ドロシー再来とメロス公演
昨日は音楽劇「一人で演じる走れメロス」を小牧市のまなび創造館内にあるあさひホールで公演でした。JAさんが主催で女性向けイベントの一環、上演後の反応も上々で、皆様よいお姉さまばかりでした。どうもありがとうございました。ホール公演は音響照明もそうですが、空調も効いているので幸せです。対して、先週金曜日は富山高岡市高陵中学校の体育館での「メロス」。こちらも皆さんの反応は良かったのですが、やはり暑い。6月から9月の体育館は基本的に暑いので、「メロス」をやると死にそうになります。ただここ数か月、突如年齢による衰えを感じ始めたり。三十路に入ったばかりの頃は身体的な劣化、例えば何も考えずに思いっきり動くとぶつけていないのに首や腰をひねったりという身体的なものがいきなりあらわれて大変だったのですが、いま突然感じ始めたのは、ふんばりの効かなさ、身体のついていかなさです。この前まではグッとふんばってこらえることができたことが、どこかこらえきれない。10分間できた事が9分間に下がったり。明らかに無茶をできる限界が下がっています。こういう「以前出来たことができなくなる」という感覚は初めてで、色々と焦りを感じました。今のうちにもっと自分のための作品を創っておかないと後悔しそうで。肩の力を抜いた激しくないものはもっと年を食ってからでも続けていけますし、出演を主にしない演出や企画なんかも続けてゆけます。だけど自分を舞台上で追い込んでゆくのはゆっくりと劣化してゆき、いつかは出来なくなる。だからこそ、まだまだ楽な位置にいくのは早すぎる。というか死ぬまで最前線にいたいです。そういうことに逆らってやっていかねば、と心を新たにしました。そんなことを考えながら富山から運転して帰り、翌土曜日はPICO企画公演「あたしがドロシー! 再来」でした。営業公演ではなく手打ち公演の再演でしたが、おかげさまで今回も満員御礼。僕は演出だったり企画だったり照明だったり、出演は僅かなので本番中も照明操作をしながら前から見ているのですが再演ならではの苦戦が一同に見て取れて非常に興味深かったです。一度、本番を通して観客と創り上げた作品は、その都度一から観客と作り直す必要があります。間を置いた再演だと、それが前回盛り上がれば盛り上がった分だけ違和感になります。その違和感に13時の部と16時半の部はみんな苦しんでいましたね。うまく行った記憶を元に、舞台側だけでなんとかしようと思えば思うほど舞台はどうしようもなくなりつまらなくなります。個人的に、お客さんが納得してわざわざお金を生の舞台に払うかどうかというのは、その舞台と客席との共同作業の部分が大きいと思っています。もちろん深刻な作品ではそのアプローチの方法も違いますが。主演の後藤さんは若い役者陣を引っ張ってくれましたが(いや後藤さんも永遠の28歳ですが)、19時の回ではそれぞれが客と対話し新しい作品構築が見られ、集大成的な出来になりました。こういうことが体感できるのは小空間ならではです。PICOの企画公演では集団としても個人としても成長してゆきたいと思っていますが、本気で成長するならば無理な公演回数、再演、そしてロングランは欠かせません。ぜひ、次の企画公演にご期待ください。「ドロシー」練習風景と打ち上げの冷食お好み焼き大爆発より、でした。