カテゴリ:人生
古い友人から かすれた様な変な声で電話が掛かってきた。 「私、もう少しで死ぬところだったんですよ。 強盗にやられたんです。」 えっ~~~、と返事したものの ピンと来ない私は、 「用事をすませてからまた、後でね」と一旦電話を切って 彼女に掛け直すと、その現実の恐ろしさに震えた。 丁寧な言葉使いで、時々私に電話をくれる彼女は、 ある会社を共同経営している女社長。 身体は小さいけれど、根性と度胸は人一倍大きく、 仕事柄、力持ちでもある。 社員が帰った後は、自分ひとりで工場で寝起きし、 時々家に帰る生活をしている。 時には夜中に一人で、こつこつ仕事をこなしたりする、 とっても仕事が好きな人、愛社精神の固まりの様な人。 そんな彼女は、とっても用心深い人でもあって、 必ず、泥棒や、強盗にそなえて常日頃、 色々心がけているとよく話していた。 ところが、 「うわあ、一生の不覚やあ」と思ったんです。 とかすれた声で、話し出した。 それは、まだ夜も早い 9時半頃、 窓の外で人の声がして、「なんですか?」と、顔をのぞかせると、 相手「この辺で、車の事故があったと聞いたんですが・・・」 彼女「いいえ、そんなん知りませんよ。向こうの通りじゃないですか?」 相手「ちょっと、電話貸してもらえますか?」 彼女「えっ、ケイタイ持っておられないんですか?」 ちょっと、おかしいなと、頭をよぎったんですが、 事故という言葉に 気が取られていたんでしょうね、 しかも、車の修理工の様な服装でもあったし、 時間的にもまだ、そんなに遅くもないし・・・ 「じゃあ、どうぞ、入って下さい」と案内して、 「事務所にはかみつく犬がいますので、こちらへ」 とわざわざ奥に案内して、入っていくと、 いきなり、後ろから、ゴ~ンと首を殴られたんです。 その後は、頭を押さえつけられ、足でめった蹴り!! 顔を見られないように、常に頭を片手で押さえつけられました。 二人組でした。 給料日前で、事務所に大金があると見込んでの犯行だったんです。 ところが、世情が物騒という事で、最近では 現金は当日に出す事にしていたので、事務所にはありませんでした。 ただ、いつも自分がもっている小さなバッグには、 大抵10万円くらいは入っているのです。でも、 その日に限って、人に貸してあげて、 中身は1万円余りしか残っていなかったんですが、 結局、手足を自分でしばらされて、 強盗は空っぽのバッグを持って逃走・・・ 「よく、これだけアザが出来て、耐えられましたねえ。」 病院では、先生がびっくりしておられました。 よく、死なずにおられたねえ。良かった! 本当に良かった!! でも、この怖さは、こんな目に逢った者でないと解らない と、彼女は 何度も力を込めて語った。 そして、そのショックで、声が出なかったそうです。 そんな話を電話でしている時、 私のキャッチホンに電話が入り、ひとまず切るわねと、 その電話に応答してみると、小さな男性の声で 意味不明のうなり声・・・ ・・・ ・・・・ ・・・ ああっ、例の「俺俺詐欺???」 ぷつんと、受話器を置いて、それっきり。 何とも物騒な世の中になってしまったものですね。 ドラマの世界だと思っていましたが、 くわばら~~くわばら~~ またどこかで、手を変え 品を変えた 巧妙な手口に 引っかかる人が なければ良いんだけれど・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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