秋の野の草咲き満つ明日香
万葉の里・明日香村散策明日香村一帯の景観は、建築物に厳しい規制がかけられており、屋根瓦は従来の日本の瓦の色しか使えない。グレイの日本瓦の家並みが続く景観私の幼い日々のムラの景観明日香の村を散策し、その景観に久々に出会いとても美しく落ち着いた快さを感じたこの門構えの続く村道そこに住む人々が、ごく普通に日常をこのような日本家屋で続けているその維持管理の大変さに思いをはせながらもとても落ち着いた雰囲気を懐かしく思う昔の村はこんなだったと。そして、野や山は、秋の草花が咲き乱れていた。かっては、どの農道にもみかけたワレモコウ。最近はめっきり見ること少なくなったワレモコウ(ワレモコウ:バラ科ワレモコウ属。北海道~九州の日の当たる草地や土手に生育。7~10月に暗赤紫色の花をさかせる。葉をもむとスイカのような香りがすつ。)ワレモコウが秋風にゆれ、ヒガンバナの群生が田んぼの畦を真っ赤に染めています(棚田の畦道では案山子コンテストがおこなわれています。かさこじぞうの案山子とヒガンバナの赤がみごとにマッチ)明日香は「美しい日本の棚田百選」に選ばれているその棚田をバックにして、今案山子コンテスト行なわれていたテーマはおとぎ話その棚田の畦道にはヒガンバナが見事に群れ咲き色づきはじめた稲のみどりが競うように燃えてさらに白いカラマツソウがこき混ざり、みごとな色の絨毯。近づけば白い花は繊細な花糸が傘をひろげたよう繊細なこん棒のような白い花糸(かし)のカラマツソウ(唐松草)(カラマツソウ:キンポウゲ科。北海道、本州の山地にはえる多年草。花は白色~淡紅色7~9月ごろに咲く。和名は花の形がカラマツの葉に似るから)カラマツソウも山地の畦道に群れて咲くそして、華やかに可憐にさくうすむらさき色の花ツルボ(蔓穂)(ユリ科、ツルボ科。多年草。本州から九州の日当たりのよい原野や道端に「生育。)天武・持統天皇稜の森の縁にも、ヒガンバナの赤と競って咲き乱れていたツルボすすきの穂が風にゆれるその山道の足もとを見やればほら、こんな花が咲いていたナンバンキセル(南蛮煙管)(ハマウツボ科ナンバンキセル属:日本各地の山野のススキ、ミョウガなどの根に寄生。光合成をしないで生きている1年生寄生植物。和名は花と花柄の形による。)ナンバンキセルのことを万葉人も「道の辺の尾花がしたの思い草今さらになど物か思はむ」と詠んでいる。「思い草」がナンバンギセルのこと、ナンバンギセルは室町時代以降につけられた名。「尾花」はススキのこと。万葉人はすでにオモイグサがススキの根に寄生することを知っていたとは驚きである。ミズヒキも細い花穂(かすい)をすくっと伸ばしてミズヒキ(水引):タデ科テデ属。やぶ陰や林のふちなど日陰を好む。花の上部が紅色、下部が白色で見る角度により、花は白くも赤くも見えるので、水引に見立てこの名がある。花は、8~10月。茶花としても使われる。ヤブや林の縁に紅色、白色の花を端正に咲かせている秋の涼しい風が吹きぬける古の都・明日香の里数千年のいのちを繋いで、今、ここで咲いているにちがいない野の花々やさしい花々が緑の山々や田んぼの濃いみどりの青と溶け込んで静かに咲き競っている凛と咲ききっている秋の山里2千年前の人々の暮らしや政をそこここで私たちに語りかけてくれる山里穏やかななだらかな山々に囲まれたこの山里で生きた人々の息ぶきが今に脈打っていることを私たちに教えている。9月17~19日にかけて、奈良・明日香村を散策しました。私のブログ「日々草」で、「万葉の里・明日香だより」で紹介しているまほろばさんご夫婦を訪問しました。飛鳥時代の数々の遺跡も訪ねましたが、飛鳥文化を遺跡を通して、垣間見ることが出来、とてもよい旅でした。飛鳥時代に生きた人々に思いを馳せることはとても楽しいことであり、現代に生きる自分たちはどう変化してきたかなど、興味つきないことがいっぱいでした。宿泊した宿も、古いままの建築様式をそのまま守っている旧家にでした。久しぶりに、幼い日々の生活様式に帰ったようで、これが結構くつろぎゆったりした気分になれたのに我ながら驚いています。私の嫌いな旧い日本の家、暗いじめじめした日本の家。でも数日だけならけっこう快適でもありました。