モーゼルだより

2007/04/06(金)07:46

VDPの鷲のマーク

VDP(ドイツ高品質醸造所連盟)といえば、ドイツを代表する醸造所が集まっている団体。1910年設立で現在約200醸造所がメンバーだけれど、1990年以降だけで58醸造所が脱退を余儀なくされたという厳しさ。かわりに90醸造所が新規加入したから、97年の伝統を誇るとはいえ、約半分は比較的新しいメンバーなのだ。 昔、ソムリエの資格試験に「VDPの鷲のマークの頭は右向きか、左向きか」という難問があったそうだ。先日聞いた話では、実は、両方あるのだという。今日手元の資料を整理していたら、2002年からVDP競売会の表紙の鷲の頭の向きが左向きから右向きに変わり、胴の葡萄の数も減っていることに気が付いた。 左が新しいマーク、右が旧。 とある醸造所の話では、マーケティングコンサルタントの調査結果によれば、左を向いているより右を向いている方が親しみを感じるという人が多かったから、という。ほんとかなぁ、である。見比べてみて、違いを感じるだろうか?ちなみに、ドイツ連邦議会の鷲のマークの頭は左向きである(たしか)。胴の葡萄の粒の数も、従来のは多すぎて重苦しいので減らしたのだそうだ。そんなもんかな、である。 調べてみると、デザインが変更になった2001年から2002年はVDP内部で畑の格付けが議論されていた頃である。2002年6月にグローセスゲヴェクスを頂点とする、ブルゴーニュを模範とした三段階の格付けを採決。おそらくロゴの変更もその頃の事だ。 さて、新しいロゴに目をこらしてみると、なんと胴の葡萄も3-2-1の3段階になっているではないか。もしかすると、これは格付けを象徴したデザイン…? それなら、ピラミッド状に積み上がった方がわかりやすそうだが、そうすると鷲の頭を下にしなければならなくなる。それはちょっと…というので、頭の向きを変えてお茶を濁した…のかもしれない。 あるいは、鷲の頭の上の「V D P」のロゴ、昔の頭は「V」の方を向いていた。VはVerbandで連盟を意味する。新しいのは「P」の方を向いている。PはPraedikatのPで、高品質なワインを意味する。自分たちの連盟に顔を向けるよりも、品質に顔を向けた方が畑の格付けとそれに伴う高品質の追求と統一性がとれて見栄えがいいよ、といったあたりのことを気にしての変更なのかもしれない。 ワインも完璧主義ならロゴも….ついでにマーケティングも、といったところか。 ちなみに先のソムリエ試験の問題も、2001年以前ならば、「左向き」で正解です。

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