やるね!フジテレビ!~「ガリレオ」の演出~
なんだか、この番組の専門みたいになってきましたが…。本日10日の放送、『探偵ガリレオ』第2章「転写(うつ)る」、第4章「爆(は)ぜる」の単なる抱き合わせかと思えば、「爆ぜる」の間に「転写る」をはさむという入れ子構造。いやぁ、見事にやられた。原作を読んだとき、この2話は採用しないと思っていた。「転写る」は撮影が面倒だろうということ、「爆ぜる」は設定が夏の海水浴場だったので、季節的に無理だろうと思っていたからだ。それを見事に設定を湖に変えて大爆発を起こしてくれた。いやぁ、お見事!と言っても、爆発のシーンがすごいのではない。原作読者の予想を見事に裏切ったという点である。おそらく、この作品をドラマ化するに当たり、根っからの東野作品読者から批判を受けることを、フジテレビは想定していただろう。あれだけ設定を変えているのだから。もちろん、それだけではないだろう。私はこの作品の設定の変更を単なる視聴率稼ぎだとばかり思っていた。しかし、そうではない。この『ガリレオ』シリーズ210万部が売れたということは、それだけ読者がいるということである。そして、そのうちの何割かは、私のように原作との相違点を探したり、原作に忠実な点を見たりと単純にドラマを見るのではなく、別の視点でドラマを見るということを想定してドラマ化をしているのである。だから、今回のドラマ化では、文庫化されている『探偵ガリレオ』と『予知夢』から脚本をおこしたのではないだろうか。3作目の『容疑者Xの献身』はまだ文庫化されておらず、読者を視聴者に引き込むには少し早いと考えたのではないだろうか?それとも来年の春の特別番組のためにとってあるのか…。ちょっと考えればわかることなのに…。見事にフジテレビの術中にはまってしまった。悔しいが、なんだかすがすがしい。ここまで見事に手のひらで転がされたのは久しぶりだ。来週はどうやら「湯川(福山雅治)」と「木島(久米宏)」との対決のようだ。もちろん、この読みも外れるのかもしれないが…。原作では「湯川」と「木島」の間に特別な関係はない。それをどう演出するのか。来週が楽しみだ。