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カテゴリ:病院
おはようございます
今日は気分の正体について解説していきます 「感情」とはまた違った、「気分」 そこの違いも含めて考えていきます モチベーションについて 0.根性論ではありません 1.やる気は「気分」ではない 2.気分の正体 3.進化の歴史 4.集中力とやる気 5.モチベーションを意識的に操る方法 1.気分とは 気分が良いとか気分が悪いとか、気持ちがいい、気持ちが悪いなど心の状態を表すときにこの「気分」と言う言葉が使われます 辞書的には「快・不快などの気持ちが一定期間続く、漠然とした心身の状態のこと」とあります 快・不快と言うと、「悲しい」や「怒っている」「嬉しい」「楽しい」等とは少し違ったニュアンスで使われます 悲しみや怒り、喜び、楽しみなどの「感情」はある程度原因がはっきりしていて、今の気持ちを説明しやすい時に使われることが多いです 一方気分とは原因がはっきりしていなかったり、自分自身の感情を上手く表現できない場合に使われることが多いです 「何となくいい気分」「なんだか気分が良くない」など、なんだかよくわからないけれども、不快だったり心地よかったりという時に私たちは「感情」よりも曖昧な「気分」を使います 2.不快の状態 不快とは何かしらのストレス要因があり、それに対して感情に言い換えづらい、何かしらの気持ち悪さを感じる状態のことです この不快を感じさせる要因はコルチゾールという物質が原因です まず何かしらのストレスを感じると扁桃体という脳の一部が危険を察知します そしてコルチゾールを出して、私たちの体に動悸を起こしたり汗をかかせたりして不快を感じるように仕向けてきます その結果、「不快」な気持ちが生じるというのが、私たちの不快の気分を生むまでのメカニズムです 不快を誘発するストレスの原因は様々なものがあり 例えば ・暑い、寒いなどの環境的要因 ・嫌いな人と関わらなくてはいけない時などの社会的要因 ・高いところや、危険なところへ近づいた時の物理的要因 等 いくらでもストレス要因は挙げられますし、人によってストレスを感じるポイントも違ってきます そのため不快の原因を説明しづらかったり、感情を人と共有できないために「気分」というあいまいな表現をすることになります しかしストレスを感じる時に共通しているのは脳が何かしらの危機感を察していて、「闘争か逃走か」を迫っている時です 基本的には身の危険が迫っていたり、未知のものが近づいている時です 初めてのことや慣れないことをする時は何でも不安になるものですが、何度も繰り返し行っているとそれが危険なものではないと脳が認識するのでそのうちストレスも感じなくなってきます 人前で発表するのも高いところへ上るのも、原因は全く違いますがストレスを感じるメカニズムは一緒です ストレスを感じる ↓ 扁桃体が危険を察知(視床下部ー下垂体ー副腎を経由することからHPA系と呼ばれる) ↓ コルチゾールを分泌 ↓ 動悸や発汗が起こる ↓ 不快な気分になる 怖いことに、この不快な気分がまたストレスを生むことになって繰り返されると、うつ病や海馬の萎縮を引き起こすなど負のサイクルから抜け出せなくなってしまいます そこで脳にはこのストレスに対して前頭葉(物を考えたり感じたり人間らしさに関わる部分)と海馬(記憶や空間認識等に関わる部分)がそれを制御する役割を関わっています ちなみに生まれてきたときは脳の機能も未成熟で乳児から子供の時は環境とともにものすごいスピードで機能が発達していきます(成人になると脳細胞は死滅と新生を繰り返していく) このストレスを感じる扁桃体は17歳ごろまでに完成するのに対して、ストレスを制御する海馬等の部位は25歳ごろまで完成しません そのため思春期の子供たちに悩みが多いのは大人よりも「ストレスを感じる機能が優れていて」、かつ、大人よりも「ストレスを制御する機能が弱いから」です そのため思春期の時期の思い出は大人の時よりも喜びも悲しみも一つ一つのインパクトが強いのはそのためです 青春時代がまぶしく見えるのは過去が美化されているからだけではなく、実際に快も不快も感度が高いことにも起因しています 3.