テーマ:最近観た映画。(40124)
カテゴリ:映画
さァさァ、皆様お立ち会い。
時は元禄15年。 赤穂浪士の討ち入りの、しばらく前の物語。 天下泰平江戸の街。 貧乏長屋の一角に、敵(かたき)討たんと暮らしたる、若待がおりました。 されども剣はからきしで、楽しき長屋の面々と、日々と季節の移ろいを、共に過ごして早三年(みとせ)。 ここで会うたが百年目、敵(かたき)を討たば百両の、金子(きんす)も入り、顔も立ち、晴れて故郷に帰れると、思えど肚が座らぬに、敵(かたき)の家族垣間見て、さらに心は揺れ動く。 さてもこの世はままならず、義理と人情板挟み。 長屋仲間に助けられ、 さァてさてさて、この仇討ち、いったいいかなる仕儀と相なりますやら。 お代は1800円だよゥ。 ヨッ、学生さんはまけとくよ。 レディースデーも割引だ。 さァさ、入った、入った。 ----- ま、映画の日なので、千円で観ましたけど。 ----- まずは、音楽の軽快な感じが、時代劇らしくなくて良かったです。 別ベクトルですけど、ジプシーキングスかよ、的な新鮮さ。 ----- で、何より役者陣が贅沢極まりない、というか、本当に上手くて、見飽きません。 主人公の岡田さんは、本当、綺麗な顔立ちで、芝居もしっかりしていて、特に逃げ出すシーンなんて絶品。 宮沢りえさんは、本当、いい仕事をされますね。 賑やかしい出演陣の中、しっとりと示される存在感。 で、古田新太さんに、香川照之さんでしょ。 寺島進さんに、石橋蓮司さん、そして、浅野忠信さん。 田畑智子さんの一生懸命な町娘姿も素敵ですし、お笑いトリオの上島竜兵さん・千原靖史さん・木村裕一さん達は、あれ?こんなに芝居上手かったんだ、という芸達者ぶり。 子役達の演技も嫌味がなく、自然体な感じ。 見応えアリ、でした。 ----- それに全体に流れる現代劇的な空気感も心地良い。 本当、肩肘の張らない「痛快娯楽時代劇」。 何と言うか、山本周五郎先生の滑稽譚に通じる味わいがあります。 つまり、最高に痛快で面白い、ということ。 ----- そして一方で、池宮彰一郎先生のパロディでもあるのですね。 浪人役の香川さんが、勢い込んで、「義とは、「我」を「美」しくと書きます!」というセリフを吐きますが、池宮先生のエッセイのタイトルは、ズバリ『義、我を美しく』だったりします。 ラスト、寺坂役の寺島さんは、自分の「密命を思い出す」訳ですが、このネタは『四十七人目の浪士』に詳しい。 え…?両方とも絶版?うわぁ。名作なのに。 代わりに『四十七人の刺客』で ----- 私も意外と(?)時代劇映画は観てますけど、本当に良い意味で観たことのない、そして、こういう時代劇なら何作も観たい、と思わせてくれる、傑作映画でした。 うん。 この上半期に観た映画の中では、『かもめ食堂』『博士の愛した数式』と並んで好きな映画だわ。 ===== 『花よりもなほ』 2005年 松竹 127分 http://www.kore-eda.com/hana/ 監督:是枝裕和 出演:岡田准一 / 宮沢りえ / 古田新太 / 田畑智子 / 浅野忠信 / 香川照之 / 石橋蓮司 / 寺島進 / 上島竜兵 / 木村祐一 / 千原靖史 他 ★★★★★ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
July 5, 2006 07:37:04 AM
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