関西旅行 #8 蹴鞠見物
10時からの回を目当てに見物客が集まり始めています。ニュースなどで見たことはありますが、現物を見るのは初めてで蹴鞠に関する知識もゼロです。蹴鞠 - 宮内庁からです。蹴鞠は、約1,400年前に、中国から日本に伝えられたといわれる球戯の一種です。蹴鞠は勝敗を争うものではなく、いかに蹴りやすい鞠を相手に渡すかという精神のもと行われるものです。鞠装束姿で8人で輪になり、鹿革製の直径約20センチメートル、重さ約120グラムの鞠を蹴り上げます。総勢10人です。蹴鞠をする人を鞠足と称し、鞠足の階級によって烏帽子の種類や装束の色や文様などが決められています。鞠を楓の枝につけて受け渡します。プレースタートに際して儀式めいたことが行われマイク片手に解説してくれますが、やや退屈です。身分によって位置が決まり、鞠をける順番も決まっています。蹴鞠は球戯ではありますが、位により決められた場所から鞠庭に入る、枝に取り付けた鞠を解く、使用する鞠の調子を確認するなど、蹴鞠を始めるまでに細かい作法があります。また、蹴る時にも作法があり、上半身は動かさずに穏やかさを保ち、かつ足は摺足で右・左・右の運びの三拍子に合わせて動かしながらも「うるわしく」右足で膝を伸ばしたまま地面に近い位置で蹴り上ることとされています。(参考)開始には、置鞠といい、まず下﨟の者が第四の樹の下から斜めに進み、中央から3歩ほどの所で跪き、爪先で進み、鞠を中央に置く。一座の中に師範家がいると第一の上座、すなわち一の座、または軒というのを、その人に譲り、第二、第三と身分に従って懸に入り、樹の下に立つ。ただし高貴な人がいると軒を譲り、師範家は第二となる。禁裏、仙洞などで御前ならば皆が蹲踞し、他の家ならば堂上は立ち、地下は蹲踞する。人数が揃ったら第一から立ち、立ち終わると、第八の者が進み、中央に置かれた鞠から3歩ほど手前で蹲い、蹲いながら進み、右手拇指と人差指とで執皮を摘み、鞠を右に向け、左手を添え、腰皮を横に、ふくらを上下にし、蹲ったまま3歩退いて立つ。第七の者が進み出て、中央から3歩ほどの所に立って第八に向かうと、第八から第七に鞠を蹴渡す。第七から第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八と一巡、蹴渡しおわると、第八からまた第一すなわち軒に渡す。現代で行われている「小鞠」という作法です。軒は受けて上鞠(あげまり)といって高く蹴る。会の前半は「序の鞠」といい、鞠足のウオーミングアップと鞠の調子を見る。中盤は「破の鞠」に移り、鞠足が随意に蹴る。後半に入り「急の鞠」になり、全体の輪を小さくして数を追求する。常に鞠を落とさずに続けるためのフォーメーションが必要であり、「詰開」という動きが求められ、各人が2足なり3足で蹴ることが求められる。「一段三足」という作法により、最初は受け鞠、次は手分(自分)の鞠、最後は渡す鞠で、やわらかい回転の程よい高さで渡すことが求められる。8人立ちのときは、八境といって中央から8個に区分し、1区を1人の区域とし、その域外に蹴出すとその区域の者が受けて蹴る。これは基本的な考えで、「詰開」により、空白域ができないように激しい移動が求められ、自分の区域だけを守備することではない。現代のサッカーのパス回しをすべてダイレクトボールで、右足の甲のみを使って行うものであり、非常に高度な技術が求められる。(ウィキ) 蹴鞠を行う場所を、鞠庭、鞠懸かり、鞠壺、鞠場などと呼び、広さは約14メートル四方で、その四隅には松・桜・柳・楓といった式木(四季木)が 植えられます。今回は臨時なので竹が立てられています。サッカーボールをイメージしていましたが、薄い鹿皮製で100gほど、むしろ紙風船とのことです。直径は19センチ程度で、サッカーボールよりも一回り小さい大きさです。へこみを手で直したり、高く上げると風の影響を受けコントロールが難しくなるそうです。いつの間にか見物人でいっぱいです。300人くらいはいたでしょうか。いつもは立ち見ですが、今回初めて宮内庁の好意で椅子が用意されたそうです。休憩をはさんで2クルー行われました。だんだん調子が出てきたようでうまい具合にラリーが続くと、会場から拍手です。蹴り上げる際には受け渡しの合図である「アリ」「ヤア」「オウ」の声をかけますが、これは鞠の精とされる「夏安林」「春楊花」「秋園」に由来するとされています。1クルー10分くらですが、後半は息遣いが激しくなるっているのがわかります。優雅に見えてもやっている本人は、けっこう大変なのですね。鎌倉時代には、武士階級でも盛んに蹴鞠が行われるようになり、室町時代を経て江戸時代に入ると、徐々に一般庶民にまで普及し、謡曲・狂言・浮世草子など様々な所でも題材になりました。しかし、明治維新以後、蹴鞠も一旦途絶えましたが、明治36年(1903年)に明治天皇のご下賜金により、有志による保存会「蹴鞠保存会」が結成され、今日に至っており、春と秋に行われる特別公開「京都御所 宮廷文化の紹介」の折には、蹴鞠が披露されています。衣装も先輩から後輩に受け継がれてきたものだそうです。参考:Wayback Machine大拍手の後、退場です。御所内の本来の鞠庭です。御所内には、こんな杉戸絵があります。