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2013/11/12
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先日赤坂にあるホテル・オークラの一室で、メッセ・デュッセルドルフ日本支社が主催したプロヴァインのプロモーションイヴェントがあった。「プロヴァインProWein」のことを知っている人は、日本には少ないものと思われる。毎年3月下旬にデュッセルドルフで開催される国際ワイン見本市である。


参加者を前にプレゼンテーションを行うメッセ・デュッセルドルフ営業本部長のミヒャエル・デーゲン氏。


メッセ・デュッセルドルフがフランス食品振興会SOPEXA協賛でフランスワインのプロモーションイヴェント“ProVin”を開催したのが今から19年前の1994年。それがプロヴァインの原点である。現在世界約50ヵ国からおよそ4800の醸造所や団体が出展し、そのうち過半数がドイツ国外、つまりフランス、イタリア、スイス、オーストリアをはじめとしたヨーロッパ内外の生産地域の販売促進団体を中心とした出展者だ。ドイツで開催されるワインメッセではあるがドイツワイン専門のメッセではない。



会場のレイアウト。ホール6がドイツ、ビオ、ヨーロッパ各国で、3がイタリア、4, 5の青がフランス。トルコ、スロヴェニア、クロアチア、グルジアなどの出展もある。プレゼンテーション資料から抜粋(©Messe Duesseldorf)。


今年は3日間の会期中にのべ約45000人を数えた訪問者のうち、国外からの訪問者は43%を占めたという。つまりドイツの生産者にとっても国外に取引先を見つける重要なチャンスである。幕張メッセをいくつもつなげたような会場はホールごとに出展国が分かれているので目当ての生産国に辿りつきやすく、効率的に試飲ができるのも売りだ。

会場のあちこちで開催される各種ワインセミナーや、一度に数百種類が試飲できるテイスティングゾーンなど連日イヴェントが目白押しで、大抵は事前申し込みがなくても参加出来る。一応業界関係者しか入場できないことになっていて、訪問者の約8割が購入決定権を持つバイヤーだと、今回訪日してプレゼンテーションを行ったメッセ・デュッセルドルフの営業本部長ミヒャエル・デーゲン氏は言う。それがプロヴァインを出展者にとって魅力的なイヴェントにしているそうだ。とはいえ、数年前からブロガーも参加が出来るようになったので、門戸が若干広くなった感じだ。

ドイツ内外のワイン業界関係者やワインブロガーには血沸き肉躍る夢の三日間と言っても過言ではないのだが、日本ではボルドーのヴィネクスポやイタリアのヴィニタリーに比べると、知名度は正直なところイマイチだ。そこで日本の業界関係者にプロヴァインの魅力をアピールするのが、今回のプロモーションイヴェントであった。参加したのは約30人あまり。私は知人の御好意で今回初めて参加させて頂いたのだが、どうやら毎年同じ顔ぶれがそろうらしい。

スライドを使ったプレゼンテーションの後、バーデンのハイトリンガー醸造所の試飲と会食に移った。今年からこの醸造所の輸入を始めたマルカイコーポレーションの藤川さんが解説しながら、9種類のワインにあわせて料理が提供された。

ハイトリンガー醸造所はバーデン北部の石灰質土壌が主体のクライヒガウにある。そのワインはステンレスタンクを主体に上級キュベの赤はバリック熟成を行った現代的な造りで、エチケットも醸造所の頭文字Hをモチーフにしたモダンなもの。一方、数年前から同じオーナーになった、やはりクライヒガウのブルク・ラーヴェンスブルク醸造所は伝統的な造り。直線的で重心が高めなハイトリンガーと、しっとりとした落ち着きのあるブルク・ラーヴェンスブルクに合わせて提供されたのは、ホタテ貝の乗ったトマトリゾット(写真左上)、オマール海老のビスク(海老と野菜のスープ)(右上)、鱸のカダイフ巻き(左下)、和牛フィレのロースト(右下)、3種のチーズ盛り合わせ。




印象に残ったのはまず、ブルク・ラーヴェンスブルクの2012リースリング辛口の料理とのあわせやすさ。やや大人しく品の良いリースリングで、リゾットのトマトのほのかな酸味や米の甘味、ほたての旨みに上手に寄り添っていた。オマール海老のビスクにはハイトリンガーの2011シュピーゲルベルクのピノグリ・グローセス・ゲヴェクスが良い相性。濃いめで力強い酒質でややこってりとした、オレンジのヒントのあるバリック熟成のピノグリが、海老の濃厚な味をよく受け止めていた。鱸のカダイフ巻のカダイフは、ギリシャやトルコが起源のトウモロコシの粉で出来た極細麺。これで鱸のフィレを蒔いてローストしたものに歯ごたえのある根菜の千切りが添えてある。これにはハイトリンガーの2012ピノ・ブラン「スムースリーフ」と2011シェレンブルンネン・リースリング・グローセス・ゲヴェクスが供された。どちらも縦方向への勢いがあり、ピノ・ブランはややクリーミィな柔らかい舌触り、リースリングは純粋で繊細、柑橘系のフローラルな香りが魅力的ではあったが、鱸のどちらかといえば淡泊な味から浮いていて、合わせるなら最初に出てきたラーヴェンスブルクのリースリングQbAの方が良さそうだった。和牛フィレのローストにはブルグ・ラーヴェンスブルクの2011ピノ・ノワールとハイトリンガーの2011ケーニヒスベッヒヒャー・ピノ・ノワール・グローセス・ゲヴェクスが供された。ラーベンスブルクは濃いめでベリー系の味わいがチャーミング。一方ハイトリンガーは落ち着いた深みのある繊細なピノ・ノワール。フィレ肉のローストには後者の方が自然に馴染んでいた。



