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人は、自分の頭や心の中にあるものを観たり感じたりすることが出来ます。「悩み」、「苦しみ」、「不安」といったものはその世界からやってきます。
でも、「悩み」や、「苦しみ」や、「不安」はそれ自体では存在出来ません。「からだ」の手助けが必要だからです。 悩んでいる時には悩みやすいようにからだの状態が調節されています。姿勢や、緊張や、表情や,仕草や、動きや、内蔵の働きなどが手助けしてくれるから人は悩むことが出来るのです。 そして役者は、その姿勢や、緊張や、表情や、仕草や、動きといったからだの状態を真似ることで悩んでいる人を模倣しようとします。 これは「悩み」だけでなく「苦しみ」や「不安」でも同じです。 自分にとっては「頭や心の中だけの問題」なんですが、他の人はその人の「頭や心の中の状態」を「からだの状態」として見ることが出来るのです。実は、「からだ」は、「他の人が見ることが出来るその人の心」でもあるのです。 ですから逆に、お酒や、薬や、麻薬や、何らかのエクササイズなどでからだの状態を変えてしまうと、「悩み」の原因は消えていなくても「悩み」は居場所を失い消えてしまいます。 楽しくなくても笑ってしまうことで苦しみが和らぐこともあります。 ただ、ほとんどの場合それらの効果は一時的なものです。頭や心の中の世界は「デジタルワールド」と同じで実体がありませんが「からだ」には実体があるので、そう簡単に変わることが出来ないからです。 記憶は頭の中だけでなくからだの中にも残るのです。というか、「からだの記憶」が「心の記憶」を支え、「心の記憶」が「頭の記憶」を支えているのです。「からだの記憶」や「心の記憶」と繋がっていない「頭の記憶」はRAM(Random Access Memory)に書き込まれた情報と同じで、ちょっとしたトラブルや時間経過で簡単に揮発してしまいます。 実際には、「からだ」というハードに組み込まれた「からだの記憶」の方が、脳細胞に情報として記録されているだけの「頭の記憶」よりもはるかに強力なんです。 だから痴呆症になって自分の子どもの顔を忘れても、さっき食べたご飯のことを忘れても、話したり、歩いたり、日常生活の方は普通に送ることが出来るのです。 でも現代人は「頭の記憶」ばかりを大切にして、「心の記憶」のことも、「からだの記憶」のことも忘れています。学校でも「頭の記憶」ばかりを育てようとしています。でも、そんなもの、必要がなくなったら簡単に消えてしまうのです。 (シュタイナー教育ではその逆に、「頭の記憶」よりも「心の記憶」や「からだの記憶」の方を大切にしています。そして、「からだの記憶」が無意識を作りだしています。宮沢賢治もからだの記憶を大切に考えていました。) お酒や麻薬などで一時的にからだの状態を狂わせて悩みや苦しみを心の中から消しても、それらの働きが消えると共にからだの状態も元に戻ってしまいます。そして、からだの状態が戻ると悩みも戻ってきます。だから麻薬やお酒を飲み続ける事になってしまうのです。 ただし、何らかの「心とからだに同時に働きかけるようなエクササイズ」で不可逆的にからだの状態を変えることが出来れば悩みはそう簡単に戻って来なくなります。でも、これを実現するためにはちゃんとした指導者と本人の継続的な努力が必要になります。 なぜ指導者が必要なのかというと、 人は自分で「自分のからだの状態」を感じることがなかなか出来ないからです。からだの状態の結果としての「快・不快」は感じることが出来ても、その「快・不快」がからだのどのような状態によって生まれているのかまでは分からないのです。 人はちょっと姿勢が変わるだけで、意識の働きも、心や感覚の状態も、思考回路も変わってしまうのですが、そのような「自分そのもの」に属するようなことは、その変化を自分では感じることが出来ないのです。 そのため、人は自分のことなのに自分が普段どういう姿勢でどういう歩き方をして、どういう表情で話しているのかを知らないのです。また、自分と他の人とを同じ基準で比較することも出来ないので客観的に自分のことを見ることも出来ません。 だから「心とからだのつながり」のことをよく知っている指導者に見てもらう必要があるのです。 まただから、自分でyoutubeを見たり、本を読んだり、本の付録の動画を見て真似するだけでは、表面的な部分しか変わらないのです。 ただ、幼い子どもたちはまだ「悩み」や、「苦しみ」や、「不安」に伴うからだの状態が「からだの記憶」として固定されていないので、一時的に悩んでも、苦しんでも、不安を感じても、またすぐに元に戻ります。 時々「子どもを打ってしまった、子どもに怒鳴ってしまった、これが心の傷になって一生続くのではないか」と心配するお母さんもいますが、そんなことはないので安心して下さい。 ただし、その状態が日常的に継続してしまうと、そのからだの状態が「からだの記憶」として固定されてしまうため、悩み、苦しみ、不安の原因が消えてもそう簡単には元に戻らなくなります。 その結果、具体的な悩みの原因や,苦しみの原因や、不安の原因が存在していないのにも関わらず、漠然とした悩みや、苦しみや、不安が消えなくなってしまいます。 そのような状態になっていると、子どものちょっとした言動がきっかけとなって、過去の、悩みや、苦しみや、不安が再現されてしまいます。 その場合、その元々の原因はズーッと過去にあるのに、それを想い出すきっかけになった子どもがその原因であるかのように勘違いしてしまうのです。 そして、子どもを責めます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.09.18 10:34:12
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