はかせのブログ

2023/09/05(火)20:05

トイレで排尿

解剖学(254)

膀胱から尿道が外界に通じていて尿が出てくる。この経路には2つの括約筋があって普段は排尿しないように止めている。尿道の途中(男性だと前立腺の外)にあるのが尿道括約筋(外尿道括約筋とよぶ人もいる)で、普通の骨格筋でできていて、意志の命令で開く。膀胱と尿道の境界付近を締めているのが膀胱括約筋(内尿道括約筋とよぶ人もいる)で平滑筋でできている。ということはこれを制御するのは自律神経だ。交感神経が膀胱括約筋を収縮させて尿が出ないようにする。副交感神経は膀胱括約筋を弛緩させて尿道を開き、同時に膀胱の壁(これも平滑筋でできている)を収縮させ尿を膀胱から押し出す。  膀胱括約筋の制御は自律神経だから意志の言うことをきかないとも言えるが、トイレに入って準備ができると副交感神経の活動が高まって排尿するということは、トイレにいて準備ができたことを自律神経に報せるシステムが存在していると言える。膀胱にある程度尿が溜まると、膀胱の壁にあるセンサーにスイッチが入り、意識(大脳皮質が担っている機能だろう)に報告する。そろそろトイレに行った方がよさそうだ、と意識することになる。そして、よし、これからトイレに行こう、と意識すると、意識下でトイレに入って準備ができるまでの時間の計算が始まる。その計算結果が自律神経の制御センター(たぶん視床下部にあるだろう)に伝えられ、そのタイミングに合わせて膀胱の壁の平滑筋の収縮と膀胱括約筋の弛緩とを開始する。  トイレに行きつつある時に知人に呼び止められて長話が始まったりすると、自律神経は排尿に向かって着々と準備していて、膀胱の収縮と膀胱括約筋の弛緩とを開始している。こうなると意志の力で骨格筋からなる尿道括約筋を必死で締めるしかなく、ひどく落ち着かないことになる。

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