ガンについて考える。(その4)
ガンについて考える。(その4) さて、今回はある雑誌に掲載された、大腸癌外科手術第一人者として有名な、K先生の実績と考え方について2回にわたって触れてみよう。 著名な外科医の先生の取り組み方から、外科医のガンに対する姿勢が見えるかもしれない。 K先生は昭和19年生まれでT大学卒業の外科医で、大腸ガン手術では世界的権威者として有名である。 平成15年M病院の院長をされていたが、今年4月一線を退き、名誉院長として海外医療普及活動にも活躍されている。 某雑誌の記事から概要を紹介し、外科医から見たガンとその治療方法について探っていくことにしよう。 先生は昭和50年以降、M病院の大腸ガン手術実績約6千件の内、半数近くの手術指揮を執られたという。 これは日本一の手術数であり、なおかつ手術後の局所再発率が3.6%と非常に優秀な低い数字を残している。 手術の腕が良いのである。 そのK先生が、大腸ガンに限って言えば、5割は誰がやっても治り、3割は誰がやっても死ぬという。 従って医者の力量が問われるのは2割がいいところと言う。 いくら名医の手にかかっても死ぬ人は死ぬし、新米医師の腕でも助かる人は助かるという。 だらら、名医なんていう言い方はあまり意味がないと謙遜なさっておられる。 そして、小さい子供を持つ親の末期患者のような場合は、何があっても治してあげたいという。 そんな場合はたとえ10%の可能性でも、それに懸けて非常に難しい手術となるが、その時には高度な技術と経験、それに心構えが必要だという。 この患者さんにとっては、この手術がオンリ-ワンチャンスとなるからである。 また、一般的にもガン手術は特に、最初の手術が一番肝心だという。 そのとき、妥協したり逃げ出したら、もう取り返しがつかないという。 それからもうひとつ大切なのは、途中でどんな状態になっても絶対に諦めないことだという。 この二つをどれだけ意識するかが手術の成功、失敗を左右するという。 まさに、技術だけではなく、人間力が必要ということである。 以下、K先生の談をさらに拾ってみると、 「ガンは放っていたら患者さんの命を食い荒らすもの、しかし患者さんは寝ているしか何もできない。 だから外科医はガンに対して妥協しないで、患者さんの代わりに徹底的に戦うのが役割である。 ただし、化学療法で強引にガン細胞を叩き、無理に延命させるというやり方は懸命でない。 どうしても助からないと分かった時は、いかにその人らしい時間をつくってあげるか、そのことに心を砕かなければならない。 また、早期がんでも将来楽しく人生を送れる方法を考慮し、できるだけ体を傷つけない方法を選択すべきである。 例えば、75歳で料理好きのご夫人が大腸ガンの手術後、胃ガンが発見され例だが、胃の全摘出手術で100%治るガンであったけれど、胃壁部分だけを切り取る手術とした。 胃の専門医はカンカンに怒ったが、患者さんは今もニコニコして楽しく料理を楽しんでいる。 患者さんのことを考えての手術が必要と考えている。 現代医学では、このステ-ジの病気は必ずこの化学療法で行うというガイドラインがあるが、しかし、そうゆうマニュアルを信じるよりも自分の長年の経験の中で、同じステ-ジで助かった人、助からなかった人の差は何処にあったか解析する。 そうすると同じ病状であっても、化学療法を使わずに助かる人がいることがデ-タ-として出てくる。 いま医学界では直腸ガンの手術前、放射線を照射するやり方がスタンダ-ドになりつつあるが、危険を伴う放射線治療を安易にやることには絶対反対だ。 医学会はそれで再発の割合が下がるというが、しかし、その治療をやるべきでない人も少なからずおり、実際M病院では、外科手術だけで局所再発を3,4%に抑えている。」 (つづく)