快の状態 快には脳から出される神経伝達物質(ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン等)が関わっています この神経伝達物質が出るといつもよりやる気が出たり、居心地が良いと感じたりします そしてこの快の感情が出ると私たちは何度も繰り返しその行動をとりたくなります ストレス同様にこの快を感じるにもさまざまな要因があります 例えば ・朝早く起きて散歩する ・お酒を飲む ・友達や恋人と過ごす ・家族と過ごす ・運動をする ・夜の営みを行う 等 神経伝達物質が出る仕組みはすでに解明されており、前回の記事でも触れて今後もたくさん触れていきますがとにかく「生存」と「子孫を残す」という2点に関して脳は分泌します 生き残るためには「健康」「食事」「睡眠」「社会とのつながり」等が重要です 子孫を残すためには「異性とのつながり」「モテること」「夜の営み」「子供の安全を守ること」等が重要です これらの行為に関連するものに対して脳は私たちが繰り返し行うように、良い気持ちになるような報酬を発生させてきます またこの快の中で特段強く幸福感を味わえる現象の中に「ランナーズハイ」という現象があります マラソンを走り切った後や一定以上の時間で負荷が強めの運動をした後に感じられる状態のことを指しますが、運動を終えた時に体が軽くなったり気分がふわふわとして充実感や幸福感に包まれる感覚をスポーツを本格的にやっていた人であれば感じたことがあるかもしれません このとき脳内麻薬と呼ばれるエンドルフィンという物資が放出されます このエンドルフィンにはモルヒネなどの麻薬と同じような状態を作り出せるという点から、脳内麻薬と言われています モルヒネは医療用の麻薬としても使われています アルコールにも痛みを緩和させる効果はありますが、モルヒネは圧倒的に少ない量で、痛みの緩和等の効果を得られることから戦時中の負傷兵に対して使われたのが最初だと言われています 頭の良い人たちは「なぜそもそも人間にこの麻薬を感受できる器官が備わっているのだろう」と考えて、この脳内で作られるエンドルフィンという物質を発見しました モルヒネはエンドルフィンと構造が似ているために、人体に取り入れた時に効果を発揮します まさに「合法的に違法状態になる」それがランナーズハイです *まとめ* 気分とは快・不快などの気持ちが一定期間続く、漠然とした心身の状態のことを指す 気分はコントロールできないようで、実は脳の仕組みを理解すればコントロール可能なもの 不快な気分を感じる原理としてはコルチゾールと言う物質が関係している なぜ不快な気分になるかというと、脳が危機感を感じてストレス要因から遠ざけようとするため 身の危険が迫ってストレスを脳(扁桃体)が感じると、コルチゾールを分泌して動悸がしたり、冷や汗をかいたり不快な気持ちにさせて危険から遠ざけようとする 思春期の子供が悩みやすいのは気にし過ぎるからとか多感な時期だからではなく、ストレスに対する耐性を作る器官が大人に比べてまだ未発達だから このストレスを感じる扁桃体は17歳ごろまでには完成するのに対して、ストレスを制御する働きを持つ前頭葉は25歳ごろまで完成しない 気分が良いと感じる時は神経伝達物質が関わっている この行動はつづけた方が良いと脳が感じた時には神経伝達物質を出して、良い気持ちにさせて繰り返しその行動を取るように報酬を与えている ランナーズハイという現象を引き起こすエンドルフィンと言う脳内麻薬が存在する 合法的に違法状態になるほどの強い力を秘めている ____________ ストレスは悪い事のように捉えられることが多いが、全くなくても危険を察知できずに常に危険に近づくことになるためそれはそれで危険です ストレスフリーにはなれなことを理解したうえで、体がストレスを感じた時には「何かしらの危機が自分に迫っているんだ」と認識しながら適度な距離感でストレスと付き合っていくことが大事です お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022年03月12日 07時12分24秒
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