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2005.10.27
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カテゴリ:教育・子育て
新たな階層集団の出現

現代の若者はどう変貌しつつあるか。
「勝ち組」と「負け組」に二極化する社会の中で、「自分らしさ」や「自己実現」を求める若者とはどのような若者たちか。

日本の戦後の歴史は、働けど働けど貧しい生活しか実現できなかった大部分の国民が、中高等教育を受けることが可能となり、働けば誰もが豊かな消費生活を実現できるという、希望を抱いて働くことが出来た高度経済成長を実現した時代であった。
そして、大部分の勤労者が中流意識を持って日々の暮らしをしてきた。物欲主義者の物欲をすべて満たされる社会を造ってきた。
逆に、戦前上流階級で暮らしてきた人々は、その特権を奪われて、「上」から「中」流へと意識を変化させ、文字通り一億総中流であると意識して暮らしたのが、つい数年前までの日本の社会であった。

しかし、ここに来てこの国民の意識は大きく変化しようとしている。
中流意識の「中」から「下」流意識への変化である。

比較的安定した中流意識を持ち、社会の牽引力と成ってきた団塊世代の息子、娘たち団塊ジュニア世代(現在25~30歳前後の青年たち)の台頭が、様々な社会現象、社会問題を引き起こしている。

この30歳前後の世代は、少年期は非常な豊かな消費生活を、しかも、ただ消費オンリーの生活をした世代である。
この若者たちは親の世代のように、働き者ではない。
貧困という修羅場を経験したことがない。

「自分らしさ」や「自己実現」などに見果てぬ夢をみて、社会のなかへの一歩を踏み出せない若者が層となって、社会に淀んでいる。
浮かれて踊り歌っている間に、世界が大きく変化していることを、そのダイナミックな現代の歴史を認識する知力や技能を身につけぬまま、いたずらに歳を重ねている。
ゲームや携帯電話やインターネットの「縮小された世界」の中で、閉じられた内向的な日常のなかに沈んでいる。

下流社会「下流社会」新たな階層集団の出現 三浦展著 (光文社新書)

この本の著者、三浦展氏の調査によれば、
「上」流、「中」流、「下」流意識で区分すると、このような団塊ジュニア世代は、「下」流意識を持っている若者ほど
「個性」「自分らしさ」を追求しているという。

その親の世代は逆に「上」流意識を持っている者ほど「個性」「自分らしさ」を追求する価値観を持って生活していたのに、
その子ども世代になると、その割合は逆転して、「下」流意識をもっている若者ほど、「個性」「自分らしさ」を生活の価値観としており、学校以外の、主にサブカルチャーなどの分野に自己実現感覚をもっているという。

これは、親の世代が社会で働くことを通して「自分らしさ」を「個性」を実現したのに対して、この世代は「豊かさが」下流まで浸透したことにより、そこで育った子供たちは、
「刹那的快楽的な娯楽」で「自分らしさ」「個性」を実現したいと夢見て、自分のだらしなさ、怠け根性を自己弁護にしているのではないか。

なにしろ彼らは今まで一度もまともな労働に携わったことがない。

働くことによって自己実現していくこと、働くことによって人格を創造することを実感したことがないのだ。
彼らが主張する「自分らしさ」や「個性」などというものは、全く中味のない、ただ幼稚な「赤ちゃん」の人格に過ぎない。そのことを自己分析する知力も育てはいない。
そのような「知性」を育てる「教育」や、家庭や地域での「子育て」を受けぬまま青年期に到達した。
こんな若者が今日本に蔓延しつつある。

一方で「上」流、「中」流意識を持つ若者は、猛烈に勉強し、仕事をしている。
健康を害し、精神に異常をきたすほど猛烈に働いている若者たちがいる。

この若者たちが40代、50代となり社会の中核となった時、日本の社会はどう変貌するか。
この団塊ジュニア世代のさらに子供たちはどう育っていくのか。

はっきり今でも言えることが一つある。
中流が減少して、下流の増大である。
年収が200万円以下の中年の階層が大量に出現するのでは。
さらに、現在この働かない若者を支えている親世代が、老いて働けなくなる大量の高齢者が存在する社会。

これが日本の近未来像ではないか。
こう考えていけば、自ずと、私たちは、子どもをどのように育てていかなければいけないか、子供たちに何を教育しべきかが見えてくるのではないだろうか。

三浦展著:「下流社会」(光文社新書)上記で紹介したこの本には、マーケッティング・アナリスト三浦氏の階層問題の豊富な資料が掲載されています。
氏は「下流」とは、単に所得が低いということではない。コミュニケーション能力、生活能力、働く意欲、学ぶ意欲、消費意欲、つまり総じて人生の意欲が低いもののことである、と述べておられる。
ぜひ、ご一読を。子育てに参考になりますよ。





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最終更新日  2005.10.27 11:22:20
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