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シルバーナの船室 (ペンギンの○○です!)

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2005.02.24
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カテゴリ:声優
ドラマCD カオス レギオン
商品番号: KICA-1292 発売日: 2003/04/23
<キャスト>
ジーク/森川智之
ドラクロア/小杉十郎太  
シーラ/浅川悠
アーシア/武藤寿美
>>カプコン社ゲーム「カオスレギオン」のドラマCD。
中世ヨーロッパをイメージした架空の世界が舞台。
剣を武器に異形の敵と戦うファンタジーオペラ仕立ての3DアクションゲームをドラマCD化。
二人の勇者がたどる数奇な運命。闇の力を封じるために戦いながらも、闇との戦いで聖典と共に姿をくらました聖剣士ドラクロア、ドラクロアの部下でもあった勇者ジークはドラクロアを追い放浪して混沌の闇と戦いつづける。二人を救い混沌を封じるために身を投じたシーラ。そして家族の敵を取る為に闘うアーシアという設定。
ドラクロアは聖印を開放して世界の再構築をもくろんでいるらしい。それを阻止するために追っているのがジーク。小説版はかなり長編で人気があるようだ。ゲームも機種移植してPS2版や8ヶ国語の国際版など、いつか出ているようでFF並に人気があるのかもしれない、良く知らないが・・・。ただし、ドラマCDとゲーム版ではキャストがぜんぜん異なり、PS2移植版のジークが押尾学(この人若手俳優さん?)などで、ネット検索したところ、あまり評判はよくないのか?ドラマCDのキャストがプロの声優でよかったと、餅は餅屋に頼みたいなどのコメントを数件みつけた(笑)。
さて、この中古CDはジャケットがFF(ファイナルファンタジー)などと同じCG系のリアルキャラで、ちょっとカッコイイ。あまり先入観を持ちたくなかったので、森川さんと小杉さんガチンコ対決のドラマCDだとは知らずにいきなり朝一番に出勤前に聴いた。
1話10分ほどで全部で5話まではいってて、第1話はプロローグとして世界の紹介と発端となる悲劇のエピソード。2話以降はジークの戦いの記録としてジーク(森川)のモノローグで進む。最初に闇にとりこまれ宿敵となるドラクロアの小杉さんと主人公ジークの森川さんの二人には長々とセリフがあり、他の方々はつけたしな感じ。
何か重大なものに触れそれを知ったために世界を覆す条件をととのえようと暗躍する小杉さんのキャラは、それほど作り込みはなく、小杉さんの正統なヒーロー声。ちょっと絵の雰囲気よりも声の雰囲気はおじさん?
でもって、ちょっと疑問。
これは通常のゲームと同じく別録りだろうか・・・ドラマだから一緒に録ったと思いたいが・・・たまに森川さんと小杉さんの演技に温度差を感じたんだけど、なぜかな?
確かに、あまりいじり切れない正統派な勇者というか聖剣士のキャラという点では森川さんのジークも同じであるが、それにしても、小杉さんの場合はぜんぜん憎々しく作っていないので、天然に自分のやることを正当化している感じがする。もうすこし聖戦士であらんとする部分と、闇の考えにとらわれて自己を正当化するところのセリフにメリハリあっても良かったのではないかとも思う。作品制作側と私の解釈の違いか?

