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Anima-Town

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第12話 困惑

人間は脳の容量の70%を使っていないと言われている
人間の持つ不思議な力はこの部分に秘められると言われている。
その使用されることのない脳の70%はこう呼ばれる・・・
『NIGHT HEAD』・・・・・・・



第12話「困惑」


【STORY】

俺は空を飛んだ事がある―――――。それは俺が15歳の時。リンゴの木の下で昼寝をしていた時だった。白い雲が広がり、下を見れば研究所の森を一望出来た。鳥たちと戯れ、大空へと羽ばたいている。「このまま家まで行ってみようか」
しかし、その願いは聞き届けてくれなかった。空まで届く研究所一体の結界・・・その場所へ留まらせようとしるようだった。
何度も破壊しようと試みるのだが、自分を目覚めさせようとする声が―――――「兄さん。起きて・・・兄さん・・・」必死に揺り動かす手。それは直也だった。

神谷が死んでしまってから数日後、直人と直也のもとへ御厨から一枚の手紙が届く。それは、神谷が最後に残した『予言』だった。

『巨大過ぎる力。分裂―――ふたつの肉体。肉を食らおうとする獣たち。
闇に前方はないが、変革は白い。別離は狂気と死を招く』


この手紙の意味はどういう事なのか・・・。直人と直也は試行錯誤する。その言葉の中にまた新たな『敵』が居るという事だけは間違いなかった。
そして、御厨に連絡を取ろうとするのだが、音信普通になってしまう。御厨に何かあったのか?御厨の研究所は、今は結界が消えている。
直人と直也は、研究所で何かあったのかと不安がよぎっていた。

そんな中、街へ気分転換で出かけた兄弟に、うさんくさい女が近付く。言葉巧みに勧誘する女。その女を無視し続けていると、直也に女の手が触れる。
直人は、直也を心配するのだが、直也自身、自分の力の解放を抑える事を覚えた様だった。何事もなく立ち去る二人。
「今日、バイオリズムが悪い日だな」直人が、変な女に声を掛けられた事を悔やんでいた。そんな二人の目の前で今にも飛び降り自殺しようとする光景が―――。飛び降りようとする人間は、先ほど声を掛けられた女だった。
驚く二人。その二人の姿を見た瞬間、女はビルから飛び降りた。惨劇が目の前に広がる。ふと、直也は見物人の中に湯島昌幸が居るのに気がつく。何故こんな所に?直人と直也は昌幸に近付く。
「何故、ここに居る?」直人は昌幸に訪ねた。
「もう出て良いからって御厨さんに言われた」そんな事はないと直人達は言うのだが、昌幸は言葉を続ける
「あの人、悪い人なんだよね。御厨さんは間違ってるよ。僕達はずっとずっと偉い。力は使う為にあるんだ。抑える必要なんかない」
まさか昌幸が、力を使って女を自殺させたのか?二人は昌幸を追って行く。昌幸はデパートの家具売り場の中に入っていった。そこには昌幸の母がベットで横たわっていた。母親に昌幸の行方を聞く二人。「昌幸は悪い事をしていないわ・・・」朦朧として目が泳いでいる状態の母親。
二人の背後に立つ昌幸。昌幸の顔はみるみる内に“Y”の顔になっていった。母親の顔もまた“Y”の顔に。そして回りの人々も“Y”の顔になっていった。
「おまえたちの力は、現実を変えるほど大きい。だから、俺がいる。俺が生まれた。俺がよばれた。俺は死なない。おまえたちが生きている限りは」
「美紀を助けるという気持ちの裏腹に美紀への殺意が生まれた。真実を悟りたいという意識よりも真実を隠したいという力が生まれた。」
「おまえ達が!!」「おまえ達が・・・」そう言いながら二人を押さえ込もうとする“Y”。
直也は力で抑えようとしたのだが、直也はそれを引きとめた。やがて“Y”が消えていく。そして母親の顔も戻り、昌幸の顔も。昌幸を捕らえ様と直也は手を差し伸べた。昌幸の中に入り込んだ直也が見たものは―――昌幸の生まれた家。そして砂嵐のテレビ画面から声がする。
「直也さん・・・直也さん・・・僕じゃない・・・恐い男の人が・・・」昌幸が涙ながらに訴え、そして画面が消えた。
「兄さん・・・これはマインドコントロールだ」直也は昌幸の体を抱え、直人に伝える。昌幸の母親は、半狂乱状態になっていた―――――一体誰が?

それは、戦いの序章にすぎなかった―――――。




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