Leap soul　～Satsukiのミディアムブログ～

５年近く前、東北大震災の一か月後、
大好きな友人が一人、天国へと旅立ちました。

彼女は１０歳年上だったので、私にとって、
優しい姉のような、憧れの先輩のような女性でした。

いつも真っ直ぐに伸びた背筋、スレンダーな美しい足のラインで、
颯爽と歩く姿は、私だけでなく道行く男性も見惚れる気品がありました。

若い当時、海外へ留学に行ったり旅行したりで、
いろんな経験と知識を持ち合わせている、知性溢れる女性でした。

そんなだから、
海外旅行大好き冒険大好きの次女に、彼女はいつも声援を送ってくれていました。

「若いうちにいっぱい冒険して、いっぱい海外旅行楽しんで、
　いっぱいいろんな経験して自分を豊かにしなさいね♪」

彼女のお母さまも私たち家族は大好きで、親戚のようなお付き合いをしていて、
私が離婚した当時は、「孫が出来たみたい！」と喜んで毎日のように娘たちと遊んでくれました。

彼女は生涯独身だったので、私が与えられなかった楽しみを、
さつきちゃんが母に与えてくれたと喜んでくれるたびに、
私は何て言葉を返していいのか、正直戸惑いました。

そんな彼女のお母さまから、お誕生日のプレゼントに真珠のネックレスを頂きました。
彼女は大手の宝石商に長年勤め、経理＆社長秘書をしていたので、
それが彼女が選んでくれたものだと直ぐに分かりました。

ブルーのようなパープルのような、光沢のある上品な色と艶は、
初めて観る美しさでした。
そして、素人の私でも高価なものだと分かるものでした。

触れた瞬間、柔らかい温度を感じて驚いたのを鮮明に覚えています。

これでコシヒカリいったい何キロ買えるんだ！
考えただけでどきどきが止まりませんでした。

「こんな素晴らしい真珠頂けない。」
（コシヒカリの方がいいと言えず。欲があるのか無いのか。笑）
怖気付いて断ると、お母さまと彼女が言いました。

「何言ってるの！これはさつきちゃんが着けるために選んだのに！」

「だって私にこんな高価なもの似合わない！」

「何言ってるの！さつきちゃんが着けてるのを観たいの！
　絶対に似合うから。ねっ！」

「あかんて！」「着けなさいて！」
「いやあかんって！」「はよ着けてみなさいって！」

真珠を互いが押し付けあいながら繰り返したのですが、
とうとう二人にがっつり抑え込まれ、首に装着されました。笑

「ほら～～～、観て観て！やっぱり似合うわ～・・・。」
「ほんと、さつきちゃん色が白いから良く似合うね～。」

色が白いのは万年貧血症で顔色悪いからです。T-T


私は大金を両手に抱えて逃走するような格好で、
真珠のネックレスを抱きしめダッシュで家に帰り、
ゼイゼイ息を切らし安堵したのです。


その後も恐る恐る真珠を身に着け鏡を見るも、
やっぱりこんな私には似合わないとため息交じりで外すこと数回。

あれから十数年。
はてさて、あのネックレスは何処へ仕舞い込んだかとんと忘れてしまっていました。
あまりに厳重に仕舞い込んだお陰で、どこを探せど見つからず。

いつか本格的大捜査をしなければ・・・、と思っていましたが。


先日、夜中目が覚めると目の前に2ｃｍ程の小さな金色の球が浮かんでいました。
くるくると時計回りに回り、金色の光沢を放つ球。
目をぱちぱちしても消えずに静止している。

彼女が天国へ旅立って一週間後、同じ金色の球で現れたので、
直ぐに彼女だと理解しました。


「・・・・・・・。」

何か言ってるのが聴こえました。
でも何の意味かさっぱり・・・。
寝ることにしよう。そのまま又寝てしまいました。

で、朝目覚めて夜中のことを思い出し、
きっと夢だな・・・、と思った瞬間。

ずっと忘れていたあるバッグを思い出しました。
何故突然そのバッグを思い出したのかさっぱり。
でもどうしても今直ぐにそのバッグを探さなければ！

無意識の動作は押入れを開けていました。
そして積み重なった物を押しのけそこどけ私が通る。

押入れの中で暴れること数分。

「あった～～～！！！」
厳重に紙袋に仕舞い込まれたバッグ！

おもむろにバッグを開くと、はいそうです。
ありましたよ。大捜査の末真珠のネックレスこんなところで発見。

「えっ？えっ？」
つ～か、何でこんなところにいつの間に仕舞い込んだんだとすっかり記憶にない本人放心状態ですが。

「隊長やりましたね！」「おぉ！俺たちの苦労が報われたぞ！」
意味不明の言葉を一人二役こなしながら、白いケースをそっと。

開けるつもりが緊張して変な力が入り、勢いよくパカっと開いて。
真珠のネックレスが飛び出しあわわと急いで拾い上げました。

不思議なもので、あの時と同じ柔らかい温度が感じられました。


それを感じた瞬間、夜中に彼女が現れた時に何を言っていたのか何故か分かりました。

「自信持ちなさい。今のあなたに似合うから。」

ちょっと泣きました。


さぁ、この真珠のネックレスを着けてどこへ行きましょう。

☆子さん、今度こそ自信を持って背筋を伸ばして、胸元に揺らせて歩く私を観ててね♪


これも☆子さんが天国から私と遊んでくれたお話。
慌ただしい年末、ちょっとしたブレークタイムにどうぞ。＾＾
「彼女の彼に恋をした」



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