昭和20年1月13日午前3時38分ごろに三河地方をマグニチュード7.1の地震が襲った。死者2306人、住宅全壊7221の巨大地震であった。東南海地震のわずか37日後であった。
今朝の早朝練習は三河地震の地割れを見に行くことになった。蒲郡の形原町から隣りの幸田町深溝(ふこうず)にかけて地震で断層が出来た。深溝断層という。形原町の宗徳寺というお寺の裏にこの断層が今でも保存されている。官舎から片道7kmくらいあるだろうか。ちょっと遠いが、4時半前に出た。
この入り口左手には、ナギの大木もある。
出ました。第32番宗徳寺のナギです。
ナギの樹はよく神社などのご神木になっている。葉に細かい筋が入っており、もともとミズアオイ科の水草コナギに似ていることから名づけられたらしい。
このお寺の裏にまだ地割れが保存されている。
入り口のところには供養塔も立っている。
落ち葉が貯まって、半分埋まっているが、これがその地割れの痕。
そう言えば、体の中に地割れが残っていた人がいた。もう亡くなってしまったが、その人はI川さんという。15年ほど前に、私が胃癌で手術した。手術のときにオシッコを取るために膀胱へバルンカテーテルを入れるのだが、麻酔がかかってから入れようとしてもどうしても入らない。泌尿器科の先生に来てもらったがそれでも入らない。仕方ないので上から穿刺して膀胱ろうを一時的に作った。あとで話を訊いたら、三河地震のときに家の下敷きになり、死に掛けたことがあるという。それでもオシッコは出ていたというから、折れ曲がって繋がっていたんだろうが、尿道に断層があったようだ。
その後何年かして、下血で入院してきて、よく検査も出来ないうちに亡くなってしまった。胃癌の再発だろうかと思ったが、奥さんに話をして解剖の許可をもらい、解剖したら何と良性の胃潰瘍だった。もう一度手術していれば、助けることができたかも知れない。悔やまれた症例である。