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日々草

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2012.07.09
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奥入瀬渓流に咲く花々(その1)

何やら恐ろしげな名前の渓流
阿修羅の流れ
激しく岩にぶつかりながら
ごーごーと水音だけが響く
静寂の遊歩道

5102阿修羅の流れ.JPG

(奥入瀬渓流には、三乱の流れ、馬門岩・阿修羅の流れ、九十九島・白銀の流れなど、
渓流に洒落た名前を付けた渓谷が遊歩道沿いに続く。)

奥入瀬渓流は
十和田湖を源流とする奥入瀬川によって形成されている渓流で、
十和田湖畔の子の口から焼山までの14キロメートルのことをいう。

銚子大滝

5078銚子大滝.JPG

渓谷の左右を流れ落ちる幾つもの滝
銚子大滝、五両の滝、九段の滝、不老の滝、白糸の滝、雲井の滝などなど
それぞれが呼び名を持っている。

幾つもの滝が
積み重なる新緑の緑のなかから
零れ落ちるように、
あるいは
真っ白な瀑布となって
渓谷の景観をいっそう変化に富んだ見ごたえのあるにしている。

5024雲井の滝.JPG
(雲井の滝)

新緑の緑が幾重にも重なって
ほの暗い緑の渓谷
オゾンの海のなか

湿潤な渓谷に植生する
カツラの大樹
カツラの明るい新緑の緑が
深い森のなかで
ひときわ鮮やかな若葉色

5046カツラの大木.JPG
(カツラの大樹)

 湿った土地を好むオニグルミやカツラなどの勢いが強く
ブナと共生している珍しい植物相を形成している
奥入瀬渓流

ブナの柔らかな若葉と
カツラの明るい若葉が
深い森を
軽快な明るいものにしている。

5100.JPG

(地衣類が着生しているブナの大樹。その背後の鮮やかで明るい若葉)

モミジの若葉も
明るくあざやか。
明るい緑が積み重なって
若緑色の海となる。

5045モミジ.JPG

緑が華やぐ。

この新緑の空気を
胸いっぱいに吸い込んで
歩けば、
身体の心底から洗われて、
新たなる気力ふつふつとわき出る。


ヤグルマソウ
(矢車草)

5098ヤグルマソウ.JPG

(ヤグルマソウ・矢車草:ユキノシタ科ヤグルマソウ属。北海道の西南部、本州、朝鮮半島に分布。
深山の谷沿いの林床など湿り気のある場所に生育する多年草。しばしば大群落をつくる。
葉っぱの形が鯉のぼりの「矢車」に似ていることからこの和名がある。)

渓流の水しぶきに煙る白い花
ヤグルマソウ

鯉のぼりの矢車のような葉っぱ、
川面に風渡ればくるくると回りそう。
その葉っぱの青と花の白
渓流の飛沫の白
そのコントラストは
いかにも涼しげで清らか。

渓流沿いには
こんな優しげな花も咲いている

タニウツギ
(谷空木)

5014タニウツギ.JPG

(タニウツギ:スイカズラ科タニウツギ属。日本原産。北海道の西側、本州の東北地方、
北陸地方、山陰地方に分布。日本海型気候の山地の谷合や傾斜地に多くみられる。)

ほんのりと小暗い川岸に
浮かび上がる淡い紅

近づけば、
淡いピンク色
渓流の黒緑色に
吸い込まれそうな色合い。
タニウツギのことを
かって「ウマオトシバナ」と言った地方があった。
馬も思わず見とれて沢に落ちたのかも。 

5040タニウツギ.JPG

野にある花だけがもつ
微妙な色合い

初夏を告げるこの美しい花は、
日本の農耕文化のなかで
古くから人々の生活と深くかかわって来た。

それぞれの地方で
幾つもの方言や俗信をもつタニウツギ。

タニウツギが咲くと田植えの時から、
「サオトメバナ(早乙女花)」、「タウエバナ(田植花)」と
言った地方も多かった。
花の咲き具合で作物の豊凶を占ったりしたのである。

