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シルバーナの船室 (ペンギンの○○です!)

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2004.11.12
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今年(2004年6月)テッカマン・ブレードのDVDBOXをネットで購入したきっかけは、本当に気まぐれと偶然であった。
仕事に行き詰まっていた。プレッシャーで髪がぬけ、円形脱毛症が悪化していた。会社以外で仕事のことを考えるのが苦痛になっていた。
仕事のフェーズ少し変わり、短期で追われる仕事が減って、その代わりに長期に悩ませる仕事が急増した。自分の時間がすこしだけ持てるタイミングになった。そんな時、再びむしょうに昔はまったアニメに向きあいたくなった。

DVDBOXは私にとっては新鮮な驚きであった。
長いブランクを経てもなお、昔若い時代に得たのと同じような感動が、すでに過去に観たことがある同じ作品から得られるなどと、期待もしていなかったからだ。でも私の心は少なくとも荒れすさんでは居なかったらしい。
以前感動したシーンでは同じように、あるいはそれ以上に心打たれ、なおかつ冷静さも保ちながら客観的に作品を鑑賞できた。
そして、今回は主人公の心の動き、声優さんたちの演じる世界、構築する人間関係などをかなり細かく観察しながら三回転ぐらい本編を見つづけた。作画がぼろぼろで大急ぎのやっつけの部分が、設定も脚本も随所にぼろで出てしまっている作品だが、それでもなおかつ、このアニメには熱い血潮がある。アニメを通してなにかを伝えようという製作者たちの意気込みみたいなものが感じられる。
こと人間関係の設定や声優さんの演技は、現在のアニメと比較しても相当高いレベルにある事に気が付いた。
調べれば、出演陣の大半が12年経った今では、全員が第一線級の主人公クラスになっている。当時でもゲスト準レギュラーも含めほとんどの声優さんが一流であった、洋画やアニメで常に上位に名前を確認できる方々で占められていたのだ。
唯一、主人公のDボウイ役だけが、初のアニメ主演作品という若手であった。
そしてこの事実にたどり着いたとき、私自身がなぜここまでこの作品に惹き付けられこだわっているかの理由が、急に、はたと思い当たった。
原因は主人公であった。

タイガーマスクでの富山敬の洗礼と同じ種類のものを受けていた。Dボウイ演じる森川智之(もりかわとしゆき)の体当たり演技であったのだ。そう、私はDボウイに恋するアキと同じ心理を味わっていた。
Dボウイのしゃべり口は、それまで私がイメージしてきたどのアニメの主人公よりも大人びたしゃべり方だった。熱血系キャラでありながらも典型的な少年熱血系でなく、彼の語尾はとてもしっかりしていて、台詞の後半に安定感と強い意志の存在を感じる緊張感、そして抑揚に芯があった。なにか強い意志と魂の存在を感じ取れた。それは今までに無い存在感であった。
そして、変身シーン、魂の叫びに頭が痺れた。かっこいい!!
私はこの事実に気が付いて、声をあてている森川智之に突然興味を持った。そして急に他の出演作品をインターネットで探った。
そして、呆然とした。

トム・パリス、スタートレックボイジャー。
スタートレックシリーズでもっとも好きなシリーズそしてもっとも愛するキャラクター、彼が森川だった。うそっ・・・そういえば・・・
グレッグ
ダーマ&グレッグは見たいみたいと思いつつ機内放送や出張先のホテルなどで数回しか見ていなかった、だがおちゃめでキュートなそれでいて頼もしいグレッグの虜だった、そう、これも森川だった。
だんだん状況を理解した。
私は知らず知らず、まったく無意識のうちに森川の手練手管に嵌っていたのだ。唖然。

声優さんの仕事っぷりというのは恐ろしいものだと思った。
普通はなかなか名前も出ない、意識しないと確認できない、名前がでていてもそれはほんの一瞬であるため、VTRの無かった時代は、全部の名前を読み取れない、そのためメイン以外はほとんど認知できない。視聴者は意識して声優さんの名前を探さない限り、たいての場合はさらっと通り過ぎてしまう。いい声だったな、はて誰?と。そんな縁の下の力持ちである。
しかし、かれらは確実に聴く者、ドラマや映画やアニメを見た人たちの心の奥深く潜在意識の中にその印象と存在感をもぐりこませて定着させている。
見ている者の、その心の奥底に自分の居場所をどっかりと構築している。
そんな魔力的な声と演技力を持つ声優が何人も存在する。
その一人が、私にとっての森川であった。
私の無意識下に書き込まれて仕掛けられていた彼のトラップが起動した。私は、彼の存在を意識したとたん、それこそ縦横無尽に張り巡らされた蜘蛛の糸に絡み取られた自分に、意識を取り戻して気がついた。
そう、私の心はすでに、森川の声と演技の糸にがんじがらめに絡み取られていた。
とにかく、声優と呼ばれる役者さんたちは、頻繁にTVで顔を見せる役者さんよりも、実は出現頻度が高い。忍者のようにさまざまな顔を借りて、さまざまな役を通して、見るもの聴く者に、うっとりするようないい声で愛を語りかけ、さまざまな感情を巧妙な台詞や、リアルな吐息を駆使して心理攻撃してくる。
まったく恐ろしいほどに巧妙で素適な刺客である。
こんな事実に気が付いても、いまさら遅いのだけど。
でも、まあ、刺客にやられて、落とされてしまったことがうれしいという被害者の自分がいちばんどうかしている奴だと思が・・・





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Last updated  2004.11.12 10:07:04
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