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シルバーナの船室 (ペンギンの○○です!)

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2004.10.30
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カテゴリ:映画
ひたすらストーリィが重かった
美しい自然描写と、ゆったりとした時の流れが、残酷かつ凄惨なシーンと対極をなしていて、独特なテンポ。
登場人物の心理描写は意外なほどあっさりしていて、表情と状況で察する部分も多かった。
お嬢様役の二コールキッドマンの現実離れした美しさが、美しい自然とともにストーリィ全体の悲惨さを和らげる役割を果たしていたのかもしれない。
インマンにとって幸せとはなんだったのかと考えさせられてしまった。
彼にとって、目的を持ち、その目的のためにとにかく過酷な状況を耐え忍ぶことは、それが彼の生きる意義になっていたのであろうか?
あの時代、平凡で幸せな家庭を作ることすら許されなかった男性達。戦争に行く男の人たちの気持ちは、幸せで満ち足りた生活しか知らない、ましてや女性の身の自分の想像を越えている。
極限状態に追い込まれた当事者の、悲しみと絶望、ある意味での居直りの心を推察するのが関の山である。
実際、戦争に行くことに疑問を持ち、その意義を疑ってる男性たちの多くが、徴兵という形で強制的に死地へ押し出され、家庭も、家族も、故郷も置き去りにして、すべてを捨てさせられて・・・
そして死をも覚悟するほどの負傷、絶望と苦痛と孤独以外になにも無い極限状態。かわいそう以外に言葉がでない。
彼ら兵士が、愛する女性に帰ってきてほしいと嘆願されたとき、本当に脱走兵になるという選択肢があるんだろうか?
本当の戦地、多くの仲間が無数の人柱となって後、生き残っている自分があるという状況で、
五体満足であれば、脱走という選択肢は選びたくても選べないのではないか。
死を覚悟するほどの負傷だったからこその選択肢ではなかったかとも思える。

インマン=ジュード・ロウの声と台詞回しは、宣伝とか見たときの事前の予想を越えていた。
やさしい響きを持った、静かで落ち着いたトーンであった。
あまり多いともいえない台詞量、饒舌とは対極にある言葉の選び方、演じるジュードロウ、それと日本語版吹き替えで、ロウを吹き替えた森川智之の台詞まわしにも、両者ともに、シャイで素朴な田舎の青年の魅力を、不思議な光沢をたたえる眼の演技とともに感じさせる演技だった。
世間一般には主演の女優陣の演技が前面にでていて、レニーがアカデミー賞(助演女優賞)をとったりもしたが、私のこの映画での強い印象は、もっぱらこの男優陣であった。
脚本で秀逸だったのは、けっして愛してると素直にいわないところ。いとおしい表情が心を読んでくれと訴える、たどたどしい台詞に、愛の深層をにおわせる。
ネタばれになるが、結婚しますを3回言うシーンでジーンと来た。1回目、2回目、3回目(この3回目がやや弱く確信がなさげ、むしろ自分を信じろと自分に言い聞かせる感じかな)1回ごとに、台詞に込められてる感情が違うことを物語る、言葉を紡ぎ出すごとに変化してゆく心理を絶妙に表現してた。
それと傷つき倒れた時に、おばあさんの前でさらけ出した、弱音を吐くシーン・・・一緒に泣きたくなった。
どっちもこの映画の彼らの(演じたロウも吹き替えの森川も)ハイライトである。それと本当の最後の時の台詞もね。涙なしでは聴けない。

今回、魅力大爆発のジュード・ロウの素直な生き様演技、日本語吹き替えの妙演技も含めて、彼ら男優陣の魅力こそが、この映画の重要なエッセンスであり、要であると思えた。
そうでなければ、その後に4本もたてつづけに映画出演があるなんて、ジュード・ロウがこんなにブレイクした理由が思いつかない。
一方ロウを吹き替えた森川もここずっと大作が続いている。
アカデミーにでもノミネートされてもおかしくない心にしみる秀作のビックフィッシュでは、最近準固定(?)のユアンマクレガーを優しくほんのりとした演技で吹き替えている。これも好演。
別の日記に感想を書いた。
そしておそらく激しい演技になるであろうブラザーフッド。
主演の一人チャンドンゴンを吹き替えるとのこと。こちらは韓国の大作で、映画としては戦争をかなり生々しく扱っていて観るのに覚悟が必要な雰囲気だが、森川の熱演が期待できそうなので観るつもりだ。





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Last updated  2004.11.01 13:15:33
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