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シルバーナの船室 (ペンギンの○○です!)

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2006.08.28
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カテゴリ:映画
ホテルルワンダ(公式サイト

DVD ホテル・ルワンダ プレミアム・エディション <送料無料>

出演(声の出演)(箱書きから)
ポール・ルセサバギナ:ドン・チードル(梅津秀行)
タチアナ・ルセサバギナ:ソフィー・オコドネー(浅野まゆみ)
オリバー大佐:ニック・ノルティ(松山政路)
ジャック・ダグリッシュ:ホアキン・フェニックス(森川智之)

スタッフ監督・脚本・製作:テリー・ジョージ
脚本:ケア・ピアソン


あらすじ<オリコン・データベースより>
愛する家族を守りたいという想いをきっかけに、1200人もの命を救った一人の男の実話を映画化した感動のヒューマン・ドラマ。1994年、長年続いていた内戦が終結し、ようやく平和が訪れようとしていたルワンダ。しかしある夜、大統領が何者かによって暗殺され、大統領派は対立勢力による犯行として、報復の大虐殺が始まる…。

コメント(日記と記述一部だぶってます)
ルワンダで実際にあった大惨劇とも言える未曾有の大量虐殺を産んだ内戦を生き延びた人のお話。
大虐殺の部分をクローズアップせず、必死に生きようとする人々の苦悩と恐怖と戦いに焦点をあてながらも、世界の、より多くの人にこの事実を知ってもらい、そして悲劇を繰り返させないために、考えてもらいたい、そんな意図が感じられる作品。そうであるかこらこそ、視聴者は主人公ポールの試練を追体験する形で物語が進む。まさに、アフリカ版シンドラーのリスト(実話)。
カメラワークは驚くほどシンプルで、虐殺があるにはあるのですが、目を覆いたくなる凄惨シーンほとんど避けてます。比較的普通に見やすい作品に仕上がってますが、それだけに、同じ人がこんなにも残酷な行為を行ってしまう事実に戦慄すると同時に、じわじわとした恐ろしさが観るもの背中を寒くさせます。
なぜフツ族とツチ族は対立しているのか、それは冗談のような理由、肌の色や鼻の幅の違いという、迷信とも思える違いを民族の違いと称して植えつけたのが白人という皮肉、その部分の詳しい説明はなされませんが、それであっても、現実に同じ民族でありながらもお互いを差別し、差別が差別を呼んだ挙句の憎しみの連鎖から来たやり場の無い怒りが、片方をして根絶せしめようという発想から大虐殺が起きてしまいます。これが、まるで第2次大戦でナチがユダヤに行った行為とまったく同じなのです。
人間はどうしてこんなことをしてしまうのか、私にはわかりません。同じ人間でありながらも、そのおろかさには腹が立ってくる思いですが、人が群がり集団行動をするときのパワーと恐ろしさは、軍国主義や帝国主義に走ってしまった国家や民族の繰り返す悲劇と一緒で、少数の迫害される側になってしまったときの恐怖と孤独を、本作で十分味わうことが出来ます。

そんなわけで、ストーリィは主人公であるフツ族のホテルの支配人ポールが、思いつく限りの総ての技を駆使して、ホテルに逃げ込んだツチ族避難民とツチ族の妻と子供を果たして最後まで守りきれるのか?そこが焦点です。

出演は、今年アカデミーを総なめにした「クラッシュ」で演技派スターの座を確固たるものにしたドン・チードルが、等身大の父親であり夫であり無力なただの一人の人間である主人公を熱演していて、素晴らしかったです。そんなポールの、ある意味悪あがきであったり、機知と機転であったり、ときには運であったりするものが、すべて綾なす糸のように絡み合って、はらはらどきどきのうちに、どんどん追い詰められながらも、どんでん返しのラストが待っています。
作品としては、話のスケールを広げず、あくまでもメイン舞台となるホテルとその支配人として孤軍奮闘する主人公の目線を崩さず、実際に何が起きてどうなっているのかも、この視点からしか語られないので、全体の動きは見えません。そういう意味では、演出で一番近いのが宇宙戦争です。まさにそんな感じでお話が進みます。

外国人には関係がない、当事者にしかどうにもならない国内の内戦であり、部族間抗争なのですが、それにしても、こういう場合は国連がしっかりしてあげて、UN連合軍が介入して止めないとトンデモない事になる・・・当事者になってしまったら、と思うと寒気がします。

吹き替えは渋い面子でした。
名前の有る役者には吹き替え実績のある声優さんを当てている点と、声の雰囲気の近い声優さんを振り分けているという点で、かなり手堅いキャストです。演出も脚本も良い出来でした。
ドンの声は梅津秀行さん(wikiによればシンドラーのリストにもでていらっしゃるみたいです)演技はしっくりと嵌っていて、かなりドンの地声やしゃべりに近い演技と声で梅津さんとドンのシンクロ率は相当高いです。
個人的に、梅津さんという方は、戦隊ヒーローもので常連の方で、アニメも外画もたくさんでてますが、主人公というのは少ないかと。今回初めてメインでの声と演技を聴いて、発声とセリフまわしに、若本規夫さんを連想させる独特のクールさと素敵さがあって驚きました。とにかく、主演の彼のセリフ量は半端じゃなく、全セリフの60%ぐらいが梅津さんなので、お疲れさまでしたと言いたいです。あと、喧伝放送の声とホテルのオーナーの兼ね役が大塚明夫さん(オーナ役は役者さんに合わせて狙ったキャスティングですね)が相変わらず上手い。しかし、喧伝放送の声の人がやっと顔だしたのかと思って、しばらく混乱しました、この兼ね役は間違ってます。(笑)声に特徴があるので、失敗ではないかと・・・
森川さんが、外国人TVスタッフのカメラマン役ホアキン・フェニックスを担当。セリフ量は少ないですが、なかなか印象に残る良い役です。このホアキンを聴けば、ウォークザラインで何故森川さんを配役してくれなかったのか悔やまれます。ウォークの配給会社のキャスティンぐ担当さん、是非これを良く聴いて見てください。ホアキンのセリフの声の雰囲気と森川さんの声と演技の雰囲気は完璧に一致してました。凄いです。
さて、そのカメラマンさんは凄惨な状況になっている事実を世界に知らせようと命がけで取材をやったりとがんばりますが、やっぱり一端内戦が勃発すれば、外国人記者など本当に無力なのを思い知らされます。報道の仕事の過酷さと当事者ではない無力さを思い知る役です。本当に本当の本物の上手さがあると思ったセリフが、最後の方、出番が無くなる前でいくつか出てきて、脳天まで痺れました。あと、先ほどの大塚さんじゃないですが、森川さんもメインの出演以外にもラジオやTVからレポートする声などがいくつか聴けます。モブシーンのオフ画面でも声が・・・それから・・・一番最後までこの作品はきちんと観てください。森川さんが最後のエピローグを担当しています。それが結構な長さがあり、しかもなかなか聴けない綺麗なアナウンサー調のモノローグです。
その他、安元(チャド)さんが良い役で出てきます。他はあんまり普段知らない方々でしたが、みなさん地味に上手く嵌ってました。


原題 HOTEL RWANDA
製作国:南アフリカ、イギリス、イタリア
製作年:2004 日本公開2006年1月14日
本編122分
発売元: インターフィルム
販売元: ジェネオンエンターティメント
税抜価格: 4,230円
発売日: 2006/08/25
商品番号: GNBF-7284







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Last updated  2006.08.28 23:09:06
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