森へ行こう（心とからだと子育てと）

最近、困ったことに大人たちが幼稚化してきているようです。

政治家たちが幼稚化してしているのは皆さんご存じの通りですが、テレビを見ていてもゲームの広告の中でゲームで遊んでいるのは、子どもではなく大人です。今や、ゲームのターゲットは子どもではなく大人のようです。

ＴＯＫＩＯのメンバーがロリっぽいデザインの小さな女の子のデザインに「かわいいーー」などと子どものような声を上げているＣＭを見ていると、強い違和感を感じます。

実際、電車の中でもスマホやゲームでゲームをやっている大人は珍しくありません。子どもとゲームの取り合いをしているお父さんの話も時々聞きます。

それでも「取り合い」も「関わりあい」の一種なのかも知れませんが、お休みの日には自分の部屋に閉じこもって一人でゲームに興じているというお父さんもいるようです。

その原因として、「今の若い大人たちは生まれた時からゲームで遊んできて、ゲーム以外の遊びを知らないからだ」ということもありますが、どうもそれだけでは説明できない現象も起きています。

最近見たニュースによると、町のゲームセンターにお年寄りたちが増えてきているようなのです。

小学生ぐらいの子どもたちに交じって、年金生活をしているような年代のお年寄りたちがゲームに夢中になっているのです。

そんなお年寄りたちを子どもたちは素直に受け入れているようですが、ある１６歳の少年は「祖父祖母に当たる人たちが射撃や戦闘のゲームに興じている姿は何か変だけど」。とコメントしています。

今や、大人たちが子どもたちの「あこがれ」でも「目標」でもなくなってしまっているようです。テレビをつけてもそこに出てくるのはおバカな大人ばかりです。

でもそれは、子どもたちが自分の将来に夢も希望も持てなくなってしまっているということでもあるのです。

あこがれるような「かっこいい大人」がいるから、子どもたちは成長の先に希望を持つことが出来るのです。

どうして大人たちが幼稚化してきたかというと、現代社会が幼稚化した人間しか求めていないからです。そこには、人々が自分で考える力を失い、お金の亡者になって欲望のままに動いてくれた方が経済が活性化する、という論理があるのかも知れません。

経済優先の社会においては人間の理性は必要がないどころか、むしろ邪魔なのです。そこに必要なのは流行や相手に迎合する能力だけです。そのため流行や相手に迎合しない人を「ＫＹ」（空気が読めない）といって否定します。

そのような価値観だけで生きている人が幼稚化してくるのは至極当然のことです。

でも、幼稚化した大人ばかりになってしまった社会では、政治や経済も成り立たなくなってしまうのです。

今の子どもたちの生活には「家庭の外」「学校の外」という場がないのですから、社会に出てから「一人の人間として生きていく能力」、「他の人と協力し合う能力」、「弱いものを助ける能力」まで「家庭の中」や「学校の中」で学ぶ必要があるのです。

でも、お母さんたちの関心は「お母さんの言うことをよく聞くようにしつけること」や、「成績」や「習い事」ばかりです。

学校教育でも「試験に合格するだけの能力」しか教えてくれません。だから、会社に入ってから、社会に出てからどうやって生きたらいいのかが分らない人間ばかりが増えてしまっているのです。

今の日本には、子どもたちが「人間として」成長する場がないのです。社会全体にも人間としての成長を大切にする価値観は失われてしまっています。

これでは日本人全体が幼稚化しても当然のことです。

それでも、ただ生活するだけなら何にも困らないのですが、一番の問題は幼稚化した人間には子育てが出来ないということなのです。

子育ては「大人の仕事」だからです。