さて、本題に入ろう。感想を書きたいと思ったメインの理由だ。
それは、後半での森川さんの演技にある。
前半は正直、普通に聴いていてあまりの乗れないテンポと平凡な展開。BGMや効果音はリアルでかなり臨場感もあって素晴らしく、この少人数の出演での演出にはありえないぐらいの豪華さ(ゲームの賜物かもしれない)だが、繰り出されるセリフ(台本)にはそれほどの魅力は感じられずに半分以上がすぎる。
しかし後半でやっと物語に入り込める。そして問題のシーンにつながる。
特に、森川さん役のジークが心を一時的に闇に支配されるシーン、鳥肌。闇に心が惹き込まれ、ドラクロア(小杉さん)がそれまで吐いていたセリフをまんまジークが我が意を得たりとしゃべるのであるが・・・
こんなにも悪辣な考えに取り付かれて自己陶酔するセリフが似合う若い2枚目ヒーロー声の人って・・・(ベテランには居るけど声若くないし、若手声優さんにこの演技はちょっと難しい)コレこそが、こういう役に配置されることが多いこの人の個性だと思う。さすがに、アニメやゲームで悪役(しかもラズボス系)を数こなしてるだけのことはあるなと、この迫真の演技には身震いした。この数分間の為にこの1枚のCDが有るといっても過言ではないほどに、素晴らしい。
森川さんのファンでも、エルンスト(ネオロマンスアンジェリーク)などから入った系統の方々は、端正な顔立ちのキャラ、知的かつクールビューティな台詞回し、BLの攻め系の2枚目で鬼畜でキザで冷徹な感じが好きという人、多いと思う。実際アニメには、雄たけび叫び系セリフが上手い男性声優さんは、もちろんそれが売りの檜山さんなど、歴代のヒーロー経験者が居るが、現役で生き残ってるいる正統派ヒーローは数える人数だ。
綺麗な2枚目声のステキな声優さんでも、若手・中堅関係なく、叫ばせると意外にへなちょこで声が裏返ってしまう人が多い。そんなわけで、森川さんは、どうしてこんなに怒号とか悪の決めセリフが上手いの?と本人に聞きたくなるぐらい。この人には、こういう叫び系の多い役が似合う。本性を抑圧したキザな2枚目(エルンストは自分を押さえこみながらやっている発言あり)にとどめておくのはもったいない、どんどん叫ばせて、悪に落ちたり、正義に戻ったり、泣いたり、猛り狂ったり、狂気に血迷ったり、甘い愛を囁いたり、などの喜怒哀楽と危機一髪や困難辛苦がいっぱいでてくる役のある話をあげたいなぁと思う。

さて本編に戻る。このジークが世迷うシーン以外では、とりたてて特筆するエピソードもなく、普通のヒーローファンタジーもの。世界は構築されているが人物的背景(性格付けなど)はまったくないので、役者としては、何もいじれないし冒険も出来ない正攻法キャラと典型的な普通のセリフ、役者さんの演技に特別な何かを求めるのも可哀想なぐらいのストーリィ設定。そんなわけで、普通のシーンではお二方とも普通にステキな声で自然に演じている。
森川さんの声の高さ、しゃべりは10年の歳月をして彼を不動の2枚目ヒーロ役たらしめているテッカマンブレードの演技、すなわち森川の中の典型的なヒーローというのは、このブレードのキャラを原点(起点)として発展しているのだと思う。気合の怒声も雄たけびも絶叫もそして吐息も荒い息もうめきも痛む声も・・・すべて原点はブレードの演技なのだなと、このドラマCDで実感。こういう演技を楽しみたいときは他のキャラの邪魔がはいらない分、このCDはおいしい(笑)。とくにいくつかのセリフ回しに、まったくもってブレードの時と同じものを聞き取った、10年1日の如く、同じ節回し。セリフにアンカーがあった。
この視点では、出番的にも痛んだりするシーン少ない小杉さんには、感情移入のお芝居をするチャンスが少なくて残念。それと、吹き替えメインの小杉さんの場合、こういうのはすこし苦手かもしれないなと思わせる部分があった。このCDではアクション系のお芝居経験の多い森川に軍配。

それにしても・・・森川さんの、こういう演技に出会うために、こうやって出演作品を探しまくるのをやめられない気がする・・・と、べた褒めしたあとで、注文もつけておこう。
このCDの弱点は大半のモノローグシーンの平凡さ。森川さんがさらに進化する余地を残している部分だと思う。この、何の感情的な手がかりや自己表現の根拠も見出せないような平凡なシーンで如何にして聞き手を魅了するのか、うねりとか脈動感のある芝居という点では、大塚明夫さんや大塚芳忠さんなどの超ベテランの技をもっともっと盗んでもらいたいなと思う。





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Last updated  2005.02.24 13:50:22
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