MORITA in Cyberland

2007/12/21(金)00:11

in 『環境シンポジウム ~いちばん身近な環境サミット~』<3>

環境(67)

未来は我らに…(1) ===== 学生のお二人からは、教科書を読んだだけでは分からない、「見えないシステム」 つまり、政治の裏で動いていることや、具体的な情報をどう得れば良いのか、 という質問もありました。 これに対して、瀧口氏からは、「見えない所」を見るために、物事の事象だけでなく、 常に全体像を思考することが重要だ、というアドバイスがありました。 そして、何より、自分で行動して、壁にぶつかり、問題に直面することが大切で、 何が壁で、何が問題かが見えてくれば、全体像が見えてくるのだ、と。 飯田氏から、それに加えて、マクロな視点を忘れないことだ、と。 ===== 最後に各氏から一言。 住氏からは、エネルギー開発について、バッテリー技術が進歩すれば、 太陽発電も、風力発電も、可能性を広げられる、というお話がありました。 ----- 現在、例えば、「砂漠に太陽光パネルを置いて…」というプロジェクトが成立しないのは、 設置コスト以上に、送電ロスがあまりに大きくなり過ぎるからです。 しかし、このエネルギーを蓄電できるようになれば、輸送も簡単になり、ロスも軽減できます。 風力発電も、適切な風量の時に多く発電して、それを必要な時に、使用・輸送すれば良い。 ----- 他のエネルギーについて、原子力は廃棄物の問題、テロの問題があるため、難しいが、 埋蔵量から言えば、石炭を、効率よく、カーボンフリーで燃焼させる方法が模索されており、 これが実現されれば、エネルギー問題はかなり改善が見込まれる、とのことでした。 「目標が設定できれば、技術は開発される」 というのは、心強い言葉です。 ===== 住吉氏からは、ゴールドマンサックスによる自然エネルギーへの投資が行われていること、 シリコンバレーで、ドット・コムならぬ「ワット・コム・ブーム」が起こっていることについて。 現在、べンチャーキャピタルで、29億ドル/年のお金の流れがあり、 先々市場規模として、190億ドルを越すだろうとの予測があるそうです。 日本では、まだまだこの方面への投資額は小規模ですが、 アメリカでは、「ワット・コム・ビジネス」が、裸一慣のドリーム市場になっている、と。 ----- そして、カーボンフリーの観点から、石炭の見直しに時代はシフトしていくだろう、とも。 石炭だと、カーボンフリーになり得るのかな?そこらへん私は理解できてないですが。 ただ、石炭で、カーボンフリーが達成でき、汚染物質の発生を抑えられるなら、 中国によるCO2排出・大気汚染を大幅に抑えることが出来る、はず。 ただし、いずれにせよ、石炭も化石燃料であることには違いはないわけですから、 過渡的なエネルギーということになるかとは思いますが。 ----- また、日本には、太陽光発電導入の余地はまだまだあり、 それは、ポテンシャリティが高いと言い換えることも出来るのだ、というのも。 ===== 住氏からは、追加で、最近話題になっているバイオ・エネルギーに関して 「稲」に着目したバイオ・エネルギーを研究中である、という話がありました。 現在、実用化されているバイオ・エネルギーに関しては、食料資源との競合が言われています。 それに対して、米は、現在、余剰傾向にあるため、食料資源との競合は抑えられ、 3期作が可能であるため、効率的な収穫が可能であり、 さらに、藁なども含めて、全ての部分を使うことが出来る。 何より、米に新しい用途を与えることで、「稲作文化」を守ることが出来るのが、大きなメリットだ、ということでした。 ----- 環境問題の難しさは、トータルで考えなければいけないこと、にあります。 対策はしなければいけない。しかし、その結果、別な問題を引き起こすようであってはならない。 例えば、オゾン層の問題で、代替フロンが議論された時、 代替フロンの一部は、強力な温暖化効果ガスであることが指摘されました。 あるいは、関西に帰ってからよく目にする「原子力発電はCO2を出しません」のCMにも、 放射性廃棄物の危険性とコストを無視した論旨が感じられます。 ----- 住氏は仰います。 対策、というものは、セグメントされた対策ではいけない。トー夕ルで考えなければならない。 「稲」に着目したバイオ・エネルギーは、単にエネルギーの問題だけでなく、 水田景観と環境の保全、農村の振興まで視野に入れた、懐の深い研究だと思います。 ===== 環境シンポジウム ~いちばん身近な環境サミット~ 【日時】2007.11/10 【場所】東京大学本郷キャンパス 【パネリスト】  飯田 哲也 氏  (環境エネルギー政策研究所 所長)  末吉 竹二郎 氏  (国連環境計画 金融イニシアチブ特別顧問)  住 明正 氏  (東京大学 サステイナビリティ学 連携研究機関統括ディレクター)  瀧口 博明 氏  (環境省大臣官房)  石川さん、渡辺さん (東京大学学生) 【主催】東京ドリームネット

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