農作業の目安としてきたのである。

貧しかった農民の暮らしの中にあって、
タニウツギの若葉は
日常の「糧」(カテ)であると同時に
飢饉時の保存食として大切な食料であった。
このような事情から「カテバナ」という呼び名もあった。

信仰に関する禁忌
「ソーシキバナ(葬式花)」
「ヒバシギ(火箸木)」
(焼き場で死者の骨を拾う火箸として使った。)

火に対する禁忌から
「カジバナ」(火事花)
(ウツギを家に持ってくると火事になる)

これらは、ほんの一例。

このように、東北、北陸の日本海側の地方では
タニウツギに関する「方言」「俗信」が無数にあり、
かっては、庶民の生活に深く入り込んで、
その存在を無視しては生活できないほどに
身近で有用な木であった。

万葉の時代から
「ウツギ」は人々と深く関わって生きてきたのである。
(万葉集には「ウノハナ」の名で24首詠まれている。)

ほととぎす鳴く声聞くや卯の花の
咲き散る丘(をか)に田葛(くづ)引くをとめ 

5119.JPG

苔むす岩
湿潤な渓谷に生きるシダ植物たち
川中の岩にもシダや木がいっぱい生えている。

クサソテツ
(草蘇鉄)

5051シダ.JPG
(クサソテツ:オシダ科の夏緑性シダ。ガンソク、コゴミの別称。分布は日本各地の林中にある。)

ソテツに似た大きな羽状の葉を優雅に広げて
水しぶき浴びている。

若芽は「コゴミ」という山菜となって
初夏の食卓に
おしたし、サラダ、ゴマ和えやてんぷらとなって並ぶ。
とても美味しい。

オニシモツケソウ

5043オニシモツケ.JPG
(オニシモツケ:バラ科シモツケソウ属。本州中部以北に分布。大型の多年草。草丈は2メートル
にもなる。山地の日当たり良い湿った草地に群生。)

深い森の中でも
お日さまが降り注ぐ
日当たりのよい所には、
お日さまに向かって背伸びして
オニシモツケソウの花が
明るい緑のなかで白銀に輝く。

渓流の水音と
鳥のさえずりが響く
静寂の渓谷

小さな体の鳥さん、
苔むす幹に一休み。

5083.JPG

(この写真の小鳥さん、ミソサザイか否かは判別できないが、こんな感じに小さい鳥、
渓流沿いを歩けば必ず出会うミソサザイ。)

この渓流には
1年中、高い音、大きな声量でさえずる
ミソサザイがいる。
岩に生える豊かなコケを巣材とし、
岩から岩へと飛び移り採食する、
ミソサザイ
古事記、日本書紀にも登場する
ミソサザイ

ブナ、トチ、カツラなど
原生林がまだま残る豊かな自然があり、
その森から湧き出る渓流
苔むす谷筋の岩や樹木

ミソサザイが生息できる最適な場所。
散策すれば、
ミソサザイのさえずりが
激しく流れる水音に負けぬ音量で響き渡る。

原生林が守られてきた渓谷だからこそ、
生育する樹木や花々、
その渓谷の初夏の散策は、
深いオゾンの海、滴る緑のシャワーを浴びて
この上もなく気持ち良い。

(2回目に続く)

(写真:Mr.Danjose、文:fujiko)



Danjose夫妻が
6/21~6/23日 2泊3日の奥入瀬(おいらせ)、十和田湖を旅しました。
昨年の東北大震災の影響か、十和田湖の多くのホテル、旅館、土産物の店
は閉じられたままで、町は閑散としていました。
奥入瀬渓流の遊歩道は、ここだけは、
近年のウォーキング・ブームのせいか、賑わっていました。





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最終更新日  2012.07.27 17:08:36
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