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Anima-Town

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第22話 神判

人間は脳の容量の70%を使っていないと言われている
人間の持つ不思議な力はこの部分に秘められると言われている。
その使用されることのない脳の70%はこう呼ばれる・・・
『NIGHT HEAD』・・・・・・・



第22話「神判」


【STORY】

三雲との戦いによって意識が戻らない直人。
夕暮れになっても直也はホテルの部屋の明かりをつけることなく、ひたすら直人の顔を見つめ続けていた。
「戻ってきて兄さん・・・僕を置いて行かないで・・・」
悲しいほどその言葉に反応することはない。
「僕は兄さんが居てくれたからこそ此処まできたんだ」
そう言いながら直人との思い出が走馬灯の様に頭を過る。
いつも直也の側には直人が居た。直人はいつでも直也を助けてきた。それなのに・・・今、目の前に居る兄は静かに眠っている。

ふたつの光が消えかけようとしているとき、何かがそれに気が付いていた。
突然、ホテルのTV画面が大きなノイズとともに電源が入る。
画面には双海の顔を現われ、直也に呼びかける。

『霧原直也・・・早紀枝を守って・・・世界を守って・・・ARKから早紀枝を守って・・・』

直也はTV画面に近付きこう答えた。
「双海さん・・・僕たちは何も出来なかった。早紀枝さんも守れなかった・・・これから僕一人じゃ何も出来ない。」
せっかく情報をくれたのに、早紀枝さんのことを頼まれたのにARKにかなわなかった。もう僕にはどうることもできない。
その声をに反応するように声が聞こえた。

『直也・・・恐れるな。おまえなら出来る。おまえはもう一人じゃない・・・おまえの中には俺がいる』

それは直人の声だった。直也は眠っている直人を振り返る。しかし、直人は眠っている。おだやかな顔で。その言葉に励まされ、直也はTV画面に手を触れた。それは、早紀枝とコンタクトを取る為に。早紀枝は、家に帰ろうとしていた。直也は早紀枝に話かける。早紀枝は、嬉しそうに奥原の感謝を直也に話する。
しかし、それは罠なんだと直也は早紀枝に説得するのだが、耳にする事はしなかった。そればかりか奥原によって早紀枝の呼びかけを邪魔されてしまう。
「早紀枝さんを助けなければ・・・」
直也はジャンパーを羽織り、ホテルの部屋を後にして一人早紀枝の家に向った。「兄さん・・・僕は行くよ」と直人に声をかけながら。

「三雲が霧原直人を始末したそうです」坂口の口から奥原に伝えられる。
「もう間もなく、早紀枝の能力は完全に覚醒する・・・深い悲しみとともに。そして、早紀枝の人格は消滅する」
早紀枝の能力を使って重大なセレモニーが始まろうとしていた。
「変革は破壊だ・・・私は破壊への流れを変える為にこれまでいろいろなことをしてきた。だけど、これから先はゆだねるしかないね・・・」
穏やかに未来のビジョンが見えているかのように話ている。
「本当は、むごい人間だと思っているんだろう?」奥原は、街を見つめながら坂口に言った。
「いいえ」即答で坂口は即答した。しかし、奥原が何を考えているのかわかなかったが、唯一奥原を尊敬している事を改めて思い知らされていた。

家に着いた早紀枝。元気に「ただいま」と挨拶をし、家の中に入っていく。
「知美。知美どこなの?」妹の知美を探し回った。しかし、答える声もない。家の中には誰も居ない様だった。
「おかしいな・・・知美?」早紀枝は二階への階段を軽やかに上がっていき、知美の部屋を覗いた。
「?!」知美は絶句した。
「何?これ?」
部屋のベットには、知美が死んでいた。胸にはナイフが突き刺さっている。
それを見た瞬間、早紀枝の力が暴発する。早紀枝の体から黒い気が発せられ瞬く間に空が暗雲に覆われていく。
異様な事態が起きている事を察知した直也。早紀枝の家に急いで向った。
家に着いた直也は、早紀枝が黒い気を漂わせながらうずくまり、ベットの上には妹の知美が胸にナイフが突き刺さり死んでいる。
直也は、知美に近付きナイフを胸から抜き取った。
「何でこんなことに・・・」
「私がやったんだ」不敵に笑いながら直也の後に、三雲が立っていた。
「知美は私が殺した。早紀枝を覚醒させる為に・・・これでも怒らないのか?直也?これでもおまえは怒りを向けないのか!?」
直也を挑発する三雲。しかし、直也は三雲に対して哀れみの目でしか見る事ができなかった。その態度を見た三雲は直也を殴り続ける。
「何故だ!!直也!!怒れ!!怒れ!!直也!!」何度も罵倒しながら殴り続ける何時の間にか耐える直也を見て、逆上する三雲。その三雲の目から涙が溢れる。
「直也の中に入ってしまったのか・・・」涙をぬぐい、早紀枝を拉致し、その場から離れていった三雲。
「直也、おまえには失望したよ」と一言を残しながら。

