2018/08/13(月)00:58
幽霊ちゃんの祖母、迎えに行くの巻
前回の友人がスピリットになって現れたお話に続き、
今回は私の最愛の祖母、ウルトラばばぁの幽霊話を。
師走の忙しい時に、どうかと思う内容だけれど、
これ読んでちょっとばかりほっこりしてもらえたら嬉しいわ。
このブログにも祖母の想い出話をお盆の恒例ネタとして、
何度か記載してきましたが、
天国に逝ってからも時折サロンパスの香りを、
私の寝室に充満させてくれる祖母です。
今年のお盆には祖母が納骨されているお寺にお参りに行ったのですが、
驚くことに声がえらい若くなっていたんですよ!
もう最初は誰かわからないくらいにびっくりしました。
たくさんの人に混ざって、炎天下での参拝だったので、
ゆっくりと手を合わせお話しできないことを謝ったら、
「早く日陰に入りなさい!」と聴こえて、
なんのこっちゃと顔を上げ歩きだしたら、
急な立ちくらみで座り込みました。
一緒に行った友人が慌てて抱えてくれ、
日陰に連れて行ってくれて落ち着きました。
炎天下の中、めまいが襲うのを予知したのか?
「ば、ばあちゃんありがと・・・。」みたいな。
こうして今も時々現れては、がはがは笑う顔を浮かばせてくれる祖母ですが、
亡くなった時にはそりゃもう大変だったんです。
私の実家に引き取られ、随分痴呆も進行していて、
誰に会っても、「初めまして。」と挨拶する中で、
唯一私のことだけは一度も忘れること間違えることなく、
「あ~、さつき。」と嬉しそうに笑ってくれていました。
ある日お風呂から上がった祖母を、
ちょうど実家に顔を出していたのでお風呂場に迎えに行ったら、
私の手を握ってしみじみ顔を見詰め、こう言いました。
「さつき、幸せになるんやよ。元気でね。」って。
その時は私も驚いて、何言ってんだばあちゃんってば!
明日もくるから変な事言わないで、と返したのですが。
残念なことにそれから実家へ行く機会を逃し、
3日後にお風呂場で心臓発作を起こして倒れ、
この言葉が祖母からの最後の言葉になろうは当時夢にも思いませんでした。
母の叫びに似た声で、お風呂場で倒れていると電話が入り、
パニくった私は娘の小さな靴を履いて実家に走った時には、
湯船に服ごと浸かって、素っ裸の祖母を抱いて泣きながら呼ぶ母を観て呆然としました。
「電話して!救急車!」と母の叫び声に我に返り、
慌てて受話器を取っても、とっさに番号浮かばないんです。
自分の自宅の番号を回しかけて慌てて掛け直すという。
199だったか、114?ふぎゃ~~!!状態でした。
何とか119の救急に繋がり、受話器の向こうの人に、
祖母がお風呂場で倒れて!息してません!早く来て~!
が精一杯で、あとはもう何を叫んでいたかさっぱり。
一つだけ覚えているのが、救急の方が、
「落ち着いてください。その方はおいくつですか?」
の質問に、あたしゃ自分の年を言いましたよ。
それもちょっとサバ読んでは訂正するという。
これが女の性というものか。笑
「いえいえ、救急の方の年齢です。」
と落ち着いた声で言われ赤面。ちゃんちゃん。
そんなこんなで救急車が到着し、心臓マッサージをしながら、
病院へと搬送され、同乗した母がタンカと一緒に走ってたら、
そのまま失神して看護師さんたちがまたタンカを持ってきて、
母を乗せて走るという。私はもう大パニックでめまいと吐き気の、おえ~っ!連発。
祖母のタンカは右へ、母のタンカは左へ進む。
私は鳩みたいに右往左往泣きながら、おえっ。
とにかく一番頼りになる従姉に電話して来てもらい、
処置室の前でえんえん泣きながら待っていましたが、
長い時間、心臓マッサージと電気ショックを繰り返してくれたのですが、
祖母の心臓が動くことはありませんでした。
処置室から出て来て「残念ですが・・・。」と、
言葉を掛けて下さったお医者様の汗だくの姿を観て、
私は感謝で胸が一杯になり、深々と頭を下げました。
死亡時に誰も居なかった場合司法解剖が必要と説明して下さるのですが、
ほとんど頭に入らず、従姉が対応してくれるのをぼんやりと観ていると、
ほどなく刑事さんが訪れ、簡単な説明の後祖母の遺体を連れていきました。
父が到着すると同時に慌ただしくいろんな人が訪れ、
次々と手配をしてくれる中、私はただその光景を観ているだけでした。
その後のことはほとんど覚えていません。
足元に目をやると、娘の小さな靴を履いていることに気付き、
それをぼ~っと見詰めながらほろほろ泣いていたことくらい。
次の日の夜、
警察から祖母が運ばれた病院に遺体を戻しましたと連絡があり、
私はその瞬間緊張感が解けたようにぐっすり寝てしまいました。
その時です。
熟睡していたはずが突然祖母の叫び声で目が覚めました。
「さつき~!さつき~!」って。
「怖い!さつき~!」ってパニくって泣き叫ぶ祖母の声で飛び起きました。
飛び起きてばあちゃん説得。
ばあちゃん落ち着いて聞いてね。
もうその体の中に居ないからね。
明日の朝迎えに行くから待っててね。
何度心の中で声を掛けても聴こえている感じがありませんでした。
「寒い!さつき!どこにおるんや~!さつき~!」
どうしたものかと考えましたが、
一刻も早く祖母を落ち着かせてあげるためには、
祖母が安置されている霊安室に行くしかないと、
意を決して深夜の病院へ向かおうと起きて身支度をしていると、
心配した従姉が電話をしてきてくれたので、
事情を説明すると一緒に行くと言ってくれ、
有り難いことに病院は自宅マンションの斜め前でしたので、
私は直ぐに向かい、従姉と病院の前で合流しました。
救急の窓口に座っていた関係者の方に、
どうしても祖母に会いたいと無理を言って霊安室へと連れて行ってもらいました。
怖がりの従姉、もっと怖がりの私。
ぴったり体をくっつけかちこちに。
関係者の方に続き、膝がくがくの二人が霊安室に入ったら、
白いシーツに全部包まれた遺体が二体安置されていました。
私がとっさに一番近い遺体に近付くと、
関係者の方の「あ・・・。」との声にふぎゃ~っ!
