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カテゴリ:鳥とか虫とか植物とか
いまの季節、どこの田も稲が穂をつけていて、黄金色に輝いている。
稲穂が風にざわめく様子に、つい目を細めてしまう。 古事記神話をネタに小説なんか書いているせいか、最近の僕には奇妙な反応があって、 稲穂の波をみつめていると、 そこだけが僕の目に、なんだか弥生時代にみえてしまうのである。 現代の風景の中に現れた、弥生時代。 弥生時代は田んぼを中心にゆっくり広がっていって、いつしか空はもっと広くなり、ビルや鉄塔はかき消え、 貫頭衣をまとった民の気配がそこかしこに濃密になってきて、 目をあげると、 そこに竪穴式住居の環濠集落が……あるわけないか ^^; ところで実った稲を見ていると思い出す話がある。 大正生まれのある老婦から聞いた話。 毎年毎年、同じように育てているのに、田んぼのある部分だけが、いつもひどく成長不良になってしまうのだそうで、 とくにそこだけ日陰になるわけでもなく、土が違うわけでもないのに、なんで毎年こうなのか、 散々悩んでも埒があかず、とうとうお金を払って専門家に調べてもらうことにしたという。 すると吃驚することに、調査の結果、田んぼの発育不良の土壌の下に、なんと温泉の通っていたことがわかった^^; ウソみたいな話どけれど。 稲も実らぬ役立たずの土地……しかしその後は、村人たちの疲れを癒す大切な場所となった。…まあ、大分県らしい話といえば、そうなんだけど。ここじゃいたるところに温泉があるのだし。 「で、その温泉には、入ったことあるのですか?」 と、尋ねる僕に、老婦は耳に手を当てて「は?」 「その温泉に入ったことありますか?」 「は?」 ・・・・・・入ったこと、ないんだな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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