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シルバーナの船室 (ペンギンの○○です!)

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2005.08.04
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カテゴリ:音楽
総合評
アルバムタイトル月と金星なんだけどおそらく「月下美女(美の女神Venus)」という意味なんだと思う

私はメタル暦25年のロックおばさんで、声優さんのキャラソンといえば森川さんのかかわる曲しか聴いたことがないし、キャラソンそのものには音楽的に興味がないので、積極的にきいたことがないから、今回の2HEARTSは、初めて(気持ち的には)いちアーティストのアルバムとしてどんなものかなっていう心構えのナチュラルな気持ちで聴くことにした。その結果、いくつかの点で気がつくところがあったので、今回は森川ファンの立場ではなく、いち音楽ファンとして感想コメントを書いてみた。

2Heartsの二人はもともと個々人がヴォーカルソロとしても十分な才能と実力を持っているので、本気で継続的なヴォーカルトレーニングさえすれば、今巷でもてはやされ何十万枚もアルバムを売る中途半端なJーpopの連中を蹴散らかせるだけの力と声質を持っている。その上に、普段は歌手を生業にしていないのにもかかわらず、1日かそこらのレコーディングで、もらった曲を自分のものとしてここまで見事に歌い上げられる瞬発力と順応性をもっている。この才は、ある意味では、歌手という存在ですら、ひとつの役として演じきれる彼ら声専門の役者としての天才的な部分ではないかと思う。そんなプロ歌手が歌う以上の瞬発力とでも言えるものを、このアルバムには感じた。
唯一、彼らユニットに不足しているものがあるとすれば、それは、プロ歌手の持つ、継続的な歌いこみによるメロディラインの正確さと再現性の安定感である。リフレインにおけるメロディラインの再現性の悪さ、歌詞にひっぱられてそれなりに息遣いまで変える歌い手の勝手なアレンジは、ライブでは良くやるスポンティニアスなヴォーカルの音楽性の発動として、優れた才能を見せ付ける部分ではあるが、アルバムであまり生々しくやられると、この歌い手は音楽的に不安定だという印象を与える危険もある。
それは、歌い手が生活の24時間をすべて歌うことだけに捧げているのではないということの代償なのかもしれないのだが、それがこの人たちの音楽的な魅力を語る上ではマイナスにはならない。これを欠点としてあげつらうのは意味のないことだし、取るに足らない欠点だと思う。
それよりも、プロの歌手を生業にする人の唄にはない特殊な部分が、この人たちの歌の大いなる魅力であることを強調したい。
それはなにか、それは欠点を裏返すと判明する。
ヴォーカルとしてもっとも必要な、歌詞に込める魂の語りの部分での演出である。彼らの歌詞を語るという意味での声のニュアンスが傑出している点は、メロディの正確さを追うプロ歌手よりも優れている。歌詞に秘める言霊を大切にし、歌い手の心を切々と歌い上げるこの絶妙な技は、さまざまな役をとおして声のみで心の機微のすべて余すことなく表現し、聞くものの感性に訴えうるという声優ならではのプロの技であり、この点では、この世のどの職業の人間よりも優れていて、プロ歌手の歌いこんだ歌にも匹敵するし、一部の形だけのプロよりもはるかに優れている点である。すなわち、メロディラインのしっかりした音感に優れる上手い歌手が歌うよりも、メロディに乗せながらの歌詞の語り手としての天賦の才を彼らが備えているのだと思う。歌詞を中心にして聞く者の心を捉えて放さない何かという点では声優コンビの歌は傑出した存在だ。
2Heartsはもっとメジャーで売れてもいいのではないかと思う。アニメにジャンルづけされて終わりにされてしまうにはもったいない存在だ。

さてここまでヴォーカルを褒めたおしてかなり満足したので、つぎにアルバムとして気になった点を・・・
録音時期の違い、機材の違い、音処理やアレンジの微妙な違いから、曲は2分類される
1,3,5これは1stと同じ時期に録音されていたもの、3と5はマキシシングルで既に発表されていたものの再収録だが
それにとどまらず、3のギャンブラーではイントロがギターソロばりばりのメタルアレンジになっている。
1は1stのEVER FEREEに極似した曲であまり詳しいことは知らべて居ないが、録音の状態音質アレンジからみて、他の2曲と同様に1stの時期に収録TDされたそのままでアレンジなしではないかと思う。そんなわけで今回新規に録音されたのは2・4・6・7の4曲かな?1stと2ndのプロデューサーの考え方というか感性の違いはヴォーカルの音処理にあると思う、2ndは歌手の生声や息遣いをよりリアルに表現するためにライブっぽい生声に近づいた音処理もしくは機材を使用したと思う。もともとハスキー系で違いが判りにくい立木氏の声より高音が綺麗に広がる森川氏の声質の処理でその微妙な音加工の違いに気がつく。2ndのおとづくりはより硬質で立った感じがする。やや丸みと艶に欠けるとも言えるが。
歌詞の傾向が、あきらかに1曲目は1stと同じ路線の一緒に人生をがんばろう系だが、2・4は明らかに大人の恋心を歌い上げた、前宣伝どおりのアダルトでセクシーな仕上がりになっている。


以下修正と追記
毎日書いてる日記のページにも書いたが、2Hearts公式サイトのレポート記事と飯塚さんの日記を総合すると、レコーディングからコンサートまでの日程で判明しているのは下記の通りです

4月5日(火)MOONVENUS録音
4月12日(火)心咲き誇れ録音
4月19日(火)録音(風の歌?)
5月28日(土)MOONVENUSのPV撮影
6月12日(日)永遠の夏録音
8月6日(土)ライブリハーサル
8月7日(日)ストアイベント(握手会)/ライブリハーサル
8月13日(土)ライブリハーサル
8月14日(日)ライブ本番

上の文に「心咲き誇れ」は1枚目の時に録音したものではないかと書いたが、その後に調べて、今回新たに収録したとはっきりした。曲調が1枚目と同じだったからなんだが、音作りも極似している、1枚目から2枚目へつなぐ橋渡し的な1曲として意図的になされた物であろう、そして意表をつく2枚目としてのタイトルチューン。うーん、好みの問題か。友人に貸したら、1曲目が一番良いっていうし、別の友人は7曲目が一番良いって言ってるし・・・アルバムの曲順が一番むつかしいものなのかもしれない。このアルバムの場合は、プロデューサーの飯塚さんの好みなんだから、そうなんだろう。





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Last updated  2005.08.12 11:05:27
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