早紀枝を救えなったと嘆く直也。
「知美さん・・・すまない。僕は姉さんを救えなかった。僕はやはり兄さんが居ないと無力な存在なんだ。これからどうしたらいいんだ・・・
教えて・・・兄さん・・・どうしたら・・・兄さん・・・兄さん」
その声に反応してか、直人が目を醒ます。
そして、直人は直哉のもとへ・・・早紀枝の家へと瞬間移動した。
家から早紀枝を連れ出し、車へと乗る三雲。そのままARKに戻ろうと車を走らせたその時、ここに居てはならない男・・・直人が三雲の前に立ちはだかる。
「不確定要素が!!」奥原が叫ぶ。
「三雲!!戻ってきたぞ。」
「霧原直人!!また苦しみたいのか。せっかく安らぎを与えてやったのに」
「おまえの言った通りだ。俺は直哉のためなら破壊者だって、悪魔にだってなれる。俺はもう恐れない」
その言葉通り、三雲の人格破壊の攻撃を悉く打ちのめしていった。
崩壊した街のビジョンが広がり、直人自身が倒した刺客達の亡霊が現れた。しかし。今度は屈することなく攻撃する。
次に母親の幻影。直人に近づいてくるが、直人は容赦なく突き放す。それが効かないと解ると直也の姿に変化していく。
直人に攻撃したが、直人の力の方が上回っていた。直也の姿が三雲へと変化する。もう三雲には、直人を攻撃する力は残っていなかった。
三雲は、自分の力の過去を話しはじめる。が、まもなくして直人が口火を切る。
「三雲・・・苦しみを終わらせる時がきた」と。
「俺は死にたくてしょうがなかった。おまえのような奴に会いたかったんだ・・・ありがとう」その言葉を最後に三雲は死んでいった。

直也に呼びかける直人。何が起きているのか状況を知らせる直也。
「兄さん・・・僕には何も出来なかった。僕は誰一人として救えなった。僕は誰も守る事も出来なかった」嘆く直也。知美を抱きしめたその時。奇跡が起きる。そう知美が死から舞い戻ってきたのだ。
「兄さん。知美さんが戻ってきたよ」喜び伝える直也。その事を知らせようと早紀枝を起こそうとした瞬間「早紀枝を起こすな!!」奥原の叫びとともに直人と直也はある場所に連れてこられた。

そこは、海が広がり二人がこれまで経験したことのない安らぎの場だった。
岬に立つ二人。そう此処こそが、「ミサキ」だったのだ。
静かに車椅子の老女が二人に近づいてくる。奥原だった。
「闘いをなくすためには、人間の考えをひとつに束ねるしかなかった。早紀枝の力はそのために必要だった」静かに語りだす奥原。
「人間の考えを無理やりひとつになんかしても、だめだ。そんな不自然なことをしたら、ひずみが大きくなってしまう。」直也は反論する。
「どうしたって争いはなくならないよ。人間は戦い続ける。正義の闘いはなくならない。愛と平和のために闘い続けるんだよ」
そして奥原は空を仰ぎ一点を見つめる。
「どうした?」直人が言う。
「予知の映像を見ているんだ」直也は言った。
そして、その映像とは、自分の描いていたものではなかったようだった。そして涙を流す奥原。天に向かって指を指しこういった。
「霧原直也・霧原直人。おまえたちはもう・・・不確定要素ではない。おまえたちは、私の与えた苦しみを乗り越えてまたひとつ大きなエネルギーを手にいれた。」
それは、自分が彼らに必要な試練を与えるための小さな存在の者でしかなかったことを知った。
車椅子に乗りながら奥原の姿は静かに消えていった。そして、海辺には双海の姿が現れた。
「早紀枝の力は奥原とともに消えていった。霧原直人・霧原直也・・・ありがとう」
そう言って双海もまた消えていった。
そして現実に戻ってきた直人たち。もう早紀枝からは力が消えていた。
「終わった・・・すべて終わったんだ」直人は早紀枝を起こし。知美と再会させた。もう二度とこの姉妹は離れることはないだろう。

そしてARKでは、静かに息を引き取った奥原がいた。
「社長・・・」その横で静かに見守る坂口。

『意味のない力なんてない。力には必ず理由がある。苦しみにもまた理由がある。霧原直也・霧原直人・・・次の時代のために』




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