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シルバーナの船室 (ペンギンの○○です!)

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2005.07.14
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カテゴリ:映画
宇宙戦争(日本語吹き替え版)
見たのが日本語版なので、翻訳での誤解曲解があるかもしれない、DVDが出たらもう1回原語でも観てみようと思うが・・・

基本データ
宇宙戦争 (2005) WAR OF THE WORLDS
114 分 アメリカ UIP
初公開年月 2005/06/29
監督: スティーヴン・スピルバーグ 
原作: H・G・ウェルズ 
音楽: ジョン・ウィリアムズ John Williams
ナレーション: モーガン・フリーマン(津嘉山正種)
出演: トム・クルーズ(森川智之) 
ダコタ・ファニング (三村ゆうな)
ティム・ロビンス (寺杣さんか水野龍司さんだと思うが不明)
ジャスティン・チャットウィン (野島健児)
ミランダ・オットー (本田貴子)
だいたいセリフのあるのはこの人たちです。

感想
ネットで検索すると、賛否両論なのだけど、実際は否の方が多いというか、なんだコリャみたいな感想が多いのが特徴。はやくもラジー賞かと陰口をたたかれ、興行収入はマダガスカルに追い越されること必至。神監督のスピルバーグもルーカスも口をそろえて、ハリウッドで大作はもう作らないって、信じてないけど。まあ、ストレートにいえば、大金を投じていながら大いにコケた映画ということだろう。でも、実はこの映画、私は大好きだ。ごめんなさい。

ハリウッド大作不発の時代。
確かに、指輪シリーズのアラゴルン人気をヴィゴの人気と見誤った香具師によって火達磨になったお馬さん映画や、BLにも匹敵する内容なのに、歴史超大作だと思わされて投資させられたアレひさんなーなど、そうそう、忘れてはいけない、大作がこけるのは今にはじまったことじゃなくて、大ヒットに見せかけたはずれのマトリクス3本目(あたしは大好きだけど・・・オタクの権化のウシャウスキー兄弟が娯楽超大作を作れると勘違いした投資家がばかなだけで、出来は大金を投入した最強オタク映画であったし)なんてのもある。
ハリウッドの贅の限りを尽くした映画生産体質が問われているのであって、大作ということばにイメージする「誰もが楽しめるすばらしいスケール感と夢のある想像性ゆたかな感動の映画」と「八ウッド超大作」が同義語だったのは実は「ベン・ハー」時代に終わっていると思う。
全編をニュージーランドで作ったアンチハリウッド超大作の権化「ロードオブザリング」がすばらしかったのは、予算を投入したからではなく、とことん細部の細部にまで心と神経を通わせてスタッフが一丸となって作り上げた夢の産物だったから、その夢を魅せてもらえたから、観たものがあれほどまでに感動したのである。ハリウッド流のやり方で作られていたら、予算が削減されていたか、スクリーンから感じられる熱が半分以下になっていただろうし、あんな美はなかったと思う。
いまでもミナスティリスの巨大な白い尖塔を背景にして、ガンダルフがピピンを連れて白い馬で駆け上がるシーンの映像美と音楽の調和のすばらしさは、感動以外にことばが思いつかない。角笛ならして、エルフの一団が絶望の夕闇に包まれるローハン軍砦に到着したときの、武者震いにも似た打ち震えるような感動は、映画というメディアを通して感じる冒険活劇のすばらしさ、血湧き肉踊る本物の決戦の凄みを、冒険活劇を愛する視聴者にとっては、永遠に心象イメージとして形成され心に焼き付けられるだけのインパクトがあった。
あの熱病のような感動は、今のハリウッド製映画では得がたいものだ。

薀蓄が長くなった、宇宙戦争の感想をかくつもりだったのだ。
この作品は決して超大作冒険活劇(宇宙を舞台のトムが暴れ回る宇宙版インディショーズのような作品)を期待している向きには、大コケのあんじゃこりゃ映画である。
私はなんにも考えずに素直に見たので、これは家族愛を描いたパニックムービーとして観たので、本当に楽しめた。
視点がまったくずれない、徹頭徹尾トム演じるレイが遭遇した出来事であることが、まず全編をとおしてアンカーのような安定感を感じる。
ナイトシャラマン監督のサインと扱うテーマはおんなじである。父が未知の敵から子供を守るのである。でも、トム演じる等身大の父は、いくつになっても父親の自覚もなく向上心もなく、好奇心と本能の赴くままに生きてきたせいで、妻にも見放され、子供にも尊敬されてはいないだめ父。よせばいいのに落雷現場へ、好奇心からのこのこ出かけて行って命からがら逃げ帰るし、そのおかげで何が起きてるかがよそ様以上に知れたので、助かる算段をするときの判断材料になったのだが。
運がいいのは映画の進行上のお約束になるが、それでも必至になりふりかまわず、それこそ鼻水たらして泣きじゃくるぐらに恐怖を体験しながらも、必至で子供をつれて逃げるのだから、見ているほうはだんだん感情移入してくる。
こんななりふりかまわない演技のトムに会えたのは7月4日に生まれて以来だ。ダコタは、あいかわらず器用に役にはまりこみ、どこから見てもおしゃまでヒステリーもち、長男は好奇心と正義感が強いわりにはへたれたところがあって、実はトム演じるレイと似たもの同士をにおわせるキャラ。
追い詰められて、逃げ込んだ地下の納屋で出会うティムロビンス扮する切れた親父も、いかにもそこかしこに居そうで、異星人のプローブ装置とのかくれんぼがいささか長くて恐怖感のを煽ろうという意図がみえみえで、一番どきどきしながらも製作者にいい加減にしろよといいたくなった部分だが、このシーンをもうすこし上手く作っていたなら、本作品の評価もずいぶん変わったかもしれない。
ここで娘を守るためにレイがとった行動も、追い詰められたら私もやるかもしれないし、橋での群集シーンも、知り合い親子の出会いと別離に苦いものを感じたとしても、その直後に直面する危機から考えて、結局なんでも運なのだと思わせる無常感が、この作品にリアリズムを与えているのかなとも思う。
あれよれよ流されながら、どんどん恐ろしい体験をして、そして最後にたどり着くという展開は、落ちを知ったあとでも、プロセスを十分楽しめる映像と演出であり、この映画は批判するほど批判する必要がない(意味不明?)
映画に求めるもの見方を変えれば、怖さがリアルであるというスリル感がすばらしい。
ところで、もしかするとこんなに面白く感じたのは日本語吹き替えで見たからかも知れない、登場人物が日本語をしゃべり、その息遣いを含めすべてがリアルに迫ってくるのは、彼ら吹き替え声優陣の技量によるものも大きいのではという気がした。正直Mr.インクレディブルは劇場で吹き替え版で見てぜんぜん楽しめなかったのに・・・映画の臨場感は彼らの息遣いと囁きにあった気がする。原語版を観て気持ちが変わらないことを祈るしかない。

そうそう、あの落ちに文句をつけないであげてください。原作に忠実なだけだし、あの場合あれしかないでしょう、そうじゃないとウルトラマンつれて来なくちゃ人類は滅んだわけで。急にリアリズムが失われるのですから。この作品は宇宙人が責めてくるという部分以外は、とことんリアリズムの追求がなされてるという部分に恐怖と真実味があって、面白いのだから・・・

へんな感想でごめんなさい
吹き替えに対する感想は、もうひとつの日記の方に書いたので、今回は割愛。
森川さんの演技は、あまりすばらしすぎて、正直冷静に客観的には書けない。





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Last updated  2005.07.14 18:28:59
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