第23話 彷徨人間は脳の容量の70%を使っていないと言われている人間の持つ不思議な力はこの部分に秘められると言われている。 その使用されることのない脳の70%はこう呼ばれる・・・ 『NIGHT HEAD』・・・・・・・ 第23話「彷徨」 【STORY】 それは街が崩壊し、一面海に沈んでいる背景。そこには、霧原直人と霧原直也が佇んでいた。 戦いが終わり、霧原兄弟がようやく手に入れた安息の日々。 しかし、再び二人の前にあの男・御厨が現れる。そして二人にある依頼を託すのだった。 場所はモスクワ。御厨の研究所で保護されている少女・ナジ(推定5歳)に会うために霧原直人は訪れていた。 御厨に依頼された時、少女が書き続けている絵に直也が異常な反応を示した。 「兄さん・・・世界が・・・」その言葉を残して気を失ってしまう。 1年間静かに暮らしていた直也にとってはかなり大きなダメージだった様だ。 本来なら御厨の依頼を受けないでいようと思っていたのだが、直也の状態に何かを感じた直人はモスクワに行く事を決意する。 モスクワの研究所でナジに会う直人。少女は眠る事も食事をする事もせず、クレヨンを持たせると書き続けるというのだった。 その絵とは、世界地図だった。しかし、その世界地図には黒く塗潰されている部分が広がっていた。その範囲は日毎広がっていた。 中でも日本地図に描かれている黒い範囲。海岸線が変形していた。これは何を意味しているのか?ナジは手を止め、直人を見つめる。そして直人に手を差し伸べる。直人はそっとナジを抱きしめる。 「もう良い・・もう良いんだ・・・」 やがてその言葉に導かれてナジは眠りについた。 リーディング能力のない直人だが、その地図には確かにメッセージが隠されている感じがしていた。 御厨に連絡を入れ日本で落ち合う事を決める。そしてこのメッセージを知りえるのは、直也しかいない。 研究所に戻るとナジが直人を待っていた。 ナジはある絵を託す・・・それは日本地図に海岸線が変形しているのだが、ある場所に赤くマークが印されているものだった。 「後は俺たちに任せてくれ」 ナジはもう1枚直人に絵を渡した。それは、兄弟仲良く手を繋いでいる絵だった。 「直也の事を知っていたのか」 頭を撫でながら聞く直人に微笑みかけるナジだった。 帰国した直人。空港では、退院した直也と御厨が待っていた。 三人は、ホテルの一室でナジの書いた日本地図を見ていた。 直也は、ナジの描いた兄弟の絵を見て微笑む。「まるで僕たちの周りをナジがはしゃいでいるみたいだ」 「直也大丈夫か?」 「大丈夫。なにかこの絵を見て勇気をもらった気がする」 いよいよナジの書いた日本地図のリーディングに直也が入った。 それは、大きな時計台が崩壊し、変な形の鳥居から激しいまでの憎悪が噴出し一瞬にして水に呑まれてしまうというイメージだった。直也はその憎悪に呑まれ込みそうになったのだが、直人が現実へと導いてくれた。 「兄さん・・・激しい憎悪と強いマイナスエネルギーを感じた」 赤い印がついている場所・・・それは静岡方面なのだが、そこで何があるのか。調査に御厨が動く。 直人と直也は、御厨が調査した場所へ赴いていた。 リーディングした時に見た時計台はあったものの鳥居が見つからない。 鳥居があるらしい場所へ赴くとそこで何かを調査している男・浪川とその娘・怜奈に出会う。 浪川は、この場所で地盤の変化と植物の信号について研究していた。これによって地震を予測する事が出来るというものだった。 地震の予測は、地盤では80%の成果をもたらしていたのだが、後の20%がうまくいかない。 植物の意思を読み取る事が出来たなら、もっと確実な予測になるだろうというものだった。 過去、浪川自身大きな痛手があった。 3年前、この地で大きな大地震が起きると予測したものの一向にその兆候は現れず、街に大きな大損害がもたらされてしまった。 その時から、市役所の役員たちは、危険分子だと浪川を目をつけていたのだ。そればかりか自分の娘たちは嫌がらせを受けてしまってろくに友人も居なかった。姉・ひとみは役所に働いているものの父親の所為で肩身が狭かった。 そんな矢先、再び大地震に見舞われるというデータがはじかれた。3日以内大地震がやってくるというのだ。 浪川は、一刻も早くみんなに知らせたい一身で市役所に向かおうとするのだが、帰宅した、ひとみに咎められる。 翌日、役所のメンバーが浪川家を訪れ、浪川自身インターネットで大地震になるという予知をしたと報告してきた。対応に出た、ひとみは言葉も出ない。折りしも役所で村おこしの祭典が明日に迫っていたのだった。 そして玄関の騒動を他所に慌てて車に乗り、街へ向かう浪川。車を走らせた途中に直人で出会う。直人は車を止め浪川を街へ行かせなかった。 「被害が大きくなっても良いのか?」直人に問いかける浪川。 「おまえが行っても人々がパニックになるだけだ。そうなると被害はますます拡大される。一度家に戻って、被害を最小限に抑える方法を考えるんだ」 その言葉に促され、家に戻る事を決意する。 その頃、ホテルの一室で兄の帰りを待っていた直也にナジが幻影として現れる。そして直也に呼びかけ映像を見せた。それは、ナジが体験した過去の出来事。内戦によって母・兄弟を殺され、自分自身も大怪我を追ってしまった映像。 「直也・・・これはもう過去の出来事。悪意の象徴。地球の中にもこれと同じ悪意を持つものがある」 そしてナジは直也を何処かへ誘おうとしていた。追いかける直也。 部屋のドアを開けるとそこには、怜奈が立っていた。 事情を聞いた直也は、きっと兄とともに家に帰っていると伝え怜奈と一緒に浪川家に向かった。 「やっかいなお客さんが待っているようだ」 直人は浪川とともに家に向かっていたのだが、玄関先に待ち構えていたのは、役所から雇い人達だった。彼らの手には金属バットが。 浪川を脅そうとやってきたようだった。浪川は銃で応戦しようとしたが、直人に止められた。 「銃を振り回す奴の言葉なんて信用してくれない」 車から降り雇い人たちの前に現れた浪川。有無を言わさずバットが振り下ろされようとしたが、直人の能力によって阻止される。 何が起きたのか解らない様子の雇い人達。その時、地面が揺れ出す・・・空にはオーロラが現れ、鳥たちが飛び立つ。 まさにそれは、地殻変動・・・大地震の前兆だった。そして山々には・・・悪意が地面から上っている姿が見えた。 |