575065 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【ログイン】

モーゼルだより

2017/04/11
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
ドイツワインの現在@東京ドイツワイン協会。

最新のドイツワイン事情について、というご依頼でしたので、以下の三点に焦点を絞りました。
①静かに浸透しつつあるナチュラルワイン
②赤ワインの高品質化
③甘口の再評価


①静かに浸透しつつあるナチュラルワイン

ナチュラルワインはヴァン・ナチュレルとも言うけれど、基本的には亜硫酸をまったく添加しないか、添加してもごく微量に抑えたワイン。酸化しやすく、上手に造っていないと酢酸臭やアルデヒド臭、馬小屋や雑巾の臭いなどの異臭がすることが時々あって、これは人によって許容範囲が違うけれど、よく選ぶ必要があり、保存も生鮮野菜に似てとても傷みやすいので扱いにくい。1990年頃からフランスの一部で人気が出て、1990年代末には生産者団体が結成されて、ひとつのムーヴメントになっていく。

ドイツの生産者達が取り組み始めたのは2011年頃から。ごくごく一部であるけれども。彼らがナチュラルワインに取り組むのは、一つには有機栽培やバイオダイナミクス農法が普及して、自然に栽培収穫した葡萄を出来るだけ手を加えずに、人為的介入を避けてそのまま自然にワインにしたい、という意図がある。ある意味では補糖しないことをもって良しとした「自然純粋(ナトゥアライン)」をつきつめた姿ともいえる。

もう一つのより強い動機は醸造技術の進歩に対する反動で、逆浸透膜法やスピニングコーンで操作した工業的なワイン醸造に対するアンチテーゼとして、極力手を加えずに、最低限必要な亜硫酸を除いては(場合によってはそれすらも排除して)極力自然に、あるがままに醸造しようという試みである。ただ、そうやって出来たワインには賛否両論あり、白ワイン用葡萄をマセレーション発酵したオレンジワインが次第に市民権を得始めているのに対して、ナチュラルワインの生産者はまだごく限られている。

亜硫酸無添加にこだわるのではなく、発酵前に雑菌を抑えるために微量の亜硫酸を添加して、瓶詰め前には添加しないというやりかたには合理性がある。発酵前の添加をせずに発酵するならば傷みのない完璧な収穫でなければならないが、それは天候の状況にもよるので容易ではない。健全な発酵を行うために必要に応じて微量の亜硫酸を添加することは理にかなっている。一方瓶詰め前の添加はできればやらないに越したことはない、と山本博先生のコメント。しかしドイツワインの生産者は消費者の手元に届いて飲まれるまでの品質を保証するべきという意識が強く、EUの定める添加許容量上限近くまで添加する場合が多かった。しかし、ここ数年でそれもかわりつつあり、志の高い生産者は添加量を次第に減らしている。


②赤ワインの高品質化

赤ワインの高品質化についてはピノ・ノワールによく現れている。気候変動による完熟と、80年代からブルゴーニュから学んで来たノウハウ、さらにドイツのテロワールに適した高品質なワインを産するクローンの普及などの理由が重なって、近年のドイツの赤ワインの品質向上はめざましいものがある。ただ、ピノ・ノワールは本来冷涼な気候に適した品種なので、ドイツで真価を発揮するようになったのは自然な成り行きだ、と山本先生のコメント。試飲したラインガウのバルタザール・レスのフォン・ウンゼレム2013も、エンデルレ・ウント・モルのブントザントシュタイン2013もどちらも素晴らしいピノ・ノワール。後者はブルゴーニュ的で繊細さとともに緊張感のある味だが、前者のドイツらしく軽く繊細なフルーツ感も捨てがたい。そして値段に倍以上の違いがあることからも、手頃な価格(2000円台前半)のドイツ産ピノ・ノワール(シュペートブルグンダー)は今後大いに注目したい。


