|
カテゴリ:カテゴリ未分類
それは、月曜の夜だった。
新宿の一角、とある業界団体の事務所ビルの会議室で、 秋にパシフィコ横浜で開催するビジネスカンファレンスミーティングの中身を打ち合わせた。その帰りだった。 JR新宿駅へ向かって歩きつつ、打ち合わせしたビルから出て10分ほど。 最寄のJR駅入り口とつながる高島屋へ向かって、街中をさまよい歩いていた。 そして、突然、忽然とというべきか、 目の前に、整○スタジオが現れた。 こんなことって、いったい こんなに偶然行き当たることがあるなんて、信じられなかった。 確かに、この道ははじめて通る。勝手も案内もわからない、やみくもに歩いていた。 遠くに見える、タイムズスクエアのイルミネーション、それだけを目当てにして、 ひたすら、そこへ向かって歩いていただけである。 いったいぜんたい・・・ このスタジオは有名だ。 昔々から、いろいろなアニメのエンドロールに出てくる。 新宿界隈に録音スタジオが沢山あることは聞き知っていたが、それがどんな場所にあるかはしらなかったし、知る良しも無かった。 大昔、アニメマニアだったころがある(はずかしい・・・) その時代は、原画や動画のアニメーターや作画監督、撮影スタジオや録音スタジオに音響監督なんか、なんにでもこだわりながら、アニメの中身や出来栄えをえらそうに仲間内で薀蓄した時代。かれこれ20年ぐらい前かな・・・まあ、若かったし青かったのだが・・・ 整○スタジオって、最近では、Fゼロファルコン伝説を録音してなかったっけか? ギャラリーフェイクはどこだっけ? 最近はそういうスタジオとかはあまり気にしてエンドロールをみたことないので、 ここを最近のどのアニメが使っているのか判らない。 でも、アニメ好きにはやっぱり一種の聖地だな・・・ そんなことが瞬間脳裏をかすめた。 ドアの前を一旦通り過ぎて、ちょっと足を止めて戻った。 一瞬だけ立ち止まり、ビルを見上げた。雑居ビルか? 1階の入り口から、スタジオは地下へ?良くわからないが・・・ もう、夜も7時をとおにまわっていて、ドア口はひっそりとしていた。 ドア前にある自動販売機の明かりだけがぼうっとついている。 狭い玄関の奥は窺い知れないし、人の気配は感じられない・・・ ふぅん。 目の前は、目抜き通り、車ががんがん走ってる交差点。 工事もしてるし・・・ こんなところに仕事場があるのね・・・ なんとなく、本当になんとなくだが、中では仕事たけなわな予感がする。 玄関のひっそりとしたたたずまいからでは嘘のようだが、 本能的に感じる何か、わずかに内部から感じるプレッシャーのような感覚・・・ みなさん仕事中ねきっと。 心の中で、ごくろうさま、みなさんがんばってくださいねとつぶやき、私は再び、疲れた足とPCの入った重いカバンをぶら下げて、戦闘空間の雰囲気が本当にひそかに漂う古いビルディングを背にして、歩き出した。 ふと横に、コンビにを発見。森川さんも絶対にここで1度ならず食料を買っているはずだ。そんなことを思うと、観光地気分で自分も入りたくなった。 何の変哲もないコンビニ。 内部を一周し、これから夜の部の仕事に望む声優さんの気分にならって、 自分用に夕食のおにぎりと御茶を仕入た。 レジを済ませ、店を後にした。そして、トラックが行き交うスタジオ前のにぎにぎしい交差点を越えて対面の駅ビルへつながるデパートへ駆け込む。 ショッピング街の内部の明かりが、やけにまぶしく、薄暗いのに馴れた私の目を射抜く。 エルメスやルイビトンが飛び交う世界、 派手なファッションの若者が、高級そうな身なりのOLさんが、そしてアクセサリーショップではホワイトデーのお返しを必死に選ぶビジネスマンが沢山行き交う。 なんだか、 急にこれらの世界が、不思議に、ドラマの一シーンのように客観的に目に映った。 なんだろうこの感覚は・・・ 不思議な感覚が身をつつむのを感じつつ、ぼうっとなって駅へ向かう。 いつのまにか、さっきの不思議な感覚は薄れていた。 いつも変わらぬ、沢山の人の海の雑踏と改札を通るときの「ピッ」という音が、 私を本当の意味での現実に引き戻した。 私は、何も考えず、おにぎりと御茶の入ったふくろをぶら下げて、 家路につく人でいっぱいの西行き電車に乗り込んだ。 あれは、すべてがまったく現実だったのだけど。 意図せず唐突に、あのスタジオの前に行き着いてしまった瞬間からしばらく。 多分、時間にして1~2分だろう。 まるで、あべの橋魔法商店街に紛れ込んでしまったかのようだった。 聖地ならではの超常現象かもしれない・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.03.17 13:40:33
コメント(0) | コメントを書く |