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カテゴリ:モリスのデザイン
画家の町《浦和》の伝統を引き継ぐ小松﨑徹郎画伯の美術展を見に、伊勢丹浦和店に行ってきました。若き日にロンドンやパリに留学されてまっすぐに絵画の道を精進されてこられた画家です。以前、お目にかかった時にダンテ・ガブリエル・ロセッティやモリスたちラファエロ前派の絵が好きと伺っていたので、その絵から私もなにか大きく啓発されることがあるように思え、楽しみに出かけました。 印刷物で紹介されていた絵を拝見する限りでは少し沈んだ「暗い」感じのする印象でしたが、実際の作品を目の前にすると、「暗い」などという感覚的な感想ではなく、何か胸がしめつけられるような苦しさを感じました。どの絵もどの絵も、その前に立って一対一で向かい合うと、少し怖くなってくるのです。目が離れなくなるというよりも、絵にこもった力が、目をそらすことを許してくれないというような真剣さです。絵を見て、このような感じを抱いたのは初めてなので、その絵の背景にある画家の内面にも興味を抱きました。 一作一作に賭けている思いのまっすぐさ、重さ、深さ。絵だけでなく、画家の言葉や話しぶりにも大きく心を動かされました。ヤドカリやエビ、カニなども好んで描かれています。なぜ? 「やはり、愛しいものを油絵に描きとめたいですから」とお話しされます。「ラファエロ前派の前にヴェラスケスもいます。ああいう重厚な画風が好きです」と。 2014年の個展の時に作られたパンフレットには、次のような言葉が見られました。 「ルネサンスの画家たちの下絵が見たい。あの『フォルム』を作り出す画家の限りなく精密な眼。どうしたらあんな完璧なデッサンが描けるのだろうか。どんな工房でもいい。入門したい。その師がヴェラスケスだったら、僕は死んでもいい」
その時の個展のタイトルは「LOVERY 愛しきものへのオマージュ」でした。もちろん今回の個展もその延長に展開されている世界でしょう。息をのむような女性の絵も何点もありました。それぞれ美しさが際立った作品ですが、可憐さや優美、エロスといった性差の魅力というよりは、私にとってはもっと根源的な、やはり、生きてあることの生命のいとおしさを感じる作品でした。人間も含めて、あくまでも自然の真実を描くことに一途だったラファエロ前派の画家たち。彼らが見つめていたものが、この画伯の作品を通して、示唆されてくるようにも思えました。 最後に再び20号の「レクイエム」(上掲)の前に立ちます。「この作品は、ジャンヌ・ダルクをイメージして描かれたものですか?」「いえ、イメージではなく、ジャンヌ・ダルクそのものです。その崇高な精神性へのオマージュです」崇高な精神性に打たれる画家もまた、崇高な精神性を求めてやまぬ求道者なのだろうと思いました。 その一点のみを凝視し続けて制作に取り組まれる画伯は器用な方ではないのかもしれません。でも、少しもぶれずに、一歩一歩「本物」に向かって歩み続ける愚直な凄み。こういう目で、世の中を見ている人もいるのだなと、その真剣な人間性に心が洗われるような感銘を覚えました。 わが町、浦和を代表する画家になってほしいと心から願いました。 ********************************************** オーダーカーテン 専門店 白不二場所: 埼玉県さいたま市浦和区仲町4-1-1 TEL: 048-864-4116 ホームページ: http://www.white-one.jp/ ネットショップ: https://mitxx7.shop-pro.jp/ 自由寄稿誌ブブ:https://bubudon.amebaownd.com/ *********************************************** お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.12.31 10:07:11
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