③甘口の再評価

最後に甘口の再評価については、1990年代からの辛口重視に対する反動と言える。2000年代はVDP.プレディカーツヴァイン連盟などが格付けした葡萄畑からの、パワフルでインパクトのある辛口がもてはやされ、収穫時の果汁糖度はシュペートレーゼ以上と規定されるなど、カビネットは影の薄い存在になりかけていた。しかし冷涼な気候のエレガンスとフィネスが世界的に評価されるようになると、ドイツならではの甘味と酸味の織りなす、繊細でアルコール濃度が控えめでありつつ味わい深いワインが再評価されるようになった。また、テロワールの表現を目指す生産者達が標榜した「100年前のワイン」の味わいは、発酵が残糖度20g/ℓ前後で自然に止まった、現在のファインヘルプに近い味わいという説もある。実際、甘味の印象は酸とのバランスによって左右され、酸がしっかりしていると残糖が40g/ℓ前後あってもダレないし、味わいに芯があって料理にもあわせやすい。逆に酸味がないと甘味が浮いてしまい、料理にはあわせにくい傾向がある。


ワインリストは以下の通り。

テーマ1. 静かに浸透しつつあるナチュラルワイン
1. 2011 Riesling Brut, Weingut Frank John (Pfalz)
2. 2013 Riesling Purus Pyramide, Weingut Rita & Rudolf Trossen (Mosel)
3. 2015 Trollinger Without All, Weingut Knauss (Württemberg)

トロッセンのピラミデは挙手をお願いしたところ、好きじゃないという人が多かったが、最後には残りを是非持って帰りたいという人もいて、やっぱり賛否両論。ヨーンのゼクトはそこそこ好まれたけれど、ドイツワインにしてはパンチが効きすぎているという声も。確かにとてもしっかりした味わいで完成度の高いワイン。トロリンガーは良い意味で普通。すっきりとして飲みやすい。日本の嗜好にあっている気がする。

テーマ2. 赤ワインの高品質化
4. 2013 Spätburgunder Von Unserem, Weingut Barthasar Ress (Rheingau)
5. 2013 Spätburgunder Buntsandstein, Weingut Enderle & Moll (Baden)

テーマ3. 甘口の再評価
6. 2015 Trabacher Hünerberg Riesling Kabinett feinherb, Weingut Martin Müllen (Mosel)
7. 2015 Niedermenninger Sonnenberg Riesling Spätlese feinherb, Weingut Falkensteinerhof (Saar)
8. 2015 Dhorner Häs'chen Riesling Kabinett, Weingut A.J. Adam (Mosel)

ミュレンはハルプトロッケン的なファインヘルプ。まさしく伝統的なモーゼルのリースリングでクラシックな印象。残糖22g/ℓ、酸度8.1g/ℓ。ファルケンシュタイナーホーフのは最初甘味の印象が強いけれど飲み飽きず、料理にもあわせやすい。残糖46g/ℓ、酸度11g/ℓ。アダムはアルコール濃度が低くても味わい深い繊細な甘口の好例。







Last updated  2017/04/11 10:49:59 PM
コメント(0) | コメントを書く

PR

Favorite Blog

梅雨なのに・・・ ワイン屋のおばちゃんさん

軽井沢散策 busuka-sanさん

Chassagne Montrache… Q_さん

幸せを呼ぶ日記 ユキTRさん
大阪発!おいしいワ… りーすりんさん

Comments

CharlesPoell@ tm0eczzl wh0cd548804 <a href=http://cymbalta2…
李斯。@ お久しぶりです。 御無沙汰しております。 何時も拝見してい…
pfaelzerwein@ Re:ひさびさのドイツ・その64(04/05) 「ムスカテラー辛口」は私も買おうかと思…
mosel2002@ Re[1]:ひさびさのドイツ・その54(03/14) pfaelzerweinさん >私の印象では2013年…

Rakuten Profile


mosel2002さん

キャッチフレーズは未入力です。

フォローする

Keyword Search

▼キーワード検索

Powered By 楽天ブログは国内最大級の無料ブログサービスです。楽天・Infoseekと連動した豊富なコンテンツや簡単アフィリエイト機能、フォトアルバムも使えます。デザインも豊富・簡単カスタマイズが可能!

Copyright (c) 1997-2017 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.