カテゴリ:美術
現代アートのある位置と言うのは、大変難しいものなのだな、と思います。
根本にある発想力、それを実現するだけの技巧・技術、あるいはプロデュース能力、そうして出来たもののイメージの喚起力、一言で表せば、広義のコミュニケーション能力が必要とされているわけで。 パフォーマンスアートの第一人者として一線を走り続けてきたローリー・アンダーソンさんの、「日本初」の回顧展なのだそうです。 「パフォーマンス・アートのスーパースター」の名は伊達ではなく、その作品は鮮烈。 例えば音楽、例えば声、例えば夢、例えば言葉。 それらが、楽器、映像、音響装置、紙、壁面、といった媒体を通じて表現され、伝達される。 そのイメージ表現の多様さ、その多重性、面白さは、さながら遊園地で遊んでいるかのような、楽しみに満ちています。 私が好きなのは、「制度の中の夢」と題された作品群。 公共の、眠るには不適切と考えられる場所で眠り、そこで見た夢を記述する、という作品。「夢に場所の影響が現れるか試してみた」と作者は言います。 もう一つ、「アメリカン・ドリームズ」。大きな肖像画のパネルが何枚かあり、操作卓のボタンを押すと、その一枚にスポットが当たって、夢についての語りが始まる仕掛け。解説によると、テキストは作者によるとのことですから、本人達の夢というわけではないようですけど。 「ハンドフォン・テーブル」は参加型の作品。 作品を鑑賞するためには、「椅子に座って、テーブルに肘をつけて、頭を抱える」という行為が必要。 はたから見ていても面白いけれど、鑑賞したくなること請け合い。 作品を鑑賞することによって、自分が第三者から見た時の作品の一部になる、されてしまうという作品でもあります。 一番怖かったのは「つむじ風」。 音響装置の一種で、真っ暗な中、スポットライトの下に立つと、そこに四方八方から自分に向かって音が響いてくるのです。その浮遊感は、ちょっとない体験。 その他、ビデオ作品も充実していますし、楽器の類は、演奏スタイルを想像するだけでも面白い。 この遊園地を遊び尽くすには、少なくとも2時間はかかります。 お時間には余裕を持って。 インター・コミュニケーション・センター(初台)にて10/2(日)まで。 うーん、時間があれば、もう一度行きたいですね♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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