カテゴリ:Danjoseの南米紀行
アールデコ華やかしマンハッタンの今は (Danjoseの南米紀行・17;番外編) 都市のなかの都市 ニューヨークのマンハッタン 摩天楼が ぬける青空にどこまでも伸び、 世界中の富みが集まり 繁栄の頂点を極めていた都市ニューヨーク 世界中の人々が羨望し、 富と快楽とをもとめて ごった返す世界の都市の中の都市 ニューヨーク・マンハッタン (アールデコ調の代表的なビルが、自動車産業の主によって、 建造されたというこたが、まさにアールデコの美術の特徴そのものである) 1920年代のアメリカの繁栄の歴史を物語る ニューヨークの摩天楼の中の傑作 クライスラービル 20世紀前半のアールデコの芸術は 1930年代に建築された ロックフェラーセンターやクライスラービルやエンパイアーステイトビルなど 20世紀後半に続くニューヨークの繁栄の息ぶきを秘めている。 来るべき工業社会の繁栄の理念そのもの、 シンプルで無駄を省いた直線美、 天空に向かって限りなく伸びていく征服欲 最小の面で最大の効率を引き出そうとする徹底した効率主義。 これらすべてはまさに現代の資本主義が追及してやまない世界である。 そのような摩天楼がニョキニョキと 荒野に林立しはじめた 1930年代のニューヨーク。 ロックフェラーセンターの各ビルの 外壁にある数多くのアールデコの装飾は、 そのような 直線的で鉱物的な無機質な摩天楼に 来るべき工業社会への自信と人間讃歌を付与して 潤いを与えている。 ロックフェラーセンターの中央にある GEビル(ジェネラルエレクトリック社&NBC放送が入居)の 正面に中央と左右の入口上部には Lee Laurie(リー・ローリー)によるレリーフが鎮座する。 その題は 「叡智」(Wisdom) まさに 人間の智恵に対する ゆるぎない確信、自信に満ちて 力強い GEビル手前の地下広場(Lower Plaza) 金色のプロメテウスの彫像 あくまでも人間文明を肯定し 明るい未来に満ちている プロメテウス像 龍を征服している ブロンズ像 アールデコの芸術は 高度経済成長期前夜の たくましさ、明るさを反映して 産業と芸術の融合を試みている。 芸術の一般大衆化が大きく前進した。 軽快でメカニックな直線、鉱物的な無機質なビル群を飾る これらのレリーフや彫像は 人間肯定の力強いエネルギーを秘めている。 「人生の喜び 」 ロックフェラーセンタービル外壁のレリーフ 非常に軽やか リズミカルな曲線 働く女性のしなやかさ インターナショナルビル入口を飾るレリーフ レリーフの絵には 次のような意味があると言う。 まさに 1930年代の アメリカの工業社会の 理念を具現化している。 中央上:マーキュリー(水星) 商業のシンボル 中央・2段目:芸術・科学・技術 文明の象徴 中央・3段目: 船 商業 最下段:中央 人類の闘争 下段:左 鷲 新しい工業社会の秩序・アメリカ 最下段: 右 ライオン 古い帝国主義・イギリス 下のレリーフにも 鷲がいる 新しい工業社会の秩序の象徴 このように ロックフェラーセンターを中心とした 高級百貨店や世界的ブランドショップが軒を並べる アメリカ大量消費文明の中心地マンハッタンは 街並みそれ自身がアールデコ調の装飾を 随所に飾りつけた美術館でもある。 しかし あれから 80年経たアメリカは 2011年 夏には マンハッタンには、1ドルピザ店が増殖し、 1枚1ドルの看板を掲げた安売りビザ店に 行列をつくるサラリーマンの列の昼時があり、 マンハッタンにも大手安売りスーパーが出店し、 高級住宅街からさえ買出しににくる客であふれ、 大量消費をしなければ繁栄できない工業社会の矛盾は頂点に達している。 08年秋の住宅バブル、いわゆるリーマン・ショック以来 アメリカは史上最大規模の財政出動(約62兆円)をすばやく行い、 消費を促す経済成長をやりとげるはずであったが、 その効果はなく、ただ膨大な債務が、 借金として米政府に残っただけである。 アメリカ国民は、ばら撒かれたドルで 浮かれて踊る事は出来なくなっている。 14・6兆ドル(約1140兆円)もの借金を抱え込んでいるアメリカ。 このようなドルが 世界の通貨として君臨していることそのことが、おかしい。 アメリカ資本主義のありようは深く病んでいる。 アメリカが世界の覇者として君臨した20世紀は まさに終ろうとしている。 それに変わるべき理念、変わるべき体制を 見つけあぐねているのが今、21世紀の初めではないか。 世界の海を闊歩して、世界を制覇した大英帝国が その覇権をアメリカにに奪われたように、 アメリカの落日は必ずやって来る。 日本が今直面している福島原発事故が、 収束できないで 混乱に陥っていると言う事実は、 アメリカの工業万能、科学技術が世界を征服するとした テクノロジーへの神話の究極の姿ではないか。 アメリカは核を通して 軍事的にも後には平和利用の名のもとに、 世界に核をばら撒き、世界制覇の道具にしてきた。 しかし、 そのテクノロジーは 事故にひとたび遭遇したら、 それを人間の力では収束できないという 未熟、未完成なしろものであると暴露された。 何万年という時間だけが 収束へと向かう 唯一の方法であるとは。 それでもなお この核開発のテクノロジーを使って、 儲けをたくらむことをやめない輩がいる。 日本にもうごめいている。 2011年夏
マンハッタンのアールデコの装飾レリーフの数々が 灼熱の街を見下ろし、明るく自信に満ちて、 今日も、マンハッタンを眺めているはずだ。 しかし、今 、繁栄と富みの象徴であったマンハッタンは、 深く病んでいる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.08.14 09:49:30
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