングジムの経営者でもありトレナーの フランキー・ダン。モーガン・フリーマン演じる、23年来の付き合いとなるジムの雑用係の 愛称 スクラップ。
フランキーのルールはひとつ
「 Always protect yourself 」 常に自分を守れ
現役のトレーナーであるフランキーは、若かかりし頃の苦い経験を悔やみ、今でも教訓として常に選手に言い聞かせるのです。
フランキーによって、7年もの間大事に育てられてきたタイトル目前の有望なボクサー、ウィリー はあまりにも慎重なフランキーのやり方にしびれを切らして、はやくタイトル戦をさせてくれるというジムに移ってしまいます。
そんな中、彼のトレーナーの腕を見込んでマギーがボクサー希望として転がり込んで来くるのです。当初昔気質なフランキーは女には教えないとひたすら拒み続けるものの、一途に練習に励む彼女の姿を見ていたスクラップの進言もあり、決してあきらめない彼女の姿にほだされ、徐々にボクシングの基本から教え始めるのです。
子犬のように彼に全身全霊で信頼を向けて来る彼女をトレーニングして行くうちに、ふたりの間には絆を超えた魂という名の愛がはぐくまれて行きます。
見始めた当初は私にとって 暗い、地味、という苦手条件そろいましたか?的な内容でしたが、モーガン・フリーマンのうますぎるナレーションと次第に成功という名の階段を登り始める展開にに引き込まれて行きました。しかし、このまま女ロッキーを思わせるサクセスストーリーかと思いきや・・・・・
ボクシング・シーンはフェイス・ガードなしでのぞみ、何回もパンチをまともにくらってしまったとの事です、「頭を動かすことが重要だったので、そのことがリアルな表現になったと思います」とインタビューでヒラリー・スワンクは語っています。精神的演技面に加えて、フランクから指導を受ける前よりも徐々に終盤に来るまでには、運動神経の良さを思わせる上達していくボクシングスタイルが巧みになって行く様子の演技もさすがです。
この映画の内容を振り返るに、
実の娘との断絶状態のフランキーと実の家族から疎まれて
「私にはあなたの他にだれもいないわ、フランキー」
と孤独な人生の現実に直面するマギーと
それぞれの遭遇する 「数々の理不尽さ」 に追い打ちをかけるマギーのボクサー生命の断絶により、希望を失ってしまうふたりに、究極の苦悩の愛の選択。
後になってあかされる彼女のリングネーム、アイルランドのゲール語 「 モ・クシュラ 」の意味に、この映画のテーマそのものが込められていた事を知ることになります。
「左腕を下げなければ良かった。背中を向けるべきじゃなかった。彼はいつも自分を守れと言っていたのに。」
そういいながら、自分自身の後悔にうちひしがれるマギーに
「彼はいつも同じことを言う」
っと、マギーを心からいたわって言うスクラップの台詞が胸について涙が止まらなかった。
そして、「フランクにごめんねって言ってね」 という台詞に込められたマギーのフランクに対する深い愛に、途方もなく悲しみをおぼえました。
モーガン・フリーマンのアカデミー賞における助演男優賞はこの映画の中で最も納得いく受賞のような気がしました。
そして、自分を愛してくれるものが他に誰もいない事を知り、ボクシングを通して一心にフランクに愛されようとするマギーを演じるヒラリー・スワンクにも主演女優賞がうなづける作品でした。

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~おしまい~
ヒラリー・スワンクについてはこちらにちょっぴり紹介しました

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