ケモタイプ精油とは
以前にブログで精油(エッセンシャルオイル)について書いたときに、ケモタイプ精油という言葉を使ったのですが、その後、「ケモタイプとはなんぞや?」という質問がありました。「ケモタイプ」というのは、ケモ-Chemo(化学)とタイプ-type(タイプ、種類)の合成語です。植物学的には同じ植物(同じ学名の植物ということ)でも、土壌、日照条件、土地の高度などの生育環境によって成分が異なる場合があり、学名だけでは分類できない精油のことを「ケモタイプ」と言います。お米なんかでも、産地によって、味もお値段も違いますよね。そんな感じで考えてもらえれば分かりやすいと思います。たとえばローズマリー(Rosmarinus officinalis)では、ローズマリー・シネオールローズマリー・ベルベノンローズマリー・カンファーなどがあります。この3種類は、学名はみな同じ Rosmarinus officinalis ですが、香りも成分も違います。ローズマリー・シネオールは1,8-シネオールを多く含み、大人も子供も安全に使用できる精油の一つです。鎮咳・去痰作用などがあり、風邪、気管支炎、肺炎、肺気腫、インフルエンザなどには忘れてはならない精油で、塗布(マッサージ)にも芳香浴にも使えて使用範囲も広いです。加齢による健忘症にも効果があるという報告もあります。ローズマリー・ベルベノンは、その名前のとおり、ベルベノンという化学成分を多く含み、肝機能回復に効果があります。ローズマリー・カンファーは、カンファー(樟脳)を多く含む精油で、こちらはアロマテラピーではあまり用いられません。カンファーはケトン類に属する芳香分子で、神経毒性と肝毒性があるため、取扱いには注意が必要です。樟脳というと、昔、タンスの防虫に使われていましたが(若い人は知らないか?)、あれも安全だったのか・・・そういうわけで、安全で効果的に使うためには、どのケモタイプかを知り、精油の成分を正確に把握しなくてはならないのですが、ローズマリーとだけ表示しているものも巷にはたくさん出回っています。最近は、人間だけでなく、動物のアロマセラピーも盛んなようですが、(ニャンコのアロマセラピーは問題外として)ペットの安全を考えるなら、やはりきちんとして化学成分分析表が付いたケモタイプ精油ですよね。