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Anima-Town

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第16話 再会

人間は脳の容量の70%を使っていないと言われている
人間の持つ不思議な力はこの部分に秘められると言われている。
その使用されることのない脳の70%はこう呼ばれる・・・
『NIGHT HEAD』・・・・・・・



第16話「再会」


【STORY】

御厨と別れ、ホテルへの帰り道。直也は直人の前から姿を消してしまう。しかし、数秒後、また再び直人の前に姿を見せる直也。
翔子の様に消えてしまうのだろうか・・・再び、御厨の言葉を思い出し不安を隠せないでいる直人。
ホテルで直也は直人に語りかける
「兄さん・・・僕も翔子の様に肉体だけが消滅して精神だけの世界に行ってしまうのだろうか・・・」その問いに答えられないでいる直人だった。

公園で翔子の残したノートを見たいと直也が言い、ノートの文字を見始める直也。そこに書かれている象形文字が今なら
読めると直人に伝えた。そして目で追っていると読めると断言する。

『かつて人間は、誰でも見えない力を持っている事を知っていた。そして、今よりもずっと優れた文明の中で生活していた・・・。
そういう時代があったんだ。紀元前10何年・・・あまりにもかけ離れている。
その頃の人々は、精神エネルギーをを自然なものとしてとらえられていた。精神の力が現実に大きな影響を与えることもよく知られていた。
彼らは自然界のエネルギーと人間のパワーが連動していることを理解し、それを制御していた・・・何でも出来る高度な文明。
だが、それは滅びてしまった。
次第に人間のエゴが発達し精神のエネルギーがマイナスの方向にむかった。複雑になった心が、重たい影の部分を持った。混乱や争い、支配と破滅。強力なマイナスの力が地球の波動に影響を与えて、破滅に導いた。地球に悪い影響を与えて、天変地異を巻き起こした大陸は沈み、少数の人間たちだけがそこから逃げ出して、生き残った。高い山頂に辿りついた者。船に乗って辿り着いた者・・・
沈みゆく大陸のあちことで人が船に乗り、怪物のような大津波にのまれていった。その中で、一艘のカヌーが猛り狂う黒い海を越え、荒れ果てた小さな島に流れついた。イースター島。奇跡的に命を救われた人々は丘に登り、大陸が沈んだ海をのぞんで涙を流した。
あまりにも多くの命が失われてしまった、大きな文明とともに・・・やがて地球上には、新しい文明の起源が訪れた。それが、今の文明。精神のエネルギーがほとんど忘れられた、物質文明の時代がやってきた。まだ大部分の人の力は眠っている。多分、まだその力を自由に使う事の出来る器官が目覚めていない。無理に目覚めさせる必要は無く
今の時代でも人間が発した精神エネルギーが現実を作ってるのは同じ。マイナスのエネルギーが充満した場所に混乱か起きる。暴動も、戦争も、天変地異も・・・。誰もが平和や幸福を望んでる訳じゃない。混乱や悲しみを望む人も居る。』

そして直也はこう続けた
「兄さん・・・外に出て来て良く解ったよ。人類は無意識の内に黒い流れも作ってきたんだ。人間はやがて気付き始めるんだ。精神の力の存在を・・・」
直人は直也の話を理解していた。そんな二人に強い風が吹き荒れる。その風と共に再び直也の姿が消えてしまう。必死に探す直人。
その頃、直也は地球を一望出来る宇宙に居た。流れに逆らわず身を任せていた。そしてそこで出会ったのは翔子。
「翔子・・・」翔子に触れようと手を伸ばす直也そして翔子も手を伸ばす・・・触れるか触れないかで直也は現実に世界に引っ張られていく。

一方、直也が居ない世界で途方に暮れる直人。直也の身を案じながらホテルに足が向いていた。胸苦しさを感じながらホテルの部屋に着くとそこに直也の姿があった。安堵する直人。何処へ行っていたのか聞く直人。
「ほんの数分の出来事みたいだった」まだぼんやりしている直也。
「・・・意識の世界。多分そうだと思う。時間も距離も量もない世界。色々なものが同時に見えて同時に感じられる世界。」
「美紀ちゃんを何故、Yが殺そうとしたのか今解った。翔子がいった“変革”の事を教えられたからだ。
信じたくないけど、Yはやっぱり僕たちのマイナスの意識が作ったものだったんだ。翔子が“変革”と言った時、物凄く抵抗を感じた。恐かったよね」
「俺たちは、普通の生活をしたいと思っていた。何処かでそんな運命は避けたいと願っていたはずだ」
「僕たちのそんな後ろ向きの気持ちを反映して。きっとメッセージを受け取りたくなかったんだ。でも、もうYは現われない。僕達は知らない内に、きっと少しずつ変革の事を受け入れ始めているんだ」
直人は、直也の話を聞いて、直也自身この世界から消える不安を感じていた。それを察知した直也。直人の肩にそっと手を差し伸べ
「大丈夫だよ兄さん。・・・僕は何処にも行かない・・・僕はこっちの世界に居たいんだ。」
その言葉に直人は安堵する。そして直也は続けた
「兄さん・・・二人の居場所が解ったよ。父さんと母さんの居場所が・・・」

にぎやかな商店街に二人が経営している時計店はあった。『桐原時計店』店内には二人の老夫婦が営んでいる。
「何故、名字が変わっているんだ。それに何で時計店なんだ?おもちゃの会社は一体どうなったんだ?それにあんなに老けてしまって・・・」
現実を受け入れられないでいる直人。
「現実が変わったんだ・・・僕たちの力と岬老人の力、それに研究所のエネルギースポットの力が合わさって、現実に影響を与えたんだ・・・」
「これが・・・この状況が4人にとって一番幸せな形なのか?・・・」驚愕する直人。
二人はしばしじっと店内の二人の姿を見つめていた。目と目が合う4人。何か懐かしさを感じる老夫婦。
「行くぞ」直人は関を切ったように店内に入って行く。
腕時計を買うフリをして、老夫婦の今までの事を訪ねる二人。そして、兄弟の名前を聞き自分達の子供の話をし始めるのだった。
それは、15年前近所の女の子を助ける為に水死したというものだった。その話をする老夫婦には自分達の幼かった姿が見えていた。
何とも言えなくなる直人と直也。
そんな時、店の中にある男が現われた。曽根崎だった。何故、曽根崎が現われたのか?怒りを露にする直人。その怒りに対抗する曽根崎。
そして店内の掛け時計の針が勢いよく回り出した。いよいよ曽根崎との対決が今始まろうとしていた────。




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