ともあれ、こんなちゃんとした料理とワインが出されるとは予想していなかった。聞いた話では去年まではビュッフェスタイルでワインもプロヴァインのプロモーションなのに3種類前後しかなかったというから、今年はどういう風の吹き回しだろうか。ただごちそうになっただけでは申し訳ないので、はなはだ拙いけれどこうしてご報告させて頂いた次第です。


今週11月13日から15日まで上海で、食品・飲料見本市FHC Chinaと共同でプロヴァイン上海が開催され、26ヵ国から約500の出展者が参加するという。従来からプロヴァインに出展している各国の生産者に中国市場進出の足掛かりを提供するとともに、中国のバイヤーをデュッセルドルフに引きつけようという狙いがあるそうだ。彼らが中国市場を重視している様子が見て取れるが「もちろん、日本・韓国は消費者の質が高い重要な市場です」とデーゲン氏はフォローした。


それにしても、より多くのインポーターなり日本のワイン生産者なりにアピールするなら常連の同窓会のようなイヴェントではなく、もう少し広い会場で試飲イヴェントを兼ねて開催することを検討してみてはどうだろうか。ごちそうになっておきながら批判するのも気が引けるが、どうも予算の使い方がもったいない気がする。


同じことは大使館の主催するドイツワイン関連のイヴェントにも言えるようだ。毎年行われるVDPグローセス・ゲヴェクスのプレゼンテーションでは、これも約30人前後、大体同じ顔ぶれが毎年揃うと言う。どうやら何年も前から同じ関係者名簿をもとに招待しているらしい。ずっと以前、まだドイツワイン基金駐日代表部があった頃にドイツワインに携わっていたけれど、ここ数年はドイツワインと関係なくなったという人にも招待状がいまだに届いているという話もある。ただ、VDPの試飲会には今年何人か新しい人も加わって、結局40人近くになったらしい。だが、大使館の担当者はドイツワインを盛り上げる為の新しい取り組みを提案しても、マインツのドイツワイン基金本部(DWI)に聞いてくれと繰り返すばかりで動こうとしないようだ。それもわからないではない。本来DWIがするべき仕事をなぜ我々が手出しする必要があるのか、と守備範囲を限定するのはいかにもドイツ的だ。ドイツ商工会議所でもドイツワインのイヴェントを毎年開催しているが、ワインの選択はドイツの輸出業者に丸投げしているのでろくなワインが入ってこない上、イヴェント自体もドイツ企業関係者の懇親会的とコネづくりが第一で、ドイツワインはその手段に利用されている程度という。

プロヴァインの話がなんだか脇道にそれてしまったが、日本市場におけるドイツワインを積極的になんとかしようという動きは、なかなか公の筋の方からは見えてこない。しかし先日、日本ドイツワイン協会連合会のケナー試験に食糧農林消費者保護担当のウルリヒ・ファスベンダー氏が、日曜にもかかわらずわざわざ参加者激励の挨拶に訪れたのは、すこしずつ柔軟な姿勢を見せ始めているということかもしれない。これからはドイツも大使公邸をインポーターに提供して自国のワインをプロモーションするイヴェントを開催したり、マーケティング機関に協力して業界関係者をワイン大使に選抜任命したりする、オーストリア大使館の活動を参考にしてはどうかと思う次第。

いずれにしても、プロヴァインはワイン業界関係者ならだれでも行って損はしない。VDPをはじめとするドイツワインのトップ生産者の大半も出展しているので、ドイツワインをもっと知りたいと思うなら、プロヴァインに行くのが一番のおすすめである。本やネットを見ただけでは分からない、生産者とワインそのものに存分に接することが出来るだろう。





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Last updated  2013/11/14 09:32:35 PM
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李斯。@ お久しぶりです。 御無沙汰しております。 何時も拝見してい…
pfaelzerwein@ Re:ひさびさのドイツ・その64(04/05) 「ムスカテラー辛口」は私も買おうかと思…
mosel2002@ Re[1]:ひさびさのドイツ・その54(03/14) pfaelzerweinさん >私の印象では2013年…
pfaelzerwein@ Re:ひさびさのドイツ・その54(03/14) 私の印象では2013年からは上の設備を上手…

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