テーマ:今が旬の話(414)
カテゴリ:小さい命(ことね)
今日は雛まつり 我が家のお雛さまたちは、 近年、粗末に扱われ、疎まれているので、 今年は遅ればせながら、 早春の3月の風に当てることにした。 このお雛さまたちは、 今から30年ばかり前、娘の誕生とともに、我が家にやってきた 娘が生まれた年は内裏雛2体。 次の年は三人官女。 そしてその次の年は七人囃子。 そしてその次は文官と稚児。 3年がかりで16体の雛人形が勢ぞろいした。 (稚児:2対) これらのお雛さまは、 すべて私の叔母、瑞子おばさんの作品である。 高度経済成長期に入る直前のまだ戦後のつつましい、 質実剛健の気風が満ちていた時代であった。 瑞子おばさんは縫い物や編み物をごく生活の一部として、 当然のこととしてやっている普通の主婦である。 別に趣味でやっているわけではない。 暮らしの中で、家族の衣服をつくることは生活の一部であり、 生きていくための技術であった時代である。 大部分を自給自足で生活することが、 国民の平均的な姿であった時代だ。 今のように大量に消費する生活が 国民全体のコンセンサスとはなっていない時代であった。 そんな時代の雛人形は、 現代の雛人形の豪勢さ豪華さはないが、 おだやかな気品に満ちている。 (私の好きな文官) 昭和という時代をじっと見つめ生き抜いてきた雛人形。 だいぶ草臥れている。 衣装の色は褪色著しい。 (七人囃子・縦笛) このお雛さまが生き残れるかどうかも怪しくなってきている。 私が生きている間は、瑞子おばさんの心意気を感じて、 そして、あの穏やかでやさしい時代を懐かしんで、 このお雛さまを大切に守っていくだろう。 しかし、平和でモノの豊かな現代は、 贅沢で豪華な雛人形があふれている。 この昭和の雛人形は、 次第にその存在理由を失っていく。 振り向かれそうもない。 それに、こんなにも数の多いお人形は、 出し入れが面倒な上、 今の住宅事情にはふさわしくない。 などなど退陣を迫られる理由がいっぱいである。 目下のところは孫娘のコトネの雛人形となっているけれど、 コトネには平成の時代にふさわしいお人形が、 何処かにいるのかもしれない。 コトネが、自分の生きる時代にふさわしい雛人形に出会い、 その人形と共に成長していくことも 必要な気が最近してきたバアバなのである。 (ことねと雛人形) 16体全部 7人囃子がこの写真には入りきれていない 今の簡便を好む生活スタイルには この雛人形は数が多すぎる お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[小さい命(ことね)] カテゴリの最新記事
|
|