異常に反応飛び上がり従姉と抱き着いて、
関係者の方に振り返るというお約束ネタ。
「あ、あの、そちらではなくて、
奥に安置されてる方です。」
従姉と抱き着いたまま顔を見合わせ、
その姿勢のまま同時にお礼とお辞儀。
関係者の方が帰りにまた声を掛けて下さいと退室。
かちゃっと静かにドアを閉めて下さったのに、
その音にまた二人ではぎゃっ!と小さく叫ぶ。
ぽつんとドアの前に佇んでいると、
従姉が小さな声で話しかけました。
「寒いな・・・。冷蔵庫の中に居るみたい。」
「腐ったらあかんからやろな。」
「せやな。腐ったらあかんな。」
「せやろ。」「せやな。」
二人顔を見合わせながら、何故か暫くせやろせやなを連呼しながら、
うんうんと頷きながらお互い押し合っては前に進ませようとしてる。
すると・・・。
ドアが閉まるまでは何の音もしなかったのですが、
ドアが閉まって暫くするとこれがすごいラップ音。
ちっちゃくパキっとかだといいけれど、
そんなやわな音じゃなかったのですよ。
もう何かが暴れてるようにバキバキ!って部屋中に響くんです。
「早くばあちゃんに言いなって!あぎゃっ!
さつき早く~!ぎゃ~!ごめんなさい~!」
ラップ音のたびに小さく叫びしがみつく従姉に、
着いて来てありがとうとか今頃何を言うんだ私。
「いいから~、そんなこといいから早く~。TOT」
泣きそうになってる従姉を観ると思わず笑ってしまいました。
すると聴こえたんです。さつき~!って。
従姉ではなく祖母が呼んでる声が・・・。
「聴こえた!ばあちゃん!」
「あぎゃ~~!早く~~!」
慌てて従姉を振り払い祖母の遺体の前に立ち、
深呼吸をして、ゆっくりと目を閉じました。
「ばあちゃんここに居るよ、観える?迎えに来たよ。」
そう声を掛けると、祖母が私を観つけてくれました。
「さつき!さつき~!怖い~!」
「もう大丈夫やよ。ちゃんと連れて帰ってあげるから。
私から離れたらあかんよ。一緒に帰るよばあちゃん。」
そう伝えると、不思議なことに今まで響いていたラップ音が消えて、
部屋の中がし~んと静まり返ったのです。
「えっ!静かになった!何?何~?」
驚いて辺りを見渡す従姉の手を引き、
慌ててドアまで走り部屋を出ました。
その間いったいどれだけの時間が経ったのかわかりませんが、
関係者の方にお礼を言い、病院から出た私達はぐったり放心。
従姉と顔を見合わせ、何故か笑いが込み上げ爆笑しました。
極度の恐怖は、爆笑との紙一重だと心理学の本で読んだのを思い出しました。
お化け屋敷から出たら、何だかみんな爆笑してしまう感覚ってあるでしょう?
だからお化け屋敷はどこの遊園地も人気なんですってよ奥さん。
そして二人落ち着いて歩き出すと、
ふと従姉が呟きました。
「さつき、湿布か何か貼ってる?」
「いや、何も貼ってないけど何?」
「湿布の匂いがする。何だこれ?」
「ばあちゃんのサロンパスやわ!」
「あ~・・・、一緒に居るんやね。よかった~。」
生前は体中のあちこちにサロンパスを貼りまくっていた祖母。
大騒ぎの末、どうやら祖母は無事私達と一緒に脱出成功でした。
私も従姉も、サロンパスの強烈な匂いに安心して帰宅しました。
長くなったので、
ばあちゃん幽霊で現るは水曜日に・・・♪
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