カテゴリ:Merry Christmas♪
彼女は、最愛の彼との結婚を望んでいました。 優しい視線も、しぐさも、笑う声も、全てが彼女を包み込んでくれました。 でも、若すぎた二人は、不透明の未来を信じる事が出来ず、半透明の約束を守れず、 少しずつ少しずつ、感じる隙間に不安を埋め、 気が付くと、お互いの姿が半透明で不透明に観えてしまっていました。 彼女は今の不安を手放す言い訳を繰り返し、 先に観える後悔と安心の両方を選び、彼と別れてしまいました。 数年後彼女は不安が消えた引き換えに後悔を隠し、 安心を選び、別の人と結婚しました。 可愛い娘が産まれ、彼女はもっと安心できる幸福を得ました。 後悔した若い頃の痛みが、彼が、消えたと信じていました。 不安の消えた時間と共に忘れていました。 数年後、幼い娘を後部座席に乗せ、彼女は運転席から娘を叱りました。 「ちゃんと座ってなさい!危ないでしょ?」 Eveの夕方、ママから買ってもらった大きなクリスマスプレゼントの包みを抱きしめ、 幼い娘はとても嬉しそうではしゃいでいました。 そんな娘に苦笑いしながら、信号は赤。 並んで止まった隣の車からふと視線を感じ、 何気なく彼女はそちらへ視線を向けました。 運転席に座る男性が、じっと彼女を見詰めていました。 少し戸惑うように、少し困ったように、 彼女を見つめていた視線と、彼女の視線がそっと合いました。 その途端、彼女の目線は、時間が止まった空間に放り込まれました。 全てが一瞬にして止まってしまいました。 「ママ!サンタさんもプレゼントくれるでしょ?」 突然後部座席から娘がママの首にしがみつきました。 その止まった時間から、一瞬にしてママである今に引き戻されました。 娘の無邪気な声が、ママに戻してくれました。 我に返り、永遠に止まったはずの時間から逃れ、 激しく波打つ鼓動から逃れ、娘に視線を戻しました。 「サンタさんも来るよ。だから早く寝ようね。」 その言葉を合図のように信号は青に変り、 後ろの車からクラクションを鳴らされ、せかされ、 彼女は慌てて、すがり付くように隣の車にもう一度視線を向けました。 さっきまで彼女の時間を止めてしまった隣の視線は、 ママと呼ぶ幼い娘を、優しい視線で包み込んでいました。 そして、そのままの優しい視線は彼女へと移りました。 過去の彼女を見つめていた時の、ずっと忘れていたあの懐かしい優しい視線でした。 「・・・・・。」 動き出した時間の中で、しっかりと彼女を見つめ、彼の唇が小さく動き、 そしてためらうことなく真っ直ぐに前を向き、彼は、車は発進しました。 左へ、右へ。 二度と交差することのない方向へと二人は進んでいきました。 その夜、静かなクリスマスイヴ。 サンタさんの訪問を待ちわびて眠った娘の頭を撫でながら、 彼女は彼の声のない唇の動きを何度も頭の中で思い出し、 心の中で読んでいました。 彼女の心は、彼の声を聴いたのです。 彼の唇の動きは、 お互いが最後に伝えることが出来なかった言葉だったと言うこと。 「さようなら。」 今、その言葉は、声は、 あの時の後悔と言う痛みが消えていなかったことを気付かせてくれました。 そしてそれを優しく、心地良い痛みに変えてくれ、 本当に終わった安心感を与えてくれ、 彼女は流れる涙を愛しそうに楽しみました。 声のない言葉を、彼女の唇は誰に伝えるでもなく伝えていました。 「ありがとう。」 愛している想いが本当ならば、それはどんな形で終わっても、 最後は、ありがとう。と言えるのです。 ね、サンタさん♪ あなたにも、ありがとうのMerry Christmas 来年のあなたの流れを加速してくれる銀河応援団 生支州さん「神の光線X2013」大阪初開催 Leap Soul 渡辺さつきセッションメニュー お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.12.12 00:43:12
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