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August 14, 2009
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カテゴリ:演劇
先日私も出演させて頂いた、『季節はずれのクリスマス』で共演した辰巳さんが、
大阪は富田林のすばるホールでの舞台に立たれる、ということで、行ってきました。

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ハムレット』は、言わずと知れた、シェイクスピアの4大悲劇の一つ。

生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ
To be or not to be, that is the question.
に代表される、名セリフの数々。

権力欲、復讐、人間の業をこれでもかと詰め込み、
時に軽妙な、時に真実をつくセリフで、物語の歯車を回し、
「悲劇」の名にふさわしい、圧倒的なラストへと導かれます。

----------
さて、この「新屋英子一座」ですが、市民から一般参加を募り、
芝居経験のある人もない人も、一緒に練習を重ねて舞台に立つというシステム。

なんと、役者総勢62名!

富田林の市議会議員が5人も特別出演されていたり、
まさに街をあげての一大イベント。

==========
王の死を受け、悲嘆にくれるデンマークに漂う、亡霊の噂。
古城に夜な夜な姿を現す亡霊の姿は、死んだ前王、
すなわちハムレットの父の姿に似ているというのです。

前王の跡を継いで王となったのは、前王の弟クローディアス
前王の妃、つまりハムレットの母ガートルードは、
前王の死後か月と経たぬうちに、クローディアスの妃となっていました。

父の亡霊から、死の真相を明かされ、「真犯人」への復讐を誓うハムレット

己の身を守り、「真犯人」達の油断を誘うため、
狂人となったふりをして、奇行を繰り返します。

その犠牲となるのが、宰相ボローニアスの娘で、ハムレットの恋人オフィーリア
それまで、ハムレットから甘い囁きを受けていたのに、
一転、呪いと侮蔑の言葉を続けざまに投げかけられ、
彼女自身も、己を見失ってしまい、さらなる悲劇に見舞われます。

そして、オフィーリアの父、宰相ボローニアスも、
悲劇の歯車に巻き込まれることになります。

父と妹の悲劇を知り、それを引き起こしたハムレットへの復讐を誓う
オフィーリアの兄、レイアーティーズ

一方で、ハムレットは、王によってイギリスへと留学させられることになります。
しかし、その旅路には、恐ろしい罠が仕掛けられていました。

かろうじて難を逃れ、デンマークへ舞い戻ったハムレットは、
「真犯人」との対決に臨みます。

「真犯人」が仕掛ける罠、ハムレットの策略、レイアーティーズの計略。
運命の歯車が噛み合った時、大いなる悲劇が産み落とされるのです。

----------
今回の、鶉野(うずの)版では、『ハムレット』の物語はそのままに、
ある老女が、夢の中で見た『ハムレット』を、付き添いの二人に物語る、
という形式を取ることで、芝居の展開にメリハリをもたせ、
途中、様々な音楽やダンスシーン、オペラ、演歌などの、
それぞれの持ち味を活かした、祝祭的なシーンを挿入し、
また、最後に、「夢」という設定を生かしたメッセージを込めて、
現代に対する風刺ともなる『ハムレット』となっていました。

==========
上演時間、実に3時間!(休憩なし!)

少ない練習時間で、しかも舞台経験のない素人さんに稽古をつけて、
これだけの芝居を完成させるのは、本当に、すごいことだと思います。

途中に挿入された(原作にはない)祝祭のシーンは、
中弛みを吹き飛ばす勢いで、それぞれにとっての見せ場が用意され、
皆さん、気持ちよくのびのびと、素晴らしい舞台を披露して下さってました。

----------
ぶっちゃけた話、お芝居として、あるいはシェイクスピア劇として
面白かったのか、素晴らしかったのか、すごかったのか、と問われれば、
黙して語らず、にならざるを得ないのですが、
これは、一種のお祭りであり、祝祭としてのお芝居という、
お芝居本来の役割、あり方を考えれば、
これだけの人数が参加し、これだけの観客がお芝居を楽しむ、
もう、十二分な大成功のお芝居と言えるでしょう。

こんなお芝居が、14回も続いてきた、そのことが、
本当に素晴らしく、脱帽の事実です。

出演者にとっても、知り合いの出演に駆け付けた観客にとっても、
素晴らしい経験であり、思い出となることでしょう。

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特に、苦悩の主人公ハムレットを演じられた小林育栄さんは、
宝塚的なかっこ良さで、観客を魅了してくれました。

そして、何より、この一座を率いる新屋英子さん(80歳!)の、
親しみやすい狂言廻し、というキャラクターは、味と品があって、笑いも取って、
この苦悩の物語に対する、素晴らしいアクセントになっていました。

==========
個人的には、「夢」という設定を生かした、最後のどんでん返しについては
(夢だから、みんな生き返って、仲直りしてハッピーエンド)
少々不満で、そのメッセージは分るのですが、それでは道理が通らない。

ひっくり返すのなら、最初に、そして途中で犠牲になった、
罪なき者たちから、だと思うのです。

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やっぱり、私自身、どこかに「勧善懲悪」にほっとする、
そういう部分があるんですよね。

その意味で、原作では、罪なき者も多く犠牲になる代り、
罪を犯した者は全て死に絶える、という作劇は、
どこかしら、何かを満足させてくれるものではあるのです。

ハッピーエンドの『ロミオとジュリエット』はあり得ても、
ハムレット』『マクベス』の登場人物達は、
それぞれが犯した罪の重さを背負わざるを得ないだろうと。

----------
まぁ、とは言え、『ハムレット』のラストは血生臭くて、悲劇そのもので、
決して後味の良いものではありませんから、「お祭り」としては、
後味良く、狂言廻しのワガママで明るく、というのは正しい、とも思います。

てか、それなら、『テンペスト』とか『十二夜』とか、
最初から喜劇で良いのでは? なのですけど、ね。

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作・演出の鶉野昭彦さんは、この一座の座長である新屋英子さんの旦那様。
そして、この「新屋英子一座」も、来年は15周年を迎えます。

お二人ともお元気で、15周年が素晴らしい祝祭劇になり、
大きな成功を収められますことを、心からお祈り申し上げます。

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新屋英子一座2009演劇公演
 『鶉野版・ハムレット』
 ~或る永遠の愛と復讐の物語~

 @すばるホール (大阪/富田林)

2009/08/09(日) 14:00-17:00

作・演出;鶉野昭彦

出演;新屋英子 / 小林育栄(劇団 野火の会) / 総勢62名

★★★☆☆






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Last updated  August 15, 2009 07:53:02 AM
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RonaldBus@ Transforming your landscape with gorgeous blue stone slabs. Understanding the Benefits of Choosing …
mrtk@jp@ Re[1]:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) >そらねこさん コメントありがとうござ…
そらねこ@ Re:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) はじめまして。本の題名につられてお邪魔…
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