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皆さんは柔らかい「暖簾(のれん)」を、思いっきり力を入れて押すことが出来ますか。出来ないですよね。どんなに力が強い人だって、暖簾を押す時には力を入れないものです。というか入れようがないのです。
腕の力だけでなく、人の感覚やからだの全てにおいて同じようなことが起きています。 人は「自分が関わろうとしているもの」に合わせて自分の感覚やからだの状態を調整しているからです。 柔らかいものを持てば、反射的に力が抜け、自分のからだも柔らかくなります。 逆に、重いものを持てば、反射的にからだに力が入ります。 固いものを持てば、反射的にからだも固まります。 どうしてそういうことが起きるのかというと、自分を相手に合わせることで、一番効果的に相手と関わることが出来るようになるからです。 重いものを持つような気持ちとからだの状態で卵を持ったら、卵はつぶれてしまいます。 逆に、卵を持つような気持ちとからだの状態では重いものを持ち上げることが出来ません。 これは筋肉の量の問題ではありません。 太極拳や合気道のような、いわゆる「力に依存しない系」の格闘技ではこの原理を使っています。柔らかく触れると相手がからだを固めないので、強く力を入れなくても相手の動きをコントロール出来るのです。その時必要なのは「力」ではなく「動き」(流れ)です。 力を使わない格闘技だからといって、ただ力を入れない状態で動くだけでは技はかかりません。で結局、相手の抵抗にあって力を入れてしまいます。 このようなことは生理的な反射なので、なかなか自分の意思でコントロールすることが出来ません。(トレーニングすればコントロール出来るようになりますけど) そして実は、同じようなことが格闘技の場だけでなく日常生活でも普通に起きているのです。というか、このように相手に合わせた感覚やからだの使い方をしないことには、日常生活が送れなくなってしまうからです。 子どもでも、柔らかい布で遊んでいる時には、子どものからだも緩んでいます。固い棒で遊んでいる時には子どものからだも固くなっています。 ワークでも時々するのですが、柔らかい羊毛ボールを持って話をしてもらう場合と、固い石を持って持って話をしてもらう場合とでは声の固さが違うのです。 このようなことは「触れる」という時にだけ起きるのではありません。 柔らかいものを見れば、自分のからだも緩みます。 柔らかい音を聞けば、自分のからだも緩みます。 逆に固いものを見れば、自分のからだも固くなります。 固い音を聞けば、自分のからだも固くなります。 「自然木」と「製材された角材」とでは、物理的な固さは同じでも、視覚的な固さが違うので子どもの心とからだに与える影響は異なります。 ですから、部屋の中が柔らかさを感じるもので満たされていると、子どもの心やからだも緩みます。逆に、部屋の中が無機的で固さを感じるもので満たされていると、子どもの心やからだも固くなります。 お母さんの声が柔らかければ、子どもの心もからだも緩みます。 お母さんの声が固ければ、子どもの心もからだも固くなります。 「柔らかさ」は「温かさ」でもあるのです。 だから幼い子どもは基本的に「固いもの」よりも「柔らかいもの」の方が好きなんです。 <続きます> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.11.28 